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【ツール速報】 第2区間でシャバネル逃げ切りマイヨ獲得☆

レース

第97回ツール・ド・フランスは、7月5日にベルギーのブリュッセルから南部ワロン地方のスパまでの201kmで第2ステージを競い、クイックステップのフランス人、シルバン・シャバネルが雨天の中、191km逃げ切って2度目の区間優勝を果たした。後続集団は落車の影響もあって3分近く遅れ、マイヨ・ジョーヌはファビアン・カンチェッラーラ(チームサクソバンク)からシャバネルへと移った。

第1ステージの序盤で落車して負傷しながらチームのために働いたアダム・ハンセン(チームHTC・コロンビア)は、ゴール後の検査で左鎖骨を骨折していたことが判明。第2ステージは出走せず、194選手がブリュッセルをスタートした。10km地点で飛び出したのはシャバネル。すぐにチームメートのジェローム・ピノー、ライバルチームであるオメガファルマ・ロットのマテュー・ロイドとユルフン・ルーランツ、マルクス・ブルクハルト(BMCレーシングチーム)、セバスティアン・テュルゴー(Bボックス・ブイグテレコム)、レイン・ターラマエ(コフィディス)、フランチェスコ・ガバッツィ(ランプレ・ファルネーゼビーニ)が合流し、8人で先頭集団を形成した。メイン集団では57km地点でミカエル・ドゥラジェ(オメガファルマ・ロット)が雨に濡れた路面のせいで、沿道の柵にぶつかって落車する事故があり、顔を切るケガを負い、途中リタイアした。この落車には、ウラジミール・カルペツ(チームカチューシャ)とジュリアン・ディーン(ガーミン)も巻き込まれた。

ステージ後半、リエージュ・バストーニュ・リエージュに登場するアルデンヌの丘陵地帯に入り、先頭集団から脱落する選手が続出するなか、シャバネルはストックーの丘でアタック。単独でカテゴリー3の山岳ポイントを通過した。メイン集団とシャバネルの差はその時点では1分を切っていたが、雨に濡れたストックーの下りで落車が発生。そのなかには総合優勝候補のアンディ・シュレックとフランク・シュレック(チームサクソバンク)の姿もあった。2人は一時先頭から4分遅れてしまったが、サクソバンクのチームメートたちの働きにより、ゴールまで残り15kmでメイン集団に復帰することができた。この落車の影響でランス・アームストロング(チームレディオシャック)やアルベルト・コンタドール(アスタナ)も一時マイヨ・ジョーヌの集団から遅れてしまっていたが、彼らも無事復帰している。

ストックーの下りで先頭のシャバネルには後方からルーランツが追いつき、一時は2人でゴールを目指したが、残り15km地点でシャバネルがふたたびアタック。ルーランツはついていけず、ここからフランス人の一人旅は始まった。今年のリエージュでは落車で頭蓋骨骨折という重傷を負ってしまったシャバネルだったが、この日はまさに『アルデンヌの王者』だった。シャバネルは単独でフィニッシュラインを通過する前に、お守りのペンダントに口づけをした。「今日は大きなショウだった! ボクはこのツールをいい状態でスタートして、ベストコンディションに近いと言っていた。やっとこのステージでチャンスを得て、勝つことができたんだ。スポーツ人生でいちばん幸せな日だよ。思い起こせば今シーズンは問題続きだった。けれどボクは決してあきらめなかった。今、こんなにも素晴らしい感動があるのなら、とても苦しんだことも後悔しない。自分が望んでいたこの瞬間を満喫しているよ。今日はボクの日だった」と、区間優勝だけでなく、翌日はマイヨ・ジョーヌで故郷フランスへと越境する権利を得たシャバネルは喜びを噛みしめた。「今、ボクは総合で3分近く上回っている。だからこのまま長く行けると思うよ」

落車で遅れた総合優勝候補たちが追いついたメイン集団には、すでにタイム差を縮める意志はなく、レースディレクターのジャンフランソワ・ペシューとマイヨ・ジョーヌのカンチェッラーラの間で協議が行われたあと、2位以下はニュートラルとなってスプリントは行われず、選手たちは『団結』を示してゴールした。このため、第2ステージのポイント賞のポイントは優勝したシャバネルにだけ与えられ、マイヨ・ベールも彼が獲得している。今年最初の山岳賞は、シャバネルとともに逃げて山岳ポイントを稼いだ同郷のチームメート、ピノーが獲得した。

いよいよ第3ステージは、『北の地獄』が選手たちを待ち受けている。ワンズを出発して北フランスのアランベール・ポルト・デュ・エノーにゴールする213kmのコースには、後半パリ・ルーベで使用される石畳の区間が組み込まれている。総合優勝候補のコンタドールは、今春リエージュに参加したあと、この区間の試走を行っている。

■第2ステージ[7月5日/ブリュッセル(ベルギー)→スパ(ベルギー)/201km]
1 シルバン・シャバネル(クイックステップ/フランス)         4時間40分48秒
2 マクシム・ブーエ(AG2R・ラモンディアル/フランス)          +3分56秒
3 ファビアン・ウェグマン(チームミルラム/ドイツ)             +3分56秒
4 ロビー・マキュアン(チームカチューシャ/オーストラリア)         +3分56秒
5 クリスティアン・クニース(チームミルラム/ドイツ)            +3分56秒
6 ユルフン・ルーランツ(オメガファルマ・ロット/ベルギー)         +3分56秒
7 トール・ヒュースホーウト(セルヴェロテストチーム/ノルウエー)      +3分56秒
8 リーヌス・ゲルデマン(チームミルラム/ドイツ)              +3分56秒
9 マテュー・ラダニュー(FDJ/フランス)                 +3分56秒
10 ベルンハルト・アイゼル(チームHTC・コロンビア/オーストリア)     +3分56秒
12 ファビアン・カンチェッラーラ(チームサクソバンク/スイス)        +3分56秒
■第2ステージまでの総合成績
1 シルバン・シャバネル(クイックステップ/フランス)        10時間01分25秒
2 ファビアン・カンチェッラーラ(チームサクソバンク/スイス)        +2分57秒
3 トニー・マルティン(チームHTC・コロンビア/ドイツ)          +3分07秒
4 デービッド・ミラー(ガーミン・トランジションズ/英国)          +3分17秒
5 ランス・アームストロング(チームレディオシャック/米国)         +3分19秒
6 ゲラント・トーマス(チームスカイ/英国)                 +3分20秒
7 アルベルト・コンタドール(アスタナ/スペイン)              +3分24秒
8 リーバイ・ライフェイマー(チームレディオシャック/米国)         +3分25秒
9 エドワルド・ボアソンハーゲン(チームスカイ/ノルウエー)         +3分29秒
10 リーヌス・ゲルデマン(チームミルラム/ドイツ)              +3分32秒
■マイヨ・ジョーヌ:シルバン・シャバネル(クイックステップ/フランス)
■マイヨ・ベール :シルバン・シャバネル(クイックステップ/フランス)
■マイヨ・アポワ :ジェローム・ピノー(クイックステップ/フランス)
■マイヨ・ブラン :トニー・マルティン(チームHTC・コロンビア/ドイツ) 
■チーム成績   :クイックステップ(ベルギー)
(http://www.letour.fr/)