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【現地速報】 E3プレイスはカンチェッラーラが独走で3度目の優勝

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UCIワールドツアーの1戦である第56回E3プレイス・ハールビークがベルギーのフランダース地方で3月22日に開催され、スイスのファビアン・カンチェッラーラ(レディオシャック・レオパード)が、35kmを独走して3度目の優勝を果たした。2位はスロバキアのペーテル・サガン(キャノンデール)、3位はイタリアのダニエル・オス(BMCサイクリング)だった。日本から唯一参加していた別府史之(オリカ・グリーンエッジ)は、12分15秒遅れの83位で完走した。
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春が訪れる気配はまだまったくないフランダース地方だが、この日は時折薄日が差す曇り空で、雨は降らなかった。しかし相変わらず気温は低く、刺すように冷たい空気のなかを25チームの195選手がスタートした。終盤にレースが動いたのは、ゴールまで残り63kmのターイエンベルフだった。この石畳の坂を得意とするベルギーチャンピオンのトム・ボーネン(オメガファルマ・クイックステップ)がアタックし、ユルフン・ルーランツ(ロット・ベリソル)とともに先行した。この2人にカンチェッラーラ、ズデネク・シュティバル(オメガファルマ・クイックステップ)、エドワルド・ボアソンハーゲンとマテュー・ハイマン(スカイ)、ダニエル・オス(BMCサイクリング)、セプ・バンマルク(ブランコプロ)が合流し、先頭は8人になった。しかし、ティレーノ~アドリーアティコの落車でヒザを負傷していたバンマルクはすぐに脱落してしまった。

追走集団では、残り57kmで後輪が破損してしまったサガンが自転車交換で止まらなければならないアクシデントが発生。幸い交換はスムーズに行われ、彼はすぐに集団に戻ることができた。サガンの復帰を待ってキャノンデールは追撃を開始し、残り43kmでボーネンたちの集団にサガンを送り込むことができた。ここでレースの先頭はすでに精鋭グループに絞りこまれていた。残り40kmのパーテルベルフはボーネンがふたたび先頭で上がったが、病み上がりでまだまだトップコンディションではないベルギーチャンピオンには、そこでカンチェッラーラたちを置き去りにする力は残っていなかった。そして迎えた2.2kmつづくクワルモントの石畳で、満を持してカンチェッラーラがアタック。サガンが追いすがろうと試みたが、差は見る見るうちに開いていった。

ゴールまで残り21kmで、独走を続けるカンチェッラーラと、追走するサガン、オス、ゲラント・トーマス(スカイ)、セバスティアン・ラングベルト(オリカ・グリーンエッジ)、シルバン・シャバネル(オメガファルマ・クイックステップ)の5人との差は1分になっていた。カンチェッラーラはそのままタイム差を守ってゴールし、昨年のロンド・バン・ブラーンデレン(ツール・デ・フランドル)での落車の悪夢を払拭した。追走グループはオスが残り1kmでアタックして2位を狙ったが、ゴールラインでサガンに追いぬかれてしまった。カンチェッラーラよりも2分遅れた集団はゴールスプリントを競い、ボーネンがトップになった。

E3プレイスで3度目の優勝を果たし、北のクラシックの主役に復帰したカンチェッラーラはいかにもホッとした様子で「昨年フランドルで落車して以来、このレースはボクにとって特別な期間の最初のレースで、ボクが好きなレースでもあった。クワルモントで自分に何ができるか試してみたら、ボクは一人になっていた。そしてただゴールへと向かった。たくさんの思いがゴールではこみ上げてきた。過去に起きたことや、妻や家族、チームのサポートなんかが。だからとても大きな勝利だったんだ」と、喜びを語っていた。18日にイタリアで行われたミラノ~サンレモでも2位になったサガンには悔しそうな様子はなく、むしろレース結果に満足しているようだった。「ビッグレースで2回2位になって、コンディションはいい。今日は自転車交換のせいで遅れて、集団に追いつくために脚を使ってしまったから、カンチェッラーラがアタックしたときに付いて行くことができなかった。その後、5人でカンチェッラーラを追いかけたけど、他の選手たちがエネルギーをセーブしようとしていたから上手く行かなかったんだ。ビッグレースで勝つには、運も必要なものさ」この後、ベルギーのフランダース地方では24日にゲント~ベベルゲム(UCIワールドツアー)が開催される。
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■E3プレイス・ハールビーク結果[3月22日/UCIワールドツアー/ベルギー/212km]
1 ファビアン・カンチェッラーラ(レディオシャック・レオパード/スイス)5時間8分28秒
2 ペーテル・サガン(キャノンデール/スロバキア)+1分04秒
3 ダニエル・オス(BMCサイクリング/イタリア)+1分04秒
4 ゲラント・トーマス(スカイ/英国)+1分04秒
5 セバスティアン・ラングベルト(オリカ・グリーンエッジ/オランダ)+1分08秒
6 シルバン・シャバネル(オメガファルマ・クイックステップ/フランス)+1分08秒
7 トム・ボーネン(オメガファルマ・クイックステップ/ベルギー)+2分15秒
8 ルーカ・パオリーニ(カチューシャ/イタリア)+2分15秒
9 エドワルド・ボアソンハーゲン(スカイ/ノルウエー)+2分15秒
10 セバスティアン・テュルゴー(チームヨーロッパカー/フランス)+2分15秒
83 別府史之(オリカ・グリーンエッジ/日本)+12分15秒
(http://e3-harelbeke.be)
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