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【VUELTA速報】ブエルタでコボが総合優勝/最終区間はサガン優勝

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第66回ブエルタ・ア・エスパーニャが9月11日に閉幕し、地元スペインのフアンホセ・コボ(ジェオックス・TMC)が初優勝した。カンタブリア州出身の選手がブエルタを制したのは、66回の歴史で初めてのことだった。コボはマドリードの表彰台で、この日のレースを観戦したフェリペ王子に祝福された。総合2位はクリストファー・フルーム(スカイ)、3位はブラッドリー・ウィギンス(スカイ)で、表彰台の両脇を英国勢が獲得した。

シルクイト・デル・ハラマ・RACEをスタートし、マドリードの周回コースで競われた95.6kmの最終区間は、スロバキアのピーテル・サガン(リクィガス・キャノンデール)が集団ゴールを制し、今大会3勝目をマークした。日本人としてブエルタに初出場していた土井雪広(スキル・シマノ)は、56秒遅れの147位でゴール。グランツール初出場で初完走を果たしている。

30歳のコボは、今回のブエルタにはデニス・メンショフとカルロス・サストレという、チームの2大エースのアシストとして参加していた。しかしジェオックス・TMCは、初日のチームTTは序盤にダビド・ブランコが落車した影響でリズムを崩してしまい、参加22チーム中21位という成績でブエルタをスタート。メンショフは初日から43秒差を背負うことになり、第3ステージでは他の有力選手よりも1分半近く遅れてゴール。第10ステージの個人TTでも振るわず、今年最難関のアングリル区間の前には、総合首位だったウィギンスに3分近く遅れを取っていた。

ここでチームは作戦を変更し、ウィギンスよりもたった55秒遅れで総合4位に付けていたコボをチーム唯一のエースにする決断を下した。その期待に応えるかのように、コボはアングリル区間で優勝して総合首位の座に躍り出たのだ。「8月最初のブルゴス一周以来、自分が好調なのはわかっていた。そのコンディションをもっとよくするために、その後2週間あった。けれどボクはブエルタにはサストレとメンショフをアシストするために来たんだ。それで3週間後には、ここでブエルタでの優勝について話している。信じられないことだね!」と、第15ステージのアングリルで獲得した赤いリーダージャージのラ・ロハを、マドリードまで守り切ったコボは語った。

「ボクは18ヶ月間、うつ病で苦しんだ。ボクにとって最高の治療は、プレッシャーを持たずにブエルタに来て、ベストを尽くしてみることだった。ボクはアングリルの山頂でラ・ロハを獲得して、そのリードをエンジョイしたよ。もちろんストレスはあったけどね。これが将来、よりコンスタントになる第一歩であったらいいなあ。前にもレースで勝っていたけど、好調であれば自分はグランツールで優勝できるんだとわかった。このブエルタは、外国のビッグレースで同じように戦えるモチベーションになるね」

めまぐるしく所有者が入れ替わったグリーンのポイント賞ジャージ争いは、ホアキン・ロドリゲス(カチューシャ)とバウケ・モレマ(ラボバンク)がポイント差なしで最終日を迎え、そしてついにゴールで決着が付いた。果敢な走りで抵抗を続けていたロドリゲスはこの日ついにギブアップ。集団ゴールスプリントに加わることはしなかった。そして区間9位に入ったモレマが7ポイントを獲得し、逆転でポイント賞を勝ち取っている。オランダ人がブエルタでポイント賞を獲得したのは、1968年のヤン・ヤンセン以来のことだった。

「ボクみたいなクライマーがポイント賞のために集団ゴールに加わるなんて、ちょっとクレイジーだった。でも、ポジション争いを楽しんだよ。ホームストレートがちょっとアップヒルだったのが、ボクには有利だった。チームメートのポール・マルテンスがリードしてくれた。残り500メートルで、ボクは少なくとも10人は追い越したね。ロドリゲスを探したけど見つからなかった。コーナーで彼のチームメートのパオリーニとモレノが、ボクをペースダウンさせようとしたけど、ボクは後方から上がるために十分強いって感じていたよ」と、モレマは最後のゴールスプリントについて語っている。

■第21ステージ[9月11日(日)/シルクイト・デル・ハラマ・RACE→マドリード/95.6km]
1 ピーテル・サガン(リクィガス・キャノンデール/スロバキア)2時間20分59秒
2 ダニエーレ・ベンナーティ(レオパード・トレック/イタリア)
3 アレッサンドロ・ペタッキ(ランプレ・ISD/イタリア)
4 ジョン・デゲンコルプ(HTC・ハイロード/ドイツ)
5 ニコラス・マース(クイックステップ/ベルギー)
6 ピム・リフトハルト(バカンソレイユ・DMC/オランダ)
7 クリストファー・サットン(スカイ/オーストラリア)
8 クーン・デコルト(スキル・シマノ/オランダ)
9 バウケ・モレマ(ラボバンク/オランダ)
10 ビセンテ・レイネス(オメガファルマ・ロット/スペイン)
125 ホアキン・ロドリゲス(カチューシャ/スペイン)+36秒
147 土井雪広(スキル・シマノ/日本)+56秒
[ブエルタ・ア・エスパーニャ2011 個人総合最終成績]
1 フアンホセ・コボ(ジェオックス・TMC/スペイン)84時間59分31秒
2 クリストファー・フルーム(スカイ/英国)+13秒
3 ブラッドリー・ウィギンス(スカイ/英国)+1分39秒
4 バウケ・モレマ(ラボバンク/オランダ)+2分03秒
5 デニス・メンショフ(ジェオックス・TMC/ロシア)+3分48秒
6 マクシム・モンフォール(レオパード・トレック/ベルギー)+4分13秒
7 ビンチェンツォ・ニーバリ(リクィガス・キャノンデール/イタリア)+4分31秒
8 ユルフン・バンデンブルック(オメガファルマ・ロット/ベルギー)+4分45秒
9 ダニエル・モレノ(カチューシャ/スペイン)+5分20秒
10 ミケル・ニエベ(エウスカルテル・エウスカディ/スペイン)+5分33秒
11 ヤコブ・フグルサング(レオパード・トレック/デンマーク)+5分50秒
12 クリス・セーレンセン(サクソバンク・サンガード/デンマーク)+7分04秒
13 ダニエル・マーティン(ガーミン・サーベロ/アイルランド)+7分22秒
14 マルツィオ・ブルセギン(モビスターチーム/イタリア)+8分52秒
15 セルゲイ・ラグティン(バカンソレイユ・DMC/ウズベキスタン)+8分57秒
16 ニコラス・ローチ(AG2R/アイルランド)+10分25秒
17 ウォートル・プールス(バカンソレイユ・DMC/オランダ)+11分42秒
18 ロベルト・キーゼルロブスキー(アスタナ/クロアチア)+13分27秒
19 ホアキン・ロドリゲス(カチューシャ/スペイン)+15分07秒
20 カルロス・サストレ(ジェオックス・TMC/スペイン)+20分08秒
150 土井雪広(スキル・シマノ/日本)+4時間30分47秒
[各賞]
■ポイント賞:バウケ・モレマ(ラボバンク/オランダ)
■山岳賞  :ダビー・モンクティエ(コフィディス/フランス)
■コンビネーション賞:フアンホセ・コボ(ジェオックス・TMC/スペイン)
■チーム成績:ジェオックス・TMC(スペイン)
■敢闘賞:アドリアン・パロマレス(アンダルシア・カハグラナダ/スペイン)
(http://www.lavuelta.com/)

●フアンホセ・コボ(ジェオックス・TMC)
1981年11月2日スペイン、カンタブリア州カベソン・デ・ラ・サル生まれ。30歳。2003年にビーニカルディローラでデビュー。2004年からサウニエルドゥバルに所属し、2007年にバスク一周で区間2勝して総合優勝した。2008年にはツール・ド・フランスのオタカム区間で、チームメートのレオナルド・ピエーポリをアシストして区間2位になった(後にピエーポリはEPOで陽性が発覚)。2009年のブエルタでは、区間優勝して総合10位。今季はブエルタ直前のブルゴス一周で総合3位になり、トップコンディションでブエルタに参加していた。