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小林海(マリノ)の体当たりスペインロードレース参戦記 第3回

レース
・南下して絶好のトレーニング環境へ!

どうも!「小林海の体当たりスペインロードレース参戦記」第3回目です。16日に遂に南下しました!Alicanteという結構大きな街からほんの少し出たビーチ沿いにあるアパートメントの一室を友人のオスカルと借りています。真ん前のビーチなんて、某ゲームのバ◯スシティみたいな感じです。夏場ですとここはリゾート地なので、宿泊費が15日間で900ユーロを超えるみたいですが、今は冬なのでとても格安。15日間で150ユーロ。それを2人で割り勘してるのでかなり安いです。しかも光熱費などすべて込みなので、負担するは食費くらい。とても助かります。
 
近くにある丘からの眺め

僕たちが借りているアパートメント以外にも、この時期安く借りれたり泊れる場所が多いので、たくさんの若手の自転車選手達が来ています。プロも、プロツアーチームやプロコンチネンタルチームがトレーニングキャンプに来ているのはもちろん、個人でもたくさん来ています。自転車選手でトレーニングのためにと言うと安くしてくれたり、融通利く所もあるみたいです。

この辺りの気候や風景ですが、僕が昨年、そし てこの間までいた北部のように緑があふれているのとは違い、乾燥していて、砂漠とまではいかないですが砂の土地です。そして風が強い。山もとても乾いていて、よくブエルタ・ア・エスパーニャで見る灼熱の山って感じです。夏はこの辺走りたくないなあ・・・(笑)。この地方はスペインで2番目に山が多い地方みたいで、2時間程走るだけで獲得標高が1000mを超えます。そして1時間半ほどで標高1000mを超える山までも行けます。練習環境最高です。

この間までいた北の方は今は天気が最悪。毎日雨で、雪もかなり降っているみたい。しかも悪天候が始まったのが16日から。びっくりするくらいのタイミングのよさでこっちに来れました。12月くらいから下りて、1月半ば帰った選手達は天気いい時に南下して悪い時に帰るという結果的に結構意味の無いことをしたということになるので僕的にはヨッシャ!って感じです。できればこのまま北の方は悪天候が続いてトレーニングできなければいいな。というセコいこともたくさん考えています(笑)。

・昼寝は重要!
買い物をして持ち帰るオスカル
さて、こっちでの生活はもちろん2人で自炊してます。まあ、僕は基本料理の手伝いをして、皿洗い担当になっています。2人分なので皿洗いは楽ですし、洗濯物も少ないですし(これは2人でやっている)ので楽ちんです。買い物は近くに大きなスーパーマーケットがあるので特に問題なし。近くって言っても2kmくらいです。歩きだと時間かかるので自転車で行って、僕が外のベンチで待つ係(笑)そしてカート一杯に買い物して、2人で自転車に乗りながら家まで押して行って、また返しに行ってます。
アパートメントの目の前に路面電車の駅があるので、すぐにAlicanteの中心部まで行けるのでこれまた便利。ちょっと遊びに行ったりもできます。トレーニング後に時間があり、暇なときは昼寝してからビーチ沿いを散歩したり、中心部に行ったりして暇をつぶしてます。昼寝重要です!! という感じで生活などはとても順調。
 
Alicanteまでは、8時間の電車移動!


・トレーニングの基準は距離ではなくて時間

トレーニングはかなり乗っていますが、まだまだベースアップの期間。高負荷のメニューはまだ少なめ。シーズンインまで一ヶ月を切っているのでちょいと不安ですがここは焦らずベースアップに努めています。僕のトレーニングメニューは詳しくは書けませんが、巡航は回転数多めで、上りはアウターで低回転でパワーで走ったり、アウタートップでゼロ発進のスプリントというトレーニングをしています。そして時間も長くなってきました。5時間以上乗る日もたくさんあります。先日は6時間超えのトレーニングをした日もありましたが、こんなに乗ったのは昨年の全日本選手権前以来なのでさすがにしんどかったです。

あ、そうそう。今回書こうと思ったのはトレーニングの時間のこと。最近いろんな所で取り上げられてるので知っている方もたくさんいると思いますが、今は基本的に距離では無く時間でトレーニングします。距離でトレーニングすると地形は天気速度などで強度と時間が大きく変わってしまいます。同じ120kmでも平地、アップダウン、山岳コースでは練習時間が大きく変わりますし、強度なども変わってきますし、もちろん目的も変わってきます。

レースでの120kmとトレーニングでの120kmでは恐らく約1時間程も違います。例えば120kmのレースで平均出力が240w、そして4kmの上りを10分4本350wで上って、3時間かかったたなら、同じ距離のトレーニングをしても4時間以上はかかるでしょう。平地での集団で走ってる速度が違いすぎますし、上りでも勾配によっては同じ出力、距離でも全然時間が大きく変わってきます。それなら120kmではなく、3時間を240w前後、そして4km上るのではなく4本10分350wで上ればレースに似てきます。このようにレースのことを考えてトレーニングするには時間の方が適しているのです。より細かくトレーニングできるのです。

 
バ○スシティみたいな所で一休憩


基本的なトレーニングの例を。まず何時間トレーニングするか。そしてそこにどのような地形で何分どれくらいの強度で走るかというメニューが組み込まれていき ます。もっと詳しくいくと何ワット~何ワットまたは心拍数、そして何回転で何分でインターバルが何分。もーっと細かい時は、勾配何%~何%とまで指定され る時も。そしてインターバルトレーニング以外の巡航してる時の強度の範囲も基本的には決められています。なので巡航中に坂が来たからといって速度を維持す るために強度を高めて走ればいいという訳でも無いのです。こういうのをコーチに組んでもらってるわけです。
ちょっとわかりづらかったかも知れませんが、今回はここまで!これ以上書いたらもっと分かり難くなると思うので(笑)。それではまた次回を楽しみにしていてください!Hasta pronto!!


連載第2回はこちら!

 
●小林海
「海」って書いてマリノと読む。スペイン人の父と日本人の母を持つハーフで今年20歳。U23二年目のヨーロッパで トッププロを目指すロード選手。自転車歴は2年10ヶ月程と短いですが、遅く始めたのはハンデでは無くもはやアドバンテージだと思って日々楽しんで自転車ロードレースをやっています。自転車に乗り始めたきっかけなんとダイエット!
自転車ロードレースという競技自体はその頃から知っていましたが、最初は84kgという巨体をどうにかするために乗り始めました。自転車は体への負担が少なく痩せやすいと知っていたので。そして3ヶ月で20kgの減量に成功。そうして走る中で、自分が以外にも速いんじゃないか?と思い始め、思い切ってレースの世界へ。
2012年全日本実業団カテゴリーE2、3の3デイズ・熊野でステージ1勝&総合優勝、経済産業大臣旗杯ユースカテゴリー優勝。2013年JPTジャパンプロツアーに参戦。JPT群馬CSCロードレース15位、その後そして夏に2ヶ月間スペインで修行。帰国後のJPT経済産業大臣旗23位。