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4つの小島をつなぐ上島町ゆめしま海道サイクリング、参加レポート

イベント
広島県と愛媛県の間に設定される”海道”たち。イベントの舞台となるのは愛媛県上島町内に浮かぶ4つの小島を結んだ“ゆめしま海道”だ。弓削島、生名島、佐島、岩城島の4島をめぐる全長約5.9kmのルートで、島ごとにその表情が異なりそれぞれの文化が息づいている。そんな島々をめぐる船旅と自転車旅を組み合わせたサイクルージングイベントの模様をお届けする。

 
弓削島と佐島に架かる弓削大橋へと上る。島と島の距離がこんなにも近いのは、瀬戸内ならではの景観だ
弓削島と佐島に架かる弓削大橋へと上る。島と島の距離がこんなにも近いのは、瀬戸内ならではの景観だ


本イベントは尾道港、今治港それぞれの港から、弓削島の弓削港に上陸し、佐島、生名島、弓削島、岩城島の順にゆめしま海道を含むエリアを自転車でめぐる約51kmの行程だ。朝7時、今治、尾道両港から出港する船には合計約80人の参加者全員が乗船。この時点から「共通の空間」での会話が弾む。

まずは最初の島、弓削島に上陸。この島は周囲約18kmと、ゆめしま海道4島のなかでもっとも大きく中心的な島だ。チームジャイアント・プロライダーの門田基志選手や作道泰子・フリーアナウンサー、上村俊之・上村町長らを迎えて行われた開会式のあと参加者らは「ゆげ海の駅」をスタート。ゆめしま海道で一番最初に架けられた弓削大橋を渡る。橋の上からは瀬戸内の島々の絶景がみえた。弓削大橋から佐島、生名橋を経由して生名島へと入る。島内のほとんどの道はクルマ1台がすれ違える程度の狭さで、ゆったりと走るサイクリングには最適。

 
ゆめしま海道へのアクセスは船
ゆめしま海道へのアクセスは船
今治港からチャーター船できた参加者が弓削島へ降り立った参加者は、ゆげ海の家を一斉にスタート!
今治港からチャーター船できた参加者が弓削島へ降り立った参加者は、ゆげ海の家を一斉にスタート!


途中、上村町長の率いるグループと一緒に走る機会があった。町長は、ほかのサイクリストをひっぱり、時には島の風景について説明するなど、自らガイド役をかってでていた。

生名島を1周し、先ほど走った2つの橋を戻ると再び弓削島へ。島を時計回りに1周すると、アップダウンが時折現れる。平坦な道だけかと思いきや、なかなか走りごたえがある。島の南側、久司山展望台へといたるルートには距離こそ短いものの、途中平均斜度10%を超えるつづら折りの本格的なヒルクライムが待っていた。参加者は声を掛け合いながら、ゆっくり上っていた。

弓削島をまわった後は最後の島、岩城島へと向かう。4島のうちこの島だけはまだ他のどの島とも橋で結ばれていない。岩城島までは、自転車をのせて約30分程度の”サイクルージング”でたどり着く。今まで走ってきた橋の下を今度は船でくぐる。参加者の多くは、船の甲板に出て記念撮影をしていた。

 
島内はいくつかアップダウンもあり、走りごたえがあった
島内はいくつかアップダウンもあり、走りごたえがあった
弓削島の南側、久司山展望台へと向かう上りでは参加者も息を切らして上る様子が見られた
弓削島の南側、久司山展望台へと向かう上りでは参加者も息を切らして上る様子が見られた


「青いレモンの島」と呼ばれる岩城島に到着すると、島名物のレモンポーク丼で昼食。また、特製レモネードも振る舞われ、一気に疲れが回復。昼食を終えるとライド再開。岩城島を一周する。

岩城島は造船関連企業が多いこともあって、巨大なタンカーが沿岸に停泊しており、参加者は次々に立ち止まって巨大なタンカーと島々の風景をな眺めていた。また岩城港付近には築100年は経っているような古民家が立ち並ぶ通りもあり、タイムスリップしたかのよう。

ゆめしま海道を走って、まず感じるのが島々のおだやかな雰囲気だ。この海道へアクセスするためには、必ず船に乗る必要があるのだが、これがまたいい。船でしかいくことができない離島だからこそ、その島々独特の文化や景観、人々の温かさが残っている。

 
島内の農場で飼育しているレモンの絞りかすを食べて育ったブランド豚「レモンポーク」に甘辛いタレを絡ませた名物、レモンポーク丼
島内の農場で飼育しているレモンの絞りかすを食べて育ったブランド豚「レモンポーク」に甘辛いタレを絡ませた名物、レモンポーク丼
左からフリーアナウンサー・作道泰子さん、上村俊之・上島町長、上甲俊史・愛媛県副知事、門田基志選手
左からフリーアナウンサー・作道泰子さん、上村俊之・上島町長、上甲俊史・愛媛県副知事、門田基志選手


岩城島の方々がサイクリングのゴール地点で演奏してくれた「岩城太鼓」もそのひとつだ。島で代々受け継がれてきた文化を今回われわれはサイクリングを通じて堪能できた。

また、驚くべきことにゆめしま4島の道路上には、なんと信号機がない。正確にはたった1つだけ、弓削島の公園内に信号の使い方を学習するため、設置されているものがあるそうだ。

サイクリング中、こんな1コマもあった、岩城島を走っていると、エイドステーションでもない道路沿いで島のおばあちゃんが、「はい、これもってって!」と参加者にみかんを配っていた。またある場所では、島の方々が「来てくれてありがとうね」と声をかけてくれた。こんな体験ができるのも、とりわけ離島らしさが味わえるゆめしま海道ならではだろう。また個人的にも再訪してみたいと思った。

 
北海道から参加の小島祥吾さん
北海道から参加の小島祥吾さん



北海道から参加した小島祥吾さんは「2年前に定年を迎え、それまで走っていた道内だけでなく、日本中を走ってみたいと思い、昨年10月に行なわれた『瀬戸内しまなみ海道・国際サイクリング大会』に出ました。その際にゆめしま海道の存在を知り、今回のイベントに参加しました。青い空、青い海、島と橋が合わさったゆめしま海道の景色は北海道にはありません!」と語った。
 


今回レポートしたゆめしま海道を含め、瀬戸内エリアを紹介したムック「ニッポンのじてんしゃ旅」がまもなく発売される。全国の書店で購入できるので、チェックしてみてほしい。
http://www.amazon.co.jp/ニッポンのじてんしゃ旅-瀬戸内7海道サイクリングガイド-ヤエスメディアムック481/dp/4861443849/ref=zg_bs_503500_22

text●本誌・西村裕貴、photo●吉田悠太
開催日●2015年9月27日(日)
開催地●愛媛県越智郡上島町
主催者●上島町
運営●フジ・トラベルサービス
協力●門田基志(チームジャイアントプロライダー)
運営協力●チーム山鳥

 
ジャイアント・ディファイアドヴァンスド2
ジャイアント・ディファイアドヴァンスド2
最後は、しまなみ海道へ戻って、大三島の「サイクリストの聖地」で集合写真!
最後は、しまなみ海道へ戻って、大三島の「サイクリストの聖地」で集合写真!


今回のライドで使用したのは、ジャイアントの2016フルカーボンモデル、ジャイアント・ディファイアドヴァンスド2。D-フューズシートポストを採用し、シートステーの形状を工夫することで、走行中の振動を軽減し、ロングライド向けの仕様となっている。意外とアップダウンの多いゆめしま海道では、このバイクのおかげで、快適なライドを楽しめた。
シマノ・105完成車価格 21万円(税抜)