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【ツール速報】 ツール開幕! プロローグはカンチェ優勝

レース

第97回ツール・ド・フランスが7月3日に、オランダのロッテルダムで開幕した。初日は8.9kmのプロローグが競われ、スイスのファビアン・カンチェッラーラ(チームサクソバンク)が、TT世界チャンピオンの貫禄を見せつけて優勝し、最初のマイヨ・ジョーヌにソデを通した。カンチェッラーラがツールのプロローグで優勝したのは、2004年、2007年、そして昨年に続いて4度目。2位にはトニー・マルティン(チームHTC・コロンビア)が10秒差で入り、新人賞のマイヨ・ブランを獲得している。3位はデービッド・ミラー(ガーミン・トランジションズ)だった。2年連続でツール出場を果たした日本の新城幸也(Bボックス・ブイクテレコム)は、1分22秒遅れの174位で初日を終えている。

今年のプロローグは、天候の変化を考慮して序盤のスタートを選択したブラッドリー・ウィギンス(チームスカイ)のような優勝候補もいたが、午後早くから雨天になり、終盤まで断続的に降り続く天気になった。11番目スタートだったマルティンは、雨天も怖れず平均時速52.5km/hで疾走。暫定トップの座を、最終走者の前にスタートしたカンチェッラーラが、ゴールするまで明け渡すことはなかった。「長い待機だった。ガールフレンドが一緒にいて、落ち着かせてくれたからよかったよ。レースはよく走れたと感じていたけど、自分が十分にやれたのかと疑問に思いながら、他の選手たちが入ってくるのを見ているのは、緊張感があった。最後に、ファビアンがまさっていた。いつものようにだ。ボクたちはいいポジションにいて、賞を取って、今、ボクは総合成績でもいい位置だ。それには満足しているけど、マイヨ・ジョーヌも取れたらすごかったろうね」と、25歳のマルティンは語っている。

昨年に続いてツールで最初のマイヨ・ジョーヌを獲得したカンチェッラーラは「もちろん我々は天候で賭けをしなければならなかった。長い時間、自分の番を待ってバスの中で座っているのはちょっと大変だ。けれど、一日の終わりは黄金色で、輝いて、日差しに満たされていた。スタートを遅らせたのは正しい決断だった。チームメートの1人に付いていって、どれだけ路面が濡れているのかを見に行った。昨日コースではトレーニングしたけど、その時は暑くて、コンディションが異なっていたからね。状況への対処というものは受け入れなければならないが、ボクそれをやってのけて、この結果はうれしいよ」と、語った。今年5月下旬に、レース界には小型モーターを自転車に仕込む『メカニック・ドーピング』疑惑が浮上し、真っ先にその疑惑の矢面に立たされたのが、春先のクラシックで驚異的な勝利を収めていたカンチェッラーラだった。この疑惑を払拭するために、国際自転車競技連合(UCI)は、今回のツールでレース後に選手が使用した自転車をスキャンして調べる検査を導入している。「リベンジという気持ちはなかった。ただ一番速く走りたいと思って、そうしただけだ。マイヨ・ジョーヌをアランベール(第3ステージ)まで守ることが重要だ。けれどまず、ブリュッセルからスパまでの、第2ステージのゴールは平坦ではない。それでも、石畳でマイヨ・ジョーヌを着るのにトライすることが目標さ」

第2ステージはロッテルダムをスタートしてオランダに別れを告げ、隣国ベルギーの首都ブリュッセルにゴールする平坦コース。有名なアトミウムを臨むフィニッシュラインでは、待望のスーパースプリンター対決が見られるだろう。

■プロローグ[7月3日/ロッテルダム→ロッテルダム(オランダ/個人TT)/8.9km]
1 ファビアン・カンチェッラーラ(チームサクソバンク/スイス)        10分00秒
2 トニー・マルティン(チームHTC・コロンビア/ドイツ)            +10秒
3 デービッド・ミラー(ガーミン・トランジションズ/英国)            +20秒
4 ランス・アームストロング(チームレディオシャック/米国)           +22秒
5 ゲラント・トーマス(チームスカイ/英国)                   +23秒
6 アルベルト・コンタドール(アスタナ/スペイン)                +27秒
7 タイラー・ファーラー(ガーミン・トランジションズ/米国)           +28秒
8 リーバイ・ライフェイマー(チームレディオシャック/米国)           +28秒
9 エドワルド・ボアソンハーゲン(チームスカイ/ノルウエー)           +32秒
10 リーヌス・ゲルデマン(チームミルラム/ドイツ)                +35秒
■マイヨ・ジョーヌ:ファビアン・カンチェッラーラ(チームサクソバンク/スイス) 
■マイヨ・ベール :ファビアン・カンチェッラーラ(チームサクソバンク/スイス)
■マイヨ・ブラン :トニー・マルティン(チームHTC・コロンビア/ドイツ) 
■チーム成績   :チームレディオシャック(米国)
(http://www.letour.fr/)

【Tour Depot News】
●今年のツール・ド・フランスには、22チームの198選手がスタート予定だったが、セルヴェロテストチームのシャビエル・フロレンシオが7月2日に、チームの医療スタッフに申告していなかったエフェドリン入りのサドル痛用クリームを使っていたことが発覚。ドーピング検査で陽性になるおそれがあり、チームのポリシーにも違反したとして、チームから出場を取り消されてしまった。セルヴェロテストチームはフロレンシオの代わりの選手を出場させることを望んだが、今回は負傷などによる欠場ではなく、選手個人の過失が原因だったため、UCIのコミッセールは代替選手の出場を認めなかった。このため、今年のツールは197選手でスタートすることになってしまった。

●プロローグで落車したBMCレーシングチームのマティアス・フランクは、3分32秒遅れの196位でゴールしたが、レース後の検査で右手親指を骨折したことがわかった。顔には縫合が必要なケガを負い、ヒザも打撲。第1ステージは出走しないとチームが発表している。フランク同様にプロローグで落車し、流血しながら6分20秒遅れの最下位でゴールしたフートン・セルベットのマヌエル・カルドソは、頭部とヒザを縫合。頸部と左肩も捻挫しており、彼も第1ステージの出走はむずかしそうだ。

●国際自転車競技連合(UCI)は『メカニック・ドーピング』疑惑対策で、プロローグのゴールで14選手の自転車をスキャンして検査した。対象となったのはサクソバンクのアンディ・シュレック、ファビアン・カンチェッラーラ、ヤコブ・フグルサング、レディオシャックのランス・アームスロトング、チームスカイのブラッドリー・ウィギンス、フアンアントニオ・フレチャ、エドアルド・ボアソンハーゲン、リクィガスのイバン・バッソ、ガーミン・トランジションズのデービッド・ザブリスキー、HTC・コロンビアのトニー・マルティン、マクシム・モンフォール、Bボックス・ブイグテレコムのニコラ・ボゴンディ、ケスデパーニュのルイスレオン・サンチェス、ルイアルベルト・コスタ。問題のある自転車は1台もなかった。