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手作り自転車、アイデアと技の競演「ハンドメイドバイシクル展」レポート

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オーダー車をはじめとするハンドメイド(手作り)の自転車、部品が一堂に会する恒例の「ハンドメイドバイシクル展(自転車文化センター主催)が24日(土)と25日(日)、東京・九段の科学技術館で開かれた。
自転車工房や部品メーカーなど42社が出展し、2日間で2433人が来場。量産品と異なり、製作者のアイデアと技術が光る個性的な展示に、会場を訪れたサイクリストも興味津々だった。
 
サイクルストアヒロセ製作のツーリング車
 
■「フレームでなく自転車のビルダー」
出展の中心を占めるのは、やはりハンドメイド車だ。サイクルストアヒロセ(東京・小平)は、フレームはもとよりディレイラーやクランクなど、大半の部品を手作り。代表の廣瀬秀敬さんは「お客さんが求めるものを作るのが仕事。なければ作るしかない」と笑う。
ブースに展示されていた1台のツーリング車。オールドパーツを使ったクラシックな雰囲気だが、それだけではない。注文客が「ユーレー・アルビー(リアディレイラー)をプルプル式にしてほしい」と望んだため、改造してある。
「フレームサイズを体型に合わせるだけがオーダーではない。お客さんの生き方、考え方に合った自転車を作る」と廣瀬さん。50年前に広瀬さんが製作した自転車に、今も乗り続けている人がいるそうだ。
 
クラシックRD、ユーレー・アルビー。プルプル式仕様だ
 
■オーダーサドルや介助者向け製品も
大阪・松原のサドルメーカー、加島サドル製作所は1個から作るオリジナルサドルを展示。ベース(骨格)、レールの色、トップ(表皮)の素材の組み合わせで数千通の組み合わせが可能という。さらに注文客からのデザインデータをもとに、トップに図柄のプリントや刺繍などを行うこともできる。その他のカスタムオーダーは「応相談」(加島英二郎代表)とのこと。
 
加島サドル製作所のオリジナルサドル。1個からオーダーできる
 
遊具用自転車などを製作する紀洋産業(東京・亀戸)が展示するのは、障がい者や介助者のニーズに応えるための製品だ。例えば車イス用アタッチメントは、使用時には欧州などで見られる前2輪タイプの3輪自転車のような外見。介助者がペダルを漕ぐしくみだ。車イスを押して歩くよりも少ない負担で移動できる。
普通自転車ではないため歩道は走れないが、自転車として車道通行は可能。「介助する人が楽になると、障がいがある人も行動範囲が広がる」と代表の岡田勝洋さん。買い物で店内に入るなどの場合には、簡単に取り外せる。電動アシスト機能はオプションだ。
 
紀洋産業の車イス用ペダリングアタッチメント。必要に応じて取り外せる
 
サイクリングが趣味という夫と来場した都内の女性(40代)は「自転車に詳しくはないが、きれいな自転車が多い。細いフレームがいい」。厚木市からサイクリング仲間と自転車で訪れた男性(60代)は「空調のわずかな風でも回転するゴキソのハブがすごい。製作者と直接話ができて、製品への理解が深まる」と話した。(斉藤円華)