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防げ死亡事故! 宇都宮市で高齢者に自転車用ヘルメットを無料配布

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高齢者による自転車利用時の死亡事故をなくそうと、栃木県と宇都宮市は4月22日、ヘルメット着用を希望する宇都宮市内の高齢者を対象に、ヘルメット400個を配布すると発表した。

配布されるのは、高齢者でも気兼ねなく着用できるよう、帽子型の着せ替えカバー(アウター)を外側にかぶせることができるヘルメット「カポル」。パレード用品のメーカー、日本パレードと一般財団法人東京しごと財団が共同開発し、2012年10月から販売している製品で、県が栃木県トラック協会から寄贈を受けた。

市では、市内の「自転車用ヘルメット着用推進モデル地区」に住み、自転車を利用する高齢者を中心にヘルメットを配る計画だ。

 

着せ替えカバーつきヘルメット「カポル」のしくみ(日本パレードのサイトから引用)

県内で13年に発生した自転車利用中の交通事故では18人が死亡。高齢者はその内の15人を占め、全員がヘルメットを着用していなかった。高齢者のヘルメット着用が浸透しない背景を、県では「サイクリスト向けにデザインされたヘルメットは高齢者が手に取りにくい。また、アンケート調査で『自分だけヘルメットをかぶるのは気恥ずかしい』という心理が働いていることもわかった」と分析。

その上で、「すべての死亡原因が頭部へのケガかどうかまでは把握していない」としながらも、今回の配布の目的を「高齢者のヘルメット着用率を上げることで、自転車乗車時の交通安全意識が高まるよう気運を盛り上げていきたい」と説明する。

市では4年前から「自転車のまち推進計画」を実行しており、まちづくりに自転車の積極的な利用を取り入れる自治体として知られる。4月からは自転車の安全利用の啓発を目的に、ヘルメットを着用している写真を市民から募集して、市のウェブサイトに掲載したり、市内の大型映像スクリーンで放映したりするキャンペーンを実施中だ。(斉藤円華)