【ツール速報】 ミニ・ルーベ区間でヒュースホーウト優勝！
第９７回ツール・ド・フランスは７月６日、いよいよフランスへ上陸。ベルギーのワンズから北フランスのアランベール・ポルト・デュ・エノーまでの２１３kmで『ミニ・パリ・ルーベ』と呼ばれる第３ステージを競い、クラシックも得意なノルウエー人スプリンター、トール・ヒュースホーウト（セルヴェロテストチーム）が小集団でのゴールスプリントを難なく下して区間優勝した。２位はゲラント・トーマス（チームスカイ）、３位は世界チャンピオンのカデル・エバンズ（ＢＭＣレーシングチーム）だった。前日逃げ切ってマイヨ・ジョーヌを獲得したフランス人のシルバン・シャバネル（クイックステップ）は、終盤の石畳区間で２度パンクに見舞われ、４分近く遅れてゴール。故郷の表彰台でマイヨ・ジョーヌを披露できず、その栄誉はふたたびスイス人のファビアン・カンチェッラーラ（チームサクソバンク）の手中に収まった。しかし、チームメートのフランク・シュレックを落車のケガで失ってしまったサクソバンクは、今夜は祝杯どころではないだろう。日本の新城幸也（Ｂボックス・ブイクテレコム）は２分２５秒遅れの集団でゴールして７２位。総合は３分４７秒遅れの７３位になった。
第２ステージの落車で肋骨を２本骨折したクリスティアン・バンデベルデ（ガーミン・トランジションズ）と、高熱でダウンしたオランダチャンピオンのニキ・テルプストラ（チームミルラム）が出走せず、１９１選手がベルギーのワンズをスタート。１３km地点で、ガーミン・トランジションズのライダー・ヘスイェダールがアタック。スティーブン・カミングス（チームスカイ）、パベル・ブルット（チームカチューシャ）、ロジャー・クリューゲ（チームミルラム）、ピエール・ロラン（Ｂボックス・ブイグテレコム）、ステファヌ・オジェ（コフィディス）、イマノル・エルビティ（ケスデパーニュ）が加わり、７人は最大４分50秒差を付けて逃げ続けた。１１２km地点、最初の石畳区間で落車があり、ＡＧ２Ｒ・ラモンディアルのダビー・ルレが鎖骨を痛めて途中棄権した。
残り４０km、７人はメイン集団に40秒程度のタイム差を付けたまま、国境を越えてフランスへ。しかし、ドラマはこの直後に待ち構えていた。残り３０kmを切ったサール・エ・ロズィエールの石畳区間の入口で、昨年総合５位だったフランク・シュレック（チームサクソバンク）が落車。路肩に横たわったまま動けず、そのまま救急車で運ばれてしまった。この非常時にも屈せず、弟のアンディ・シュレックとカンチェッラーラはアタックを敢行。すぐにヒュースホーウト、エバンズ、トーマスが加わり、追走集団を形成した。残り７kmで、最後まで先頭に残っていたヘスイェダールがカンチェッラーラのグループに吸収され、先頭は６人のグループになった。総合争いのためには、ここでタイムを失えないランス・アームストロング（チームレディオシャック）やアルベルト・コンタドール（アスタナ）も必死で追いつこうと試みるが、奇しくも両者ともパンクに見舞われ、思わぬタイムロスを余儀なくされてしまった。６人でのゴールスプリントは、１３km地点から逃げ続けたヘスイェダールが最後の力を振り絞って加速したが、ノルウエーチャンピオンは落ち着いて状況を処理。圧倒的な力を見せつけて、トップでフィニッシュラインを通過した。
「ボクはいつカンチェッラーラがアタックするのか知ってる。もしも彼を２０メートル先に行かせてしまったら、もう二度と彼を見られないこともね。最後に彼はマイヨ・ジョーヌを取り戻すために走って、ついでにアンディを助けられることに気がついた。ボクにとっては、彼らがやりたいようにするかどうかはボク次第で、しかも自分のアドバンテージにできた。それで区間優勝を取りに行ったんだ。ツールでの区間優勝はどこでも特別だ。けれどこれはちょっとちがってる。ボクたちはココ、アランベールの近くにいて、それがプレステージを少しだけ高くするのさ。昨日、ボクのチームの労苦は報われなかった。けれど今日はステージを勝てて、すごく満足している。昨日はポイント付与をキャンセルする決定に納得できなかっけど、今朝、それはもう過去の話だと言った。ボクはふたたびレースに集中できたのさ。ボクは石畳に強いから、長いことこのステージに注目していた。ボクは勝因となるチャンスが持てることも知っていた。だからボクはこのステージで戦いに行くことを決めたんだ。けれど、最良のプランですら、石畳では一瞬にして機能しなくなるものだから、それはいつでもけっして単純ではない。今日、ボクはすべてを出し切ったよ」と、区間優勝の喜びを語ったヒュースホーウトは、この日、目標であるポイント賞のマイヨ・ベールにソデを通した。「これはマイヨ・ベールへの最初のステップだ。自分がすべきことをしてうれしいよ。しかしこれは、とても長い期間、このジャージを守らなければならないことを意味している。ボクのチームはとても強く、ボクは自分がとても速いと感じている。だから他のステージでも勝てると思ってるよ」
第３ステージを終了し、総合争いはカンチェッラーラの導きによって『北の地獄』を先頭集団でゴールできたアンディ・シュレックが１分９秒遅れの総合６位に浮上。しかし、世界チャンピオンのエバンズもこの集団でゴールし、３９秒遅れの３位になっている。コンタドールは１分４０秒の９位に留まったが、アームストロングは２分３０秒遅れの総合１８位、イバン・バッソ（リクィガス・ドイモ）は３分２０秒遅れの総合４９位になってしまった。イタリア勢ではダミアーノ・クネゴ（ランプレ・ファルネーゼビーニ）も石畳区間で落車し、１７分遅れでゴールしている。
■第３ステージ［７月６日／ワンズ（ベルギー）→アランベール・ポルト・デュ・エノー／２１３km］
１ トール・ヒュースホーウト（セルヴェロテストチーム／ノルウエー） ４時間４９分３８秒
２ ゲラント・トーマス（チームスカイ／英国）
３ カデル・エバンズ（ＢＭＣレーシングチーム／オーストラリア）
４ ライダー・ヘスイェダール（ガーミン・トランジションズ／カナダ）
５ アンディ・シュレック（チームサクソバンク／ルクセンブルク）
６ ファビアン・カンチェッラーラ（チームサクソバンク／スイス）
７ ヨハン・バンスンメレン（ガーミン・トランジションズ／ベルギー） ＋５３秒
８ ブラッドリー・ウィギンス（チームスカイ／英国） ＋５３秒
９ ユルフン・バンデンブルーク（オメガファルマ・ロット／ベルギー） ＋５３秒
10 アレクサンドル・ヴィノクロフ（アスタナ／カザフスタン） ＋５３秒
11 デニス・メンショフ（ラボバンク／ロシア） ＋５３秒
13 アルベルト・コンタドール（アスタナ／スペイン） ＋１分４０秒
18 ルイスレオン・サンチェス（ケスデパーニュ／スペイン） ＋１分４６秒
19 ロマン・クロイツィーゲル（リクィガス・ドイモ／チェコ） ＋１分４６秒
32 ランス・アームストロング（チームレディオシャック／米国） ＋２分０８秒
37 サムエル・サンチェス（エウスカルテル・エウスカディ／スペイン） ＋２分０８秒
43 イバン・バッソ（リクィガス・ドイモ／イタリア） ＋２分２５秒
47 ロベルト・ヘシンク（ラボバンク／オランダ） ＋２分２５秒
54 カルロス・サストレ（セルヴェロテストチーム／スペイン） ＋２分２５秒
82 ウラジミール・カルペツ（チームカチューシャ／ロシア） ＋２分２５秒
95 シルバン・シャバネル（クイックステップ／フランス） ＋３分５８秒
98 リーヌス・ゲルデマン（チームミルラム／ドイツ） ＋３分５８秒
186 ダミアーノ・クネゴ（ランプレ・ファルネーゼビーニ／イタリア） ＋１７分０３秒
■第３ステージまでの総合成績
１ ファビアン・カンチェッラーラ（チームサクソバンク／スイス） １４時間５４分００秒
２ ゲラント・トーマス（チームスカイ／英国） ＋２３秒
３ カデル・エバンズ（ＢＭＣレーシングチーム／オーストラリア） ＋３９秒
４ ライダー・ヘスイェダール（ガーミン・トランジションズ／カナダ） ＋４６秒
５ シルバン・シャバネル（クイックステップ／フランス） ＋１分０１秒
６ アンディ・シュレック（チームサクソバンク／ルクセンブルク） ＋１分０９秒
７ トール・ヒュースホーウト（セルヴェロテストチーム／ノルウエー） ＋１分１９秒
８ アレクサンドル・ヴィノクロフ（アスタナ／カザフスタン） ＋１分３１秒
９ アルベルト・コンタドール（アスタナ／スペイン） ＋１分４０秒
10 ユルフン・バンデンブルーク（オメガファルマ・ロット／ベルギー） ＋１分４２秒
13 デニス・メンショフ（ラボバンク／ロシア） ＋１分４９秒
14 ブラッドリー・ウィギンス（チームスカイ／英国） ＋１分４９秒
16 ロマン・クロイツィーゲル（リクィガス・ドイモ／チェコ） ＋２分２４秒
17 ルイスレオン・サンチェス（ケスデパーニュ／スペイン） ＋２分２５秒
18 ランス・アームストロング（チームレディオシャック／米国） ＋２分３０秒
49 イバン・バッソ（リクィガス・ドイモ／イタリア） ＋３分２０秒
■マイヨ・ジョーヌ：ファビアン・カンチェッラーラ（チームサクソバンク／スイス）
■マイヨ・ベール ：トール・ヒュースホーウト（セルヴェロテストチーム／ノルウエー）
■マイヨ・アポワ ：ジェローム・ピノー（クイックステップ／フランス）
■マイヨ・ブラン ：ゲラント・トーマス（チームスカイ／英国）
■チーム成績 ：チームサクソバンク（デンマーク）
(http://www.letour.fr/)
