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【Tour速報】アルプス山岳初日のツール・ド・フランス第17ステージはゲシュケが涙の区間初優勝/バンガーデレンがリタイア

レース

第102回ツール・ド・フランス(UCIワールドツアー)は、7月22日にディーニュ・レ・バンからカテゴリー2のプラ・ルー山頂までの161kmでアルプス山岳初日となる第17ステージを競い、ドイツのシモン・ゲシュケ(ジャイアント・アルペシン)が独走で逃げ切って区間初優勝を果たした。

マイヨ・ジョーヌは英国のクリストファー・フルーム(チームスカイ)が守った。

この日、フルームに3分32秒遅れの総合3位でレースをスタートした米国のティージェイ・バンガーデレン(BMC)は、序盤に集団から脱落。イボン・ルダノワ監督がフランスのTV局に語ったところによれば、彼は病気だった。結局バンガーデレンは残り70kmでレースをリタイアしてしまった。
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休養日あけの第17ステージは168選手がスタート。ルクセンブルクのローラン・ディディエ(トレック)が出走しなかった。

スタートからアタックと吸収が繰り返され、この日最初のレク峠(カテゴリー3)の上り坂が始まった頃にはすでに60人ほどの選手がメイン集団から脱落していた。その中に総合3位だったバンガーデレンも含まれていた。

レク峠の下りでメイン集団からアンドリュー・タランスキー(キャノンデール・ガーミン)とスティーブン・クルイシュウィック(ロトNL・ユンボ)がアタックし、マイヨ・ベールのペーテル・サガン(ティンコフ・サクソ)が合流した。

この3人にメイン集団からさらに選手たちが合流し、57km地点で逃げは24人に膨らんでいた。チームスカイがコントロールするメイン集団は57km地点で40秒遅れ、バンガーデレンはすでにメイン集団から1分遅れていた。

ゴールまで残り80km地点で、逃げ集団は28人になり、メイン集団に2分半のタイム差を付けていた。この逃げにはラファウ・マイカ(ティンコフ・サクソ)、ティボー・ピノ(FDJ)、リッチー・ポートとニコラ・ロッシュ(チームスカイ)、リゴベルト・ウラン(エティックス・クイックステップ)も加わっていた。

レース中盤のコル・サン・ミッシェル(カテゴリー2)の山頂まで10km地点で、集団からコンタドールがマイケル・ロジャース(ティンコフ・サクソ)とともにアタックして40秒ほど先行したが、この試みは失敗した。

山岳ステージとは思えない高速の展開になり、スタートして2時間の平均時速は41.7km/hになっていた。厳しいレース展開で脱落者も続出し、ジェローム・コッペル(IAM)とネイサン・ハース(キャノンデール・ガーミン)が棄権。そしてバンガーデレンも残り70kmでリタイアした。

この日はサム・ベネット(ボーラ・アルゴン18/アイルランド)と世界チャンピオンのミハウ・クフィアトコフスキー(エティックス・クイックステップ)もツールを去った。

ゴールまで残り50km地点に設定されていた中間スプリントポイントは、ブノワ・ヴォグルナール(FDJ)が先頭で通過した。2位はジョン・デゲンコルプ(ジャイアント・アルペシン)で、サガンは3位だったが15ポイントを稼いだ。メイン集団は4分40秒後方だった。

中間スプリントポイントを4位で通過したゲシュケはそのまま逃げ集団からアタック。すぐに30秒ほどのタイム差を付けて先行を続けた。

終盤にそびえていた標高2250メートルのアロス峠(カテゴリー1)を先頭のゲシュケが単独で登り始めた時、メイン集団はすでに10分遅れになっていた。頂上まで7kmの中間地点で、彼は追走グループに2分差を付けて逃げ続けていた。

アンリ・デクランジュ賞がかけられていたアロス峠山頂を先頭で通過したゲシュケは、5000ユーロの賞金を獲得した。山頂は1分遅れでピノー、1分52分秒遅れでタランスキーのグループが続いた。

ゲシュケを単独で追いかけていたピノーは、アロス峠の下り坂で転倒。すぐ自転車に乗ってレースに復帰した。メイン集団ではアロス峠でビンチェンツォ・ニーバリ(アスタナ)がアタックしたが、すぐにマイヨ・ジョーヌのフルーム、ナイロ・キンタナ(モビスター)、アレハンドロ・バルベルデ(モビスター)が反応して付き従った。

アロス峠の下りで2番手のピノーはタランスキーに追いつかれた。このときゲシュケとのタイム差は1分36秒あった。タランスキーは下りでピノーを引き離し、単独でゲシュケを追い始めた。

マイヨ・ジョーヌのグループでは、アロス峠の下り坂でコンタドールが転倒し、右腕と右脚を負傷した。彼はサガンの自転車を借りてレースに復帰したが、ここでライバルたちから遅れてしまった。

ゴールまで残り5.7kmで、最後のプラ・ルー山(カテゴリー2)の登坂が始まった時、ゲシュケは2番手のタランスキーにまだ1分以上のタイム差を付けていた。そして彼はそのまま誰にも追いつかれることなくプラ・ルーを上り切り、グランツールで初めての区間優勝を勝ち取った。

マイヨ・ジョーヌのグループでは最後のプラ・ルー山でマイヨ・ブランのキンタナが何度もアタックを試みたが、フルームを蹴落とすことはできなかった。2人は同タイムでゴールし、タイム差は変わらなかった。

一方、落車で遅れたコンタドールは、フルームよりも2分17秒遅れでゴール。バンガーデレンのリタイアで総合成績をひとつ上げ、バルベルデと表彰台争いをするはずが、この遅れで一歩後退し、総合5位に留まっている。
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■ツールで区間初優勝し、TVインタビューで感涙していたゲシュケのコメント「ツールのステージで勝つなんて信じられない。自転車レースを始めたときから夢だったんだ。でも、簡単じゃあなかった。僕はスプリンターじゃないし、クライマーでもない。ただのオールラウンダーだ」

「僕がこのチームに選ばれたのは、最初の週はアシストするためで、2週目と3週目には自分にチャンスがあった。集団ゴールスプリントの勝利を狙うのと、デゲンコルプで石畳区間を狙うのと、バルギルで総合トップ10入りを目指すのとでは、レースをするうえでの戦略が異なる」

「チームはこの2年間、マルセル・キッテルが最初のステージで区間優勝してプレッシャーを取り除いてくれていた。今回は勝利にたどり着くことは困難だったけれど、けっして希望を失わず、チームの雰囲気はいつもよかった。僕がチームで最初に勝つなんて、だれも期待していなかったよ」


7月23日はギャップからサン・ジャン・ド・モーリエンヌまでの186.5kmで、アルプス山岳2日目の第18ステージが行なわれる。スタートしてすぐに峠越えが始まり、カテゴリー2を2ヶ所、カテゴリー3を3ヶ所越えた後、後半には標高1924メートルでカテゴリー超級のグランドン峠が設定されている。

しかし、アルプス山岳2日目は頂上ゴールではなく、グランドン峠の長い坂を下った後にある、カテゴリー2のラセット・ド・モンブミエール峠を越えた地点にある。
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■第17ステージ結果[7月22日/ディーニュ・レ・バン~プラ・ルー/161km]
1 シモン・ゲシュケ(ジャイアント・アルペシン/ドイツ)4時間12分17秒
2 アンドリュー・タランスキー(キャノンデール・ガーミン/米国)+32秒
3 リゴベルト・ウラン(エティックス・クイックステップ/コロンビア)+1分01秒
4 ティボ・ピノー(FDJ/フランス)+1分36秒
5 マティアス・フランク(IAM/スイス)+1分40秒
6 スティーブン・クルイスウエイク(ロトNL・ユンボ/オランダ)+2分27秒
7 ニコラ・ロッシュ(チームスカイ/アイルランド)+3分02秒
8 ホナタン・カストロビエホ(モビスター/スペイン)3分04秒
9 セルジュ・パウエルス(MTN・クベカ/ベルギー)+3分05秒
10 アダム・イエーツ(オリカ・グリーンエッジ/英国)+3分21秒
18 ナイロ・キンタナ(モビスター/コロンビア)+7分16秒
20 クリストファー・フルーム(チームスカイ/英国)+7分16秒
21 アレハンドロ・バルベルデ(モビスター/スペイン)+7分23秒
22 ビンチェンツォ・ニーバリ(アスタナ/イタリア)+7分31秒
31 アルベルト・コンタドール(ティンコフ・サクソ/スペイン)+9分33秒
■第17ステージまでの総合成績
1 クリストファー・フルーム(チームスカイ/英国)69時間06分49秒
2 ナイロ・キンタナ(モビスター/コロンビア)+3分10秒
3 アレハンドロ・バルベルデ(モビスター/スペイン)+4分09秒
4 ゲラント・トーマス(チームスカイ/英国)+6分34秒
5 アルベルト・コンタドール(ティンコフ・サクソ/スペイン)+6分40秒
6 ロベルト・ヘーシンク(ロトNL・ユンボ/オランダ)+7分39秒
7 ビンチェンツォ・ニーバリ(アスタナ/イタリア)+8分04秒
8 マティアス・フランク(IAM/スイス)+8分47秒
9 バウケ・モレマ(トレック/オランダ)+11分47秒
10 ワレン・バルギル(ジャイアント・アルペシン/フランス)+13分08秒
[各賞]
■ポイント賞(マイヨ・ベール):ペーテル・サガン(ティンコフ・サクソ/スロバキア)
■山岳賞(マイヨ・アポワ):クリストファー・フルーム(チームスカイ/英国)
■新人賞(マイヨ・ブラン):ナイロ・キンタナ(モビスター/コロンビア)
■チーム成績(黄ゼッケン):モビスターチーム(スペイン)
■敢闘賞(赤ゼッケン):シモン・ゲシュケ(ジャイアント・アルペシン/ドイツ)
(http://www.letour.fr/le-tour/2015/fr/)
 


Summary - Stage 17 (Digne-les-Bains > Pra Loup... 投稿者 tourdefrance_en