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ツールはアップヒルゴールの第3ステージでサガン2勝目!

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第99回ツール・ド・フランスはベルギーからフランスへと舞台を変え、7月3日はオルシーからブーローニュ・シュル・メールまでの197kmで第3ステージが行われた。カテゴリー4のアップヒルゴールを制したのはスロバキアチャンピオンのピーテル・サガン(リクィガス・キャノンデール)で、早くも今大会2勝目をマーク。2位はエドワルド・ボアソンハーゲン(チームスカイ)、3位はピーテル・ベリッツ(オメガファルマ・クイックステップ)だった。マイヨ・ジョーヌのファビアン・カンチェッラーラ(レディオシャック・ニッサン)は区間4位でゴールし、この日も総合首位の座を守った。先頭グループはゴール手前500メートルで落車が発生したため、優勝したサガン以外の選手に1秒遅れの同タイムが与えられ、総合成績に大きな変動はなかった。

ベルギー国境を越えた北フランスで行われた第3ステージは198選手が出走。スタートの気温は18度Cで、断続的に雨が降る天気だった。5km地点で5人がアタックし、この日の逃げグループを形成した。メンバーはジョバンニ・ベルノードー(ヨーロッパカー)、ルベン・ペレス(エウスカルテル・エウスカディ)、アンドレイ・グリフコ(アスタナ)、セバスティアン・ミナール(AG2R・ラモンディアル)、そしてミカエル・モルコフ(サクソバンク・ティンコフバンク)がマイヨ・アポワを守るため、3日連続で逃げに加わっていた。23km地点で5人とレディオシャック・ニッサンがコントロールする集団の差は5分に開いていた。

79km地点でヤネシュ・ブライコビッチ(アスタナ)が落車に巻き込まれて集団から遅れたが、5km追走の後、合流した。集団の先頭は区間優勝を狙うリクィガス・キャノンデールがレディオシャック・ニッサンを手助けし、逃げのタイム差は縮まっていった。中間スプリントはアルカンシエルのマーク・カベンディッシュ(チームスカイ)が集団の先頭で通過したが、サガンも8位通過できっちりポイントを稼いでいた。

最初のカテゴリー4の丘を越えたあと、140km地点で落車が発生。パブロ・ウルタスン(エウスカルテル・エウスカディ)、タイラー・ファーラーとクリスティアン・バンデベルデ(ガーミン・シャープ)、カンスタンティン・シウツォウ(チームスカイ)が巻き込まれてしまった。シウツォウはレースに復帰することなく、今年最初のリタイア選手になってしまった。彼は検査の結果、脛骨の骨折が判明している。

残り33.5km、先頭の逃げグループはカテゴリー3のモン・ビオレットでベルノードーが脱落し、4人になっていた。ここで集団とのタイム差は2分12秒になっていた。メイン集団では残り30kmでも落車が発生し、今度はホセホアキン・ロハス(モビスターチーム)がリタイア。彼は鎖骨を骨折してしまい、ロンドン五輪出場は絶望的になった。3つ目の丘で先頭はマイヨ・アポワのモルコフとウクライナチャンピオンのグリフコだけになり、メイン集団とのタイム差は45秒にまで縮まっていた。残り12kmの丘を先頭で通過したあと、モルコフも限界を迎え、残り7.5kmで50人ほどに絞りこまれた追走集団につかまった。そのすぐ後にグリフコも吸収され、この日の逃げは終了した。結局モルコフは4ヶ所の山岳賞ポイントを先頭で通過。マイヨ・アポワをキープした上に、敢闘賞の赤ゼッケンも獲得している。彼はクライマーではなく、昨年伊豆ベロドロームで行われたトラックパーティでも来日したトラック競技が得意な選手だ。ツール後には団体追い抜きの代表としてロンドン五輪に参加する予定だという。

ゴールまで残り5.5km、先頭集団から最初に仕掛けたのはシルバン・シャバネル(オメガファルマ・クイックステップ)だった。アップヒルのゴールスプリントでは勝ち目がないと踏んだフランス人はロングアタックを試み、フラムルージュ手前で11秒差を付けていたが、最後の上り坂で捕まってしまった。そこから飛び出したサガンには、誰も追いすがることはできなかった。ゴールラインを通過する前に後ろを振り返えり、圧倒的な差を確かめたサガンは、ウォーキングのようなパフォーマンスまで見せるゆとりがあった。「今日は優勝ポーズの計画があったんだ。夕食の席で友達と話していて、ゴールでフォレスト・ガンプをしようってことになってたのさ」と、サガンは優勝インタビューでゴールパフォーマンスについて説明している。「区間2勝はいいね。パリでマイヨ・ベールが欲しい、と思う。それはボクの目標だ。ボクにとっては大きなゴールだと思う。区間優勝することもボクの予定で、もっと区間優勝できないとしても、マイヨ・ベールのためにトライするだろう。勝てると思うよ」区間2勝したサガンはすでに116ポイントを獲得していて、ポイント賞ディフェンディングチャンピオンのカベンディッシュに43ポイントの差を付けている。

4日はアッブビルからルーアンまでの214.5kmで第4ステージが行われる。海岸線を走る前半戦はカテゴリー4の丘が続くが、最後は集団ゴールスプリントになるだろう。

■第3ステージ結果[7月3日/オルシー~ブーローニュ・シュル・メール/197km]
1 ピーテル・サガン(リクィガス・キャノンデール/スロバキア)4時間42分58秒
2 エドワルド・ボアソンハーゲン(チームスカイ/ノルウエー)+1秒
3 ピーテル・ベリッツ(オメガファルマ・クイックステップ/スロバキア)+1秒
4 ファビアン・カンチェッラーラ(レディオシャック・ニッサン/スイス)+1秒
5 ミカエル・アルバズィーニ(オリカ・グリーンエッジ/スイス)+1秒
6 カデル・エヴァンス(BMCレーシング/オーストラリア)+1秒
7 ニコラス・ローチ(AG2R・ラモンディアル/アイルランド)+1秒
8 サムエル・サンチェス(エウスカルテル・エウスカディ/スペイン)+1秒
9 バウケ・モレマ(ラボバンク/オランダ)+1秒
10 ビンチェンツォ・ニーバリ(リクィガス・キャノンデール/イタリア)+1秒
39 新城幸也(ヨーロッパカー/日本)+1秒
■第3ステージまでの総合成績
1 ファビアン・カンチェッラーラ(レディオシャック・ニッサン/スイス)14時間45分30秒
2 ブラッドリー・ウィギンス(チームスカイ/英国)+7秒
3 シルバン・シャバネル(オメガファルマ・クイックステップ/フランス)+7秒
4 ティージェイ・バンガルデレン(BMCレーシング/米国)+10秒
5 エドワルド・ボアソンハーゲン(チームスカイ/ノルウエー)+11秒
6 デニス・メンショフ(カチューシャ/ロシア)+13秒
7 カデル・エヴァンス(BMCレーシング/オーストラリア)+17秒
8 ビンチェンツォ・ニーバリ(リクィガス・キャノンデール/イタリア)+18秒
9 ライダー・ヘシェダール(ガーミン・シャープ/カナダ)+18秒
10 アンドレアス・クローデン(レディオシャック・ニッサン/ドイツ)+19秒
■マイヨ・ジョーヌ:ファビアン・カンチェッラーラ(レディオシャック・ニッサン/スイス)
■マイヨ・ベール:ピーテル・サガン(リクィガス・キャノンデール/スロバキア)
■マイヨ・アポワ:ミカエル・モルコフ(サクソバンク・ティンコフバンク/デンマーク) 
■マイヨ・ブラン:ティージェイ・バンガルデレン(BMCレーシング/米国)
■チーム成績:チームスカイ(英国)
■敢闘賞:ミカエル・モルコフ(サクソバンク・ティンコフバンク/デンマーク)

(http://www.letour.fr/)