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【Tour速報】ツール・ド・フランス第14ステージはMTNクベカのカミングスが区間初優勝!

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第102回ツール・ド・フランス(UCIワールドツアー)は、7月18日にロデーズからマンドまでの178.5kmで第14ステージを競い、英国のスティーブン・カミングスが逃げ切って区間初優勝し、アフリカ登録のチームとしてツールに初めて出場している南アフリカのMTN・クベカに初優勝をもたらした。

マイヨ・ジョーヌのクリストファー・フルーム(チームスカイ)は、最後の上り坂で競われた総合争いを難なく制し、ライバルたちよりも先にゴール。総合成績でのタイム差をわずかに広げた。

新人賞のマイヨ・ブランを着たナイロ・キンタナ(モビスター)はフルームよりも1秒遅れでゴールしたが、前日まで総合2位に付けていた米国のティージェイ・バンガーデレン(BMC)は40秒遅れてゴール。キンタナが総合2位に順位を上げ、バンガーデレンは3位に落ちてしまった。
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第14ステージは175選手が出走。7月18日は南アフリカの大統領だった故ネルソン・マンデラ氏の誕生日を祝う国際的な記念日で、MTN・クベカにとっては非常に重要な日だった。彼らはこのマンデラ・デーを祝うため、特別なオレンジ色のヘルメットをかぶってスタートした。

5km地点で落車があり、スイスのステーベ・モラビト(FDJ)がリタイア。ロベルト・ヘーシンク(ロトNL・ユンボ)とティボ・ピノー(FDJ)も巻き込まれたが、集団に復帰した。

18km地点でマイヨ・ベールのペーテル・サガン(ティンコフ・サクソ)がアタックしたのをきっかけに、この日は20人の逃げ集団が形成された。この逃げにはピノやロマン・バルデ(AG2R)、そしてカミングスも加わっていた。

78.5km地点の中間スプリントポイントはサガンが先頭で通過し、20ポイントを獲得してポイント賞総合成績でのリードを広げた。

逃げ出した20人の中でもっとも総合成績が上位だったバルデですら17分半近く遅れていたため、チームスカイがコントロールする集団はこの逃げを容認。中間スプリントポイント通過後にタイム差はすでに8分以上開いていた。

後半に越えたカテゴリー2のソーブテール峠では、FDJのマテュー・ラダニュースとジェレミー・ロワが逃げ集団を引き続けた。しかし、峠を越えた後、逃げ集団からミハウ・ゴラス(エティックス・クイックステップ)がアタックして先行した。メイン集団とのタイム差はまだ5分以上あった。

ゴラスは独走で逃げ続けたが、残り11kmでクリスティアン・コーレン(キャノンデール・ガーミン)が追いつき、先頭は2人になった。しかしゴールまで残り4.5kmでこの日最大の難所だったコート・ド・ラ・クロワ・ヌーブの登坂がスタートすると、バルデを先頭に追ってきた後続集団に捕まってしまった。

バルデはシリル・ゴチエ(ヨーロッパカー)やサイモン・イエーツ(オリカ・グリーンエッジ)のアタックを許さず、3kmつづくコート・ド・ラ・クロワ・ヌーブの中腹で先行し、リードを広げた。しかしバルデは、頂上を目前にしてピノーに追いつかれてしまった。

それでも区間優勝は2人のフランス人のどちらかになるのではと、地元フランスの期待は高まった。しかもこの日は、フランスのオランド大統領がオフィシャルカーでレース観戦していた。

しかしこの日のゴールは、コート・ド・ラ・クロワ・ヌーブの頂上から平坦区間を1.5km走った先にあった。その平坦区間に入った途端、先頭のバルデとピノーを後方から抜き去ったのがカミングスだった。

タイムトライアルが得意なカミングスはそのまま先頭を疾走。ピノーとバルデには抵抗する術がなかった。カミングスはゴールまで残り500メートルでスパートし、南アフリカのチームにとって大切な記念日に初優勝をもたらす快挙を成し遂げた。

区間初優勝のチャンスを失ったバルデは「ティボと一緒に勝利を失う戦術的なミスをおかしてしまった。僕たちはお互いを見ていて、カミングスが追ってきていたのに気がついていなかった」と落胆していた。

ピノーは「ラダニュースとロワの働きがムダになってしまった。ツールではチャンスはそんなにたくさん得られないのに。僕はカミングスが逃げに加わっていることすら知らなかった。彼はとても賢くやってのけたのさ」と、語っていた。

メイン集団ではコート・ド・ラ・クロワ・ヌーブの坂でマイヨ・ブランのキンタナが最初にアタックし、ビンチェンツォ・ニーバリ(アスタナ)とともに先行した。

しかし、マイヨ・ジョーヌのフルームは落ち着いてこの攻撃を鎮圧し、頂上を越えた時にはメイン集団の先頭に立っていた。そしてキンタナとともにゴールへと到着したフルームは、最後にスパートしてキンタナを引き離してフィニッシュ。たった1秒だけ稼ぎ、勝利への貪欲さをアピールした。


■ツールで区間初優勝したカミングスのコメント「勝者としてフィニッシュラインを通過するのはホッとする。僕はそうするだろうと期待されていたことを成し遂げたんだ。チームは大きなモチベーションを抱いてこのステージをスタートした。ツールで勝つのはすばらしいことで、それがマンデラ・デーだったらなおさらだ」

「今朝、僕たちは特別なミーティングをやって、特別なヘルメットもかぶっていた。でも、勝てるとは思っていなかった。それは長い闘いだった。今のところは、自分がツールで区間優勝した実感はない。ツールは夢だからね」


7月19日はマンドからバランスまでの183kmで第15ステージが行なわれる。スタートしてすぐにカテゴリー3のバダルー山に挑み、126.5km地点でははカテゴリー2のエクリネ峠も越えなければならないが、峠を下りきった後は平坦なコースだ。(MAP:ASO)
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■第14ステージ結果[7月18日/ロデーズ~マンド/178.5km]
1 スティーブン・カミングス(MTN・クベカ/英国)4時間23分43秒
2 ティボー・ピノ(FDJ/フランス)+2秒
3 ロマン・バルデ(AG2R/フランス)+3秒
4 リゴベルト・ウラン(エティックス・クイックステップ/コロンビア)+20秒
5 ペーテル・サガン(ティンコフ・サクソ/スロバキア)+29秒
6 シリル・ゴチエ(ヨーロッパカー/フランス)+32秒
7 ルベン・プラサ(ランプレ・メリダ/スペイン)+32秒
8 ボブ・ユンゲルス(トレック/ルクセンブルク)+32秒
9 ホナタン・カストロビエホ(モビスター/スペイン)+32秒
10 サイモン・イエーツ(オリカ・グリーンエッジ/英国)+33秒
20 クリストファー・フルーム(チームスカイ/英国)+4分15秒
21 ナイロ・キンタナ(モビスター/コロンビア)+4分16秒
22 アレハンドロ・バルベルデ(モビスター/スペイン)+4分19秒
23 アルベルト・コンタドール(ティンコフ・サクソ/スペイン)+4分34秒
24 ビンチェンツォ・ニーバリ(アスタナ/イタリア)+4分45秒
25 ティージェイ・バンガルデレン(BMC/米国)+4分55秒
■第14ステージまでの総合成績
1 クリストファー・フルーム(チームスカイ/英国)56時間02分19秒
2 ナイロ・キンタナ(モビスター/コロンビア)+3分10秒
3 ティージェイ・バンガルデレン(BMC/米国)+3分32秒
4 アレハンドロ・バルベルデ(モビスター/スペイン)+4分02秒
5 アルベルト・コンタドール(ティンコフ・サクソ/スペイン)+4分23秒
6 ゲラント・トーマス(チームスカイ/英国)+4分54秒
7 ロベルト・ヘーシンク(ロトNL・ユンボ/オランダ)+6分23秒
8 ビンチェンツォ・ニーバリ(アスタナ/イタリア)+8分17秒
9 トニ・ガロパン(ロット・ソウダル/フランス)+8分23秒
10 バウケ・モレマ(トレック/オランダ)+8分53秒
[各賞]
■ポイント賞(マイヨ・ベール):ペーテル・サガン(ティンコフ・サクソ/スロバキア)
■山岳賞(マイヨ・アポワ):クリストファー・フルーム(チームスカイ/英国)
■新人賞(マイヨ・ブラン):ナイロ・キンタナ(モビスター/コロンビア)
■チーム成績(黄ゼッケン):モビスターチーム(スペイン)
■敢闘賞(赤ゼッケン):ピエールリュック・ペリション(ブルターニュ・セシェアンビロンマン/フランス)
(http://www.letour.fr/le-tour/2015/fr/)


Summary - Stage 14 (Rodez > Mende) - Tour de... 投稿者 tourdefrance_en