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【TOUR速報】ツール2011開幕! 初日はジルベールが圧勝!!

レース


第98回ツール・ド・フランスが西部バンデー地方で7月2日に開幕した。初日はパサージュ・デュ・ゴワからモン・デ・アルエットまでの191.5kmで第1ステージが競われ、この区間で最有力優勝候補だったベルギーチャンピオンのフィリップ・ジルベール(オメガファルマ・ロット)が、圧倒的な強さを見せつけて区間優勝を果たし、念願のマイヨ・ジョーヌを獲得した。2位はカデル・エバンズ(BMCレーシング)、3位はトール・ヒュースホーウト(チームガーミン・セルヴェロ)だった。この日は初日ということもあって落車が続発。ゴール残り9km地点でマクシム・イグリンスキー(アスタナ)が沿道の観客にぶつかって落車する事故があり、集団が2つに分断。総合優勝候補のアルベルト・コンタドール(サクソバンク・サンガード)は後方集団に取り残され、初日から1分20秒を失う波乱の幕開けとなってしまった。

第1ステージは快晴の下をスタート。気温は25度Cだった。干潟で有名なパサージュ・デュ・ゴワは、落車が続発する危険ポイントととして悪名が高い難所だが、今回主催者ASOは、このエリアを競技を行わないニュートラルゾーンにした。そのためスタートから15.5kmはいわゆるパレード走行となり、選手たちは一度パサージュ・ド・ゴワで止まり、レースディレクターのクリスティアン・プルドムや地元の名士たちがテープカットを行うツール開幕セレモニーが行われた。

オフィシャル・スタートの旗が振り下ろされると同時にアタックしたのは、地元バンデー地方出身のペリグ・ケムヌー(チームヨーロッパカー)だった。リューウェ・ウェストラ(バカンソレイユ・DMC)とジェレミー・ロワ(FDJ)がケムヌーに合流し、3人は最大で6分45秒差を付けて逃げ続けた。

今年のツールはポイント賞のルールが変わり、コース上の中間スプリント地点は1ヶ所になり、1位通過から15位通過の選手にポイントが配分されるようになった。1位通過の選手には20ポイント、2位には17ポイント、3位には15ポイントが与えられるため、マイヨ・ベール争いに加わる選手は、毎日このポイントで勝負をしなければならない。この日は逃げる3人が通過したあと、集団の先頭を勝ち取ったのはタイラー・ファーラー(チームガーミン・セルヴェロ)だった。

残り18kmでケムヌー、ウェストラ、ロワの3人は集団に吸収。しかし、この日のゴールだったモン・デ・アルエットは、カテゴリー4の山岳に設定されたゆるやかな丘だった。残り9kmの落車事故で40人ほどに絞られた集団の先頭では、ジルベールがその瞬間を待っていた。残り1kmのフラム・ルージュで最初に仕掛けたのはアレクサンドル・ヴィノクロフ(アスタナ)だったが、失敗。つづいて左側からスキを付いてファビアン・カンチェッラーラ(レオパード・トレック)がアタック。残り700メートルからのアタックが決まるかという期待は、ジルベールの追走で水泡に帰した。ベルギーチャンピオンはTTスペシャリストのカンチェッラーラを難なく捕らえて追い抜き、最後は後続に3秒差を付け、チャンピオンジャージの胸元にキスをしてゴールに飛び込んだ。初日の区間で優勝したジルベールは、マイヨ・ジョーヌだけでなくマイヨ・ベール、マイヨ・アポワも独占してしまった。

コンタドールは1分20秒後にアンディ・シュレック(レオパード・トレック)やブラッドリー・ウィギンス(スカイ)ら総合争いのライバルたちと一緒にゴールしたが、彼らはコンタドールが巻き込まれた残り9km地点の落車事故ではなく、ゴール手前3kmで起きた落車事故で遅れていた。このため3kmルールが適用され、シュレックたちには先頭集団と同じ6秒遅れのタイムが計測されている。

今年、春のクラシックではブラバンツペイル、アムステル・ゴールド・レース、フレッシュ・ワロンヌ、リエージュ・バストーニュ・リエージュの4レースを制し、その後のロンド・バン・ベルギーとステル・ZLM・ツールという2つのステージレースでは総合優勝。ベルギータイトルも獲得し、往年のエディ・メルクスを彷彿とするような快進撃を続けるジルベールの走りには迷いが一切なく、いともあっさりと夢のマイヨ・ジョーヌを手中に収めてしまった。

「ボクはリエージュ、アムス、フレッシュ・ワロンヌみたいなビッグレースで勝つのを夢見るけど、ツール・ド・フランスで勝つのは特別だ。それはまた別の夢さ。これまでに区間優勝もしたことがなかったし、マイヨ・ジョーヌも獲得したことがなかった。だからボクには、とても素晴らしい1日だ」と、ジルベールはついに夢を実現させたことを喜んだ。「昨日の夜、ボクはルームメートと話していて、残り1kmちょっと手前の坂がキツイ場所では、すごく激しく引かなければならないと言ってたんだ。そこでは誰かがボクと一緒じゃなければと言っていた。ボクたちはカンチェッラーラがそこでアタックするのがわかっていた。彼にはもってこいの場所だったからだ。そして彼は、ものすごい馬力で後方から上がってくることができる。それが実際に起こったのさ。ボクには反応する準備ができていたから、パニックは起こさなかった。ボクはその瞬間にただ彼を追って動いて、後ろを走った。彼があきらめたとき、ボクは自分自身に「迷うな」と言った。ボクは行かなければならなかった。まだ500メートル残っていて、それは長い道程だった。でもボクは「いいや、ボクは差を付けてるんだから、行かなくちゃ」と思った。エンジン全開でね!」

 


■第1ステージ結果[7月2日/パサージュ・デュ・ゴワ→モン・デ・アルエット/191.5km]
1 フィリップ・ジルベール(オメガファルマ・ロット/ベルギー)4時間41分31秒
2 カデル・エバンズ(BMCレーシング/オーストラリア)+3秒
3 トール・ヒュースホーウト(チームガーミン・セルヴェロ/ノルウエー)+6秒
4 ホセホアキン・ロハス(モビスターチーム/スペイン)+6秒
5 ユルフン・バンデブルック(オメガファルマ・ロット/ベルギー)+6秒
6 ゲラント・トーマス(スカイ/英国)+6秒
7 アンドレアス・クローデン(レディオシャック/ドイツ)+6秒
8 レイン・ターラマエ(コフイディス/エストニア)+6秒
9 クリストファー・ホーナー(レディオシャック/米国)+6秒
10 トニー・マルティン(HTC・ハイロード/ドイツ)+6秒

12 フランク・シュレック(レオパード・トレック/ルクセンブルク)+6秒
14 トーマ・ボークレール(チームヨーロッパカー/フランス)+6秒
15 ダミアーノ・クネゴ(ランプレ・ISD/イタリア)+6秒
16 デービッド・ミラー(チームガーミン・セルヴェロ/英国)+6秒
17 アレクサンドル・ヴィノクロフ(アスタナ/カザフスタン)+6秒
18 ファビアン・カンチェッラーラ(レオパード・トレック/スイス)+6秒
23 トム・ボーネン(クイックステップ/ベルギー)+6秒
36 サムエル・サンチェス(エウスカルテル・エウスカディ/スペイン)+1分20秒
35 アルベルト・コンタドール(サクソバンク・サンガード/スペイン)+1分20秒
39 アンディ・シュレック(レオパード・トレック/ルクセンブルク)+6秒
45 リーバイ・ライフェイマー(チームレディオシャック/米国)+6秒
47 ヤネシュ・ブライコビッチ(チームレディオシャック/スロベニア)+6秒
53 イバン・バッソ(リクィガス・キャノンデール/イタリア)+6秒
63 ブラッドリー・ウィギンス(スカイ/英国)+6秒
■第1ステージまでの総合成績
1 フィリップ・ジルベール(オメガファルマ・ロット/ベルギー)4時間41分31秒
2 カデル・エバンズ(BMCレーシング/オーストラリア)+3秒
3 トール・ヒュースホーウト(チームガーミン・セルヴェロ/ノルウエー)+6秒
4 ホセホアキン・ロハス(モビスターチーム/スペイン)+6秒
5 ユルフン・バンデブルック(オメガファルマ・ロット/ベルギー)+6秒
6 ゲラント・トーマス(スカイ/英国)+6秒
7 アンドレアス・クローデン(レディオシャック/ドイツ)+6秒
8 レイン・ターラマエ(コフイディス/エストニア)+6秒
9 クリストファー・ホーナー(レディオシャック/米国)+6秒
10 トニー・マルティン(HTC・ハイロード/ドイツ)+6秒

12 フランク・シュレック(レオパード・トレック/ルクセンブルク)+6秒
14 トーマ・ボークレール(チームヨーロッパカー/フランス)+6秒
15 ダミアーノ・クネゴ(ランプレ・ISD/イタリア)+6秒
16 デービッド・ミラー(チームガーミン・セルヴェロ/英国)+6秒
17 アレクサンドル・ヴィノクロフ(アスタナ/カザフスタン)+6秒
18 ファビアン・カンチェッラーラ(レオパード・トレック/スイス)+6秒
23 トム・ボーネン(クイックステップ/ベルギー)+6秒
33 アンディ・シュレック(レオパード・トレック/ルクセンブルク)+6秒
38 リーバイ・ライフェイマー(チームレディオシャック/米国)+6秒
39 ヤネシュ・ブライコビッチ(チームレディオシャック/スロベニア)+6秒
44 イバン・バッソ(リクィガス・キャノンデール/イタリア)+6秒
50 ブラッドリー・ウィギンス(スカイ/英国)+6秒
79 サムエル・サンチェス(エウスカルテル・エウスカディ/スペイン)+1分20秒
82 アルベルト・コンタドール(サクソバンク・サンガード/スペイン)+1分20秒
■マイヨ・ジョーヌ:フィリップ・ジルベール(オメガファルマ・ロット/ベルギー)
■マイヨ・ベール:フィリップ・ジルベール(オメガファルマ・ロット/ベルギー)
*第2ステージはカデル・エバンズ(BMCレーシング)が着用
■マイヨ・アポワ:フィリップ・ジルベール(オメガファルマ・ロット/ベルギー)
*第2ステージはトール・ヒュースホーウト(チームガーミン・セルヴェロ)が着用
■マイヨ・ブラン:ゲラント・トーマス(スカイ/英国)
■チーム成績:オメガファルマ・ロット(ベルギー)
■赤ゼッケン(敢闘賞):ペリグ・ケムヌー(チームヨーロッパカー/フランス)
(http://www.letour.fr/)