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【Tour速報】ツール第15ステージは集団ゴールスプリントでクリストフが今大会2勝目をマーク

レース

第101回ツール・ド・フランス(UCIワールドツアー)は、7月20日にタラールからニームまでの222kmで第15ステージを競い、オフィシャルスタートから逃げ続けたスイスチャンピオンのマルティン・エルミーゲル(IAM)とニュージーランドのジャック・バウアーがフィニッシュライン目前で吸収された。

最後は集団ゴールスプリントを制してノルウエーのアレクサンダー・クリストフ(カチューシャ)が今大会2勝目を上げた。マイヨ・ジョーヌはイタリアチャンピオンのビンチェンツォ・ニーバリ(アスタナ)が守った。
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第15ステージはアルプスからピレネーへと向けて、フランス南部のプロバンス地方を移動するステージで、カテゴリー付けされた山岳ポイントがないコースだった。171選手がタラールからスタートした。

0kmアタックを決めたのは、真紅のスイスチャンピオンジャージを着たエルミーゲルだった。すぐにバウアーが合流し、2人の長い旅が始まった。

ツール初出場のIAMサイクリングは、第7ステージの落車で総合のエースだったマティアス・フランクを失ってしまったため、チームの目標を区間優勝に切り替えていた。

2人は26km地点で最大8分50秒差を付けたが、集団ではゴールスプリントを狙うジャイアント・シマノとロット・ベリソルが仕事を開始。さらにカチューシャも加わり、タイム差は縮まっていった。

ちょうどコースを半分消化した補給所で、逃げる2人と集団のタイム差は6分半になっていた。ゴールまで残り70kmになると、強い横風が吹き始め、行手には暗雲が見え始めた。

残り60kmで、BMCがチームタイムトライアルのように集団を引き始めた。マイヨ・ジョーヌのニーバリは、すぐに後方から上がってきて集団の分裂に備えたが、この日は総合を左右するような動きは起きなかった。

ゴールまで残り50kmになると雨が降り始めたが、先頭の2人は2分前後のタイム差を守って逃げ続けた。集団からはミハウ・クウィアトコウスキー(オメガファルマ・クイックステップ)が飛び出す場面があったが、残り16kmで吸収された。
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ゴールのニームが近づくと雨は止み、太陽が顔を出した。残り5kmを切ると、逃げる2人のタイム差は30秒を切っていた。終盤はオメガファルマ・クイックステップが激しく動き、ヤン・バークランツやトニー・マルティンが飛び出したが、成功はしなかった。

フラム・ルージュでエルミーゲルとバウアーは、迫り来る集団にたった13秒差で先行していた。222km逃げた末に、2人はゴール目前で集団ゴールスプリントの大波に飲み込まれてしまった。

そしてゴール勝負を制したのは、第12ステージですでに1勝していたノルウエーのクリストフだった。たった25メートルで勝利を失ったバウアーは、ゴール後にくやし泣きしていた。

一方、今大会で2度目の敢闘賞を獲得したエルミーゲルは「脚の調子がすごい良いわけではなかった。2週目の終わりでみんな疲れているから当たり前だ。でも、ボクは1日中闘うことができたから幸せだよ」と、語っていた。

「風のせいで厳しかったから、最後まで逃げられるとは思っていなかった。にもかかわらず、ハウスラーが区間2位になったのは、チームにとって素晴らしい結果だった。ボクたちはこのツールでずっとツイてなかったからね」
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■ツールで区間2勝目を上げたクリストフのコメント「ボクが最初に区間優勝した日に、トール・フースホフトがテキストメッセージを送ってきて、“あと9”と言ってきた。だから今日で“あと8”になったよ!(※フースホフトはツールで区間通算10勝を上げている)それは多い、多分多すぎるけどね」

「1度のグランツールで2ステージも勝てるなんて思ってなかった。だからもっとなんてわからないよ。ツールの区間優勝とミラノ~サンレモを比較することは今でも難しいけれど、同じようにパリで勝てたらすごいだろうね」

「通常、ボクは平坦でグライペルやキッテルと闘えるような高速スプリンターではない。でも、ボクは彼らより軽いんだ。多分今日はそれがボクの強みになったんだ」

「レース中は彼らが疲れている様子はなかったけれど、ボクが彼らを打ち負かせたということは、彼らはアルプス登坂の後で疲れていたということなんだと思うよ」


7月21日は2度目の休養日となる。選手たちはピレネー山岳3連戦と個人タイムトライアルが待ち構える最終週に備えて十分な休養を取らなければならないだろう。

22日からはピレネー山岳区間がスタートする。初日はカルカッソンヌバニェール・ド・ルションまでの237.5kmで第16ステージが行われ、後半には標高1755mでカテゴリー超級のバレス峠越えがあるが、ゴールは峠を下った先だ。(MAP:ASO)
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■第15ステージ結果[7月20日/タラール~ニーム/222km]

1 アレクサンダー・クリストフ(カチューシャ/ノルウエー)4時間56分43秒

2 ハインリッヒ・ハウスラー(IAM/オーストラリア)

3 ペーテル・サガン(キャノンデール/スロバキア)

4 アンドレ・グライペル(ロット・ベリソル/ドイツ)

5 マーク・レンショウ(オメガファルマ・クイックステップ/オーストラリア)

6 ブライアン・コカール(ヨーロッパカー/フランス)

7 ラムナス・ナバルダウスカス(ガーミン・シャープ/リトアニア)

8 ロマン・フェイユー(ブルターニュ・セシェ/フランス)

9 ミヒャエル・アルバズィーニ(オリカ・グリーンエッジ/スイス)

10 ジャック・バウアー(ガーミン・シャープ/ニュージーランド)

11 マルセル・キッテル(ジャイアント・シマノ/ドイツ)

16 マルティン・エルミーゲル(IAM/スイス)

44 新城幸也(ヨーロッパカー/日本)

■第15ステージまでの総合成績

1 ビンチェンツォ・ニーバリ(アスタナ/イタリア)66時間49分37秒

2 アレハンドロ・バルベルデ(モビスター/スペイン)+4分37秒

3 ロマン・バルデ(AG2R/フランス)+4分50秒

4 ティボー・ピノ(FDJ.fr/フランス)+5分06秒

5 ティージェイ・バンガルデレン(BMC/米国)+5分49秒

6 ジャンクリストフ・ペロー(AG2R/フランス)+6分08秒

7 バウケ・モレマ(ベルキン/オランダ)+8分33秒

8 レオポルド・ケーニヒ(ネットアップ・エンデューラ/チェコ)+9分32秒

9 ローレンス・テンダム(ベルキン/オランダ)+10分01秒

10 ピエール・ロラン(ヨーロッパカー/フランス)+10分48秒

79 新城幸也(ヨーロッパカー/日本)+2時間12分51秒

[各賞]

■マイヨ・ベール:ペーテル・サガン(キャノンデール/スロバキア)

■マイヨ・アポワ:ホアキン・ロドリゲス(カチューシャ/スペイン)

■マイヨ・ブラン:ロマン・バルデ(AG2R/フランス)

■チーム成績  :AG2R・ラモンディアル(フランス)

■今日の敢闘賞 :マルティン・エルミーゲル(IAM/スイス)

(http://www.letour.fr/)