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【ツール速報】 第1ステージは落車を逃れたペタッキ優勝

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第97回ツール・ド・フランスは、7月4日にオランダのロッテルダムからベルギーの首都ブリュッセルまでの223.5kmで第1ステージを競い、大落車に見舞われた集団ゴールスプリントを制してイタリアのアレッサンドロ・ペタッキ(ランプレ・ファルネーゼビーニ)が区間優勝した。2位はマーク・レンショウ(チームHTC・コロンビア)、3位はトール・ヒュースホーウト(セルヴェロテストチーム)だった。マイヨ・ジョーヌのファビアン・カンチェッラーラ(チームサクソバンク)もゴール前の落車に巻き込まれてしまったが、残り3kmを切ってからの落車で遅れた場合、タイムは加算されないルールにより、総合上位に変動はなかった。日本の新城幸也(Bボックス・ブイクテレコム)は35位でゴールし、総合は1分22秒遅れの170位になった。

プロローグの落車で負傷したマティアス・フランク(BMCレーシング)とマヌエル・カルドソ(フートン・セルベット)が出走せず、195選手が快晴のロッテルダムを出発。オフィシャル・スタートを知らせる旗が振り下ろされると同時に、地元オランダのラルス・ボーム(ラボバンク)がアタック。すぐにアラン・ペレス(エウスカルテル・エウスカディ)と、この日のゴールであるベルギー出身のマールテン・ワイナンツ(クイックステップ)が合流し、3人は10km地点で6分差を付けて逃げ続けた。「ベルギー国境を先頭で通過したときには、鳥肌が立ったよ」と、果敢な逃げでこの日の敢闘賞を獲得したワイナンツはゴール後に語っていた。

55km地点でコースに犬が飛び出して落車事故が起こり、マイヨ・ベールを着たデービッド・ミラー(ガーミン・トランジションズ)とイバン・バッソ(リクィガス・ドイモ)が巻き込まれるハプニングがあったが、幸い2人ともケガはなかった。残り27kmでボームとペレスは先頭から脱落したが、地元のワイナンツだけが抵抗。そこに後方からモルドバチャンピオンのアレクサンダー・プリューシン(チームカチューシャ)が合流したが、2人とも残り9kmを切ったところでメイン集団に捕まってしまった。

今年最初のステージは、予想通り大集団でのゴールスプリントが競われると思われた矢先。残り2kmの右カーブを曲がりきれなかった選手が落車。その中には区間優勝候補の筆頭だったマーク・カベンディッシュ(チームHTC・コロンビア)やオスカル・フレイレ(ラボバンク)、ジェレミー・ハント(セルヴェロテストチーム)が含まれていた。さらに落車は続き、残り1キロのフラム・ルージュを通過してすぐに起こった大落車で、ほとんどの選手が足止めをくらってしまった。最後は20人程度の小集団でのゴールになり、ベテランのペタッキがゆとりのスプリントで2003年に4勝して以来、5度目の区間優勝を獲得した。

「最後のコーナーで落車があり、とても特別な終わりだった。ボクは落車を見ていなかったが、みんながブレーキをかけたがらず、とんでもないスピードでコーナーに入ったのは知っていた。だから必然的に、最後に本当の混沌があったけど、ボクは手前からアタックすることを決めていた。まだマーク・レンショウのように打ち負かさなければならない強い男がいたけど、アップヒルでとても難しいだろうとわかっていた。でも、成功したよ。ボクはとても素晴らしいスプリントをしたと思う」と、36歳のペタッキは喜びを語った。かつての世界最速スプリンターにとって、7年ぶりのツール区間優勝は若手のトップスプリンターであるカベンディッシュやタイラー・ファーラー(ガーミン・トランジションズ)と競って得た勝利ではなかったが「これは期待していなかった勝利だとは思わない。ボクはここにスプリントして勝つために来てるからね。他のスプリンターたちと競える別のシチュエーションがあるといいね。けれど、もしも今日カベンディッシュがいたとして、彼がボクを打ち負かしただろうとは思わないね。ボクは本当に素晴らしいスプリントをしたからサ」と、ベテランのペタッキはゆとりの発言をしていた。彼はこの区間優勝でマイヨ・ベールも獲得している。

ベルギーの首都ブリュッセルにゴールした第1ステージの表彰式には、アルベール国王も参列。英雄エディ・メルクスとともにツールのゴールを堪能していた。第2ステージはブリュッセルをスタートして南部ワロン地方、リエージュ近郊のスパにゴールする201km。後半にはリエージュ・バストーニュ・リエージュで登場するアルデンヌの丘が続き、誰が今年最初のマイヨ・アポワにソデを通すかが楽しみだ。

■第1ステージ[7月4日/ロッテルダム→ブリュッセル(ベルギー) /223.5km]
1 アレッサンドロ・ペタッキ(ランプレ・ファルネーゼビーニ/イタリア) 5時間09分38秒
2 マーク・レンショウ(チームHTC・コロンビア/オーストラリア)
3 トール・ヒュースホーウト(セルヴェロテストチーム/ノルウエー)
4 ロビー・マキュアン(チームカチューシャ/オーストラリア)
5 マテュー・ラダニュー(FDJ/フランス)
6 ダニエル・オス(リクィガス・ドイモ/イタリア)
7 ホセホアキン・ロハス(ケスデパーニュ/スペイン)
8 クリスティアン・クニース(チームミルラム/ドイツ)
9 ルベン・ペレス(エウスカルテル・エウスカディ/スペイン)
10 ユルフン・ルーランツ(オメガファルマ・ロット/ベルギー)
■第1ステージまでの総合成績
1 ファビアン・カンチェッラーラ(チームサクソバンク/スイス)     5時間19分38秒
2 トニー・マルティン(チームHTC・コロンビア/ドイツ)            +10秒
3 デービッド・ミラー(ガーミン・トランジションズ/英国)            +20秒
4 ランス・アームストロング(チームレディオシャック/米国)           +22秒
5 ゲラント・トーマス(チームスカイ/英国)                   +23秒
6 アルベルト・コンタドール(アスタナ/スペイン)                +27秒
7 タイラー・ファーラー(ガーミン・トランジションズ/米国)           +28秒
8 リーバイ・ライフェイマー(チームレディオシャック/米国)           +28秒
9 エドワルド・ボアソンハーゲン(チームスカイ/ノルウエー)           +32秒
10 リーヌス・ゲルデマン(チームミルラム/ドイツ)                +35秒
■マイヨ・ジョーヌ:ファビアン・カンチェッラーラ(チームサクソバンク/スイス) 
■マイヨ・ベール :アレッサンドロ・ペタッキ(ランプレ・ファルネーゼビーニ/イタリア)
■マイヨ・ブラン :トニー・マルティン(チームHTC・コロンビア/ドイツ) 
■チーム成績   :チームレディオシャック(米国)
(http://www.letour.fr/)

【Tour Depot News】
●第1ステージの40km地点で落車したアダム・ハンセン(チームHTC・コロンビア)は鎖骨を骨折した疑いがあったが、そのまま競技を続行。チームのために献身的に働いて完走した。しかしゴール後、すぐに病院でC検査を受けた結果、複数の骨折が見つかり(※チームは骨折個所を発表していない)、第2ステージは出走しないことになった。「とても残念だよ。このツールを本当に楽しみにしていて、今は怒っている。みんなは8人で走らなければならなくなったからね...」と、ハンセンは語っている。