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WADAがコンタドールの弁明を却下

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ツール・ド・フランスのドーピング検査で、微量の禁止薬物「クレンブテロール」が検出され、国際自転車競技連合(UCI)から一時的な競技停止処分を受けているスペインのアルベルト・コンタドール(アスタナ)が窮地に立たされた。「陽性になったのは汚染された肉が原因だ」という彼の弁明を、10月14日に世界アンチドーピング機関(WADA)が却下したのだ。「その弁明は以前にも上げられたことがある。いくつかのケースで聞かされたが、却下されている。めずらしいことではない」と、WADAの総合ディレクターのデーヴィッド・ハウマン氏は語っている。「その出所を証明することができるだろうか? それ(禁止薬物)はどこが出所なのかを証明することはかなり難しい。それは法廷が決めるだろう」WADAはコンタドール事件を密接に監視していて、UCIとスペイン車連がすみやかに聴聞会を開かなければ、介入する準備もあるという。一方コンタドールは12日に地元スペインのエルムンド紙で「本当に悲しくてがっかりしている。UCIの決定で自転車競技から引退することも考えている」と、もらしている。

聴聞会が行われることになった場合、コンタドールは2つの疑惑について弁明しなければならない。クレンブテロール陽性の後、彼の血液からはステロイドとともにプラスティック残留物が見つかったという報告があり、それはWADAのアンチドーピングコードで禁止されている輸血ドーピングが行われたかもしれないことを示しているからだ。しかし、WADAの科学ディレクターのオリヴィエ・ラバン氏は、血液中のプラスティック残留物を発見できる検査はあるが、ドーピングに直接結びつけることができる可塑剤だけの検査はまだ開発されていないと説明している。「残留物はある。そのレベルでなら確証はあり、それが科学的な事実だ。しかし、それがドーピングと結びつけられるかは疑問だ。今現在では、我々はプラスティック残留物で誰かがドーピングしていると100パーセント関連づけることはできない」可塑剤はプラスティックで包まれた食品や、プラスティック容器に入った飲料水からでも人体に入ることが説明できるとラバン氏は認めている。「プラスティック残留物が高いレベルで見つかった場合、我々は輸血ドーピングにおそらく関係があるのではないかという徴候を得ることができる。しかし、100パーセント関連性があるかどうか確かめるには、さらに研究をする必要がある」

来週火曜日には、パリで来年のツール・ド・フランスのコース発表会が行われるが、ディフェンディングチャンピオンのコンタドールは欠席すると発表している。スペインのAS紙は、この日にUCIが何らかの発表をするのではないかと予想している。