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東京サイクルデザイン専門学校2015年度卒業制作展 アワードが決定

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東京・渋谷にある東京サイクルデザイン専門学校。日本初の自転車について学べる専門学校として4年前に開校し、昨年3年生コースの初めての卒業生が誕生。卒業生は自転車販売店、フレームビルダー、代理店など自転車界のさまざまなシーンで活躍している。

今回卒業展に出展したのは3年生コースの2期生だ。1期生の先輩達はまったく前例のないなかで卒業制作展に臨んだが、2期生は1期生というある種の指標があるなかで、いかにすぐれたバイクを生み出すか、1期生とは違った苦労があったはずだ。

1期生の卒業制作展と見比べた印象は、アイディアの独創性の強さは1期生のほうが強かったかもしれないが、自分のアイディアを”バイク”として実現する能力は2期生の方が勝っていると感じた。

卒業制作展に並んだ36台のバイクから、協賛企業による企業賞と大賞が選出された。その2台を以下に紹介する。

グランプリに輝いたのは「女性を美しく見せる」自転車

2015年度卒業制作展において、見事グランプリに選ばれたのは「S-CART」。横溝志郎さんが製作したこのバイクのコンセプトは「女性を美しく見せる」ということ。女性が最も美しく見える姿勢でバイクに乗車できるようにフレームがデザインされている。乗り手の全身を見せるためにハンドルは後方から前方へと伸びている。スカートでも乗降性を損なわないようにフレームはとても低くまとめられている。

ハ ンドル軸とシートポストを同軸上に置くことによってハンドルを切っても体に当たらないように工夫されており、綺麗な姿勢でペダリングできるようにBB位置 も考えられている。移動手段としての自転車に、乗り手を美しく見せるというさらなる価値を付加すべく考え出されたバイクだ。
 

一度見たら忘れない「curious」なバイク

今年は特別賞にキャノンデール・ジャパンが協賛している。同社はサドルの「ファブリック」に合うバイクを製作するというコンペで昨年同校とコラボレーションした実績がある。

キャノンデール・ジャパン特別賞に選ばれたのは、中臺充男さんが製作した「curious」だ。「奇妙な、知りたがりな」という意味のモデル名が与えられたバイクは、細いクロモリパイプが複雑に絡み合う奇怪なフォルムを持っており、立ち止まらない来場者はいないほどの個性を放っていた。パイプを1本ずつ曲げて順番に溶接していく工程の多さに努力の跡が見て取れる。

フレーム全体がしなりながら走るので、従来のバイクにはない、快適性を重視したしなりとはまた違う乗り味をもったバイクに仕上がっているという。フレームのみならずステムも同様のデザインが与えられているところも、バイクのコンセプトを忠実に再現しようとする作者のこだわりが感じられるポイントだ。


受賞者の詳細なインタビューや、そのほかサイクルスポーツが注目したモデルは3月19日(土)発売のサイクルスポーツ5月号にて紹介する。


・東京サイクルデザイン専門学校:http://tcds.jp/