ツール・ド・フランス2019第9ステージは南アフリカのインピーが逃げ切り区間初優勝

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ツール2019第9ステージ

(©Bettiniphoto)

第106回ツール・ド・フランス(UCIワールドツアー)は、革命記念日の2019年7月14日にサン・テチェンヌからブリウドまでの170.5kmで第9ステージを競い、南アフリカチャンピオンのダリル・インピー(ミッチェルトン・スコット)とベルギーのティシュ・ベノート(ロット・スーダル)が逃げ切り、最後はインピーが一騎打ちのゴール勝負を制して区間初優勝を果たした。区間3位にはスロベニアのヤン・トラットニック(バーレーン・メリダ)が入った。

南アフリカ出身の選手がツールで区間優勝したのは、2007年のロバート・ハンター以来だったが、南アフリカチャンピオンが勝ったのは史上初だった。

メイン集団は16分25秒遅れでゴール。革命記念日をマイヨ・ジョーヌで走ったフランスのジュリアン・アラフィリップ(ドゥクーニンク・クイックステップ)が、総合首位の座を守った。

ツール2019第9ステージ

(photo : ASO/Thomas MAHEUX)

 

革命記念日を祝う第9ステージは15人が逃げた

ツール2019第10ステージ

●第10ステージのコースプロフィール(MAP : ASO)

ツール2019第10ステージ

●第10ステージのマイヨ・ジョーヌ(アルビ大聖堂)

フランスの祝日である革命記念日に行われた第9ステージは快晴に恵まれ、サン・テチェンヌを172選手が出走。ゴールのブリウドは、ロマン・バルデ(AG2R・ラモンディアル)の出身地だった。

オフィシャルスタートともにアタックしたのは、山岳賞のマイヨ・アポワを着たティム・ウェレンス(ロット・スーダル)だったが、成功しなかった。続いてニルス・ポリッツ(チームカチューシャ・アルペシン)が試みたが、彼も吸収された。

10km地点でアレッサンドロ・デマルキ(CCCチーム)が落車し、そのまま病院へ搬送されてレースを棄権した。14km地点で14選手が集団から抜け出すことに成功し、この日の逃げ集団になった。ここにインピーとベノートも加わっていた。14人で総合成績が最も上位だったニコラ・ロッシュ(チームサンウェブ)でもすでに23分以上遅れていたため、集団はこの逃げを容認。25km地点でタイム差は3分になった。

この日最初に越えたカテゴリー1のミュール・ドレック・シュル・ロワールの登坂が始まる1.2km手前で、追走してきたマルク・ソレル(モビスターチーム)が合流し、逃げは15人になった。36.5kmの頂上はベノートが先頭で通過し、チームメートのウェレンスが山岳賞を守る手助けをした。

最初の1時間の平均時速は41km/hを超えていたが、集団はすでに10分遅れていた。92km地点のスプリント地点はエドワルド・ボアッソンハーゲン(チームディメンションデータ)が先頭で通過。集団はドゥクーニンク・クイッステップがコントロールを続けていた。

ツール2019第9ステージ

(photo : ASO/Alex BROADWAY)

後半戦に入り、残り64.5kmにあったカテゴリー3のギヨマンシュの丘を越えた後、逃げ集団ではアタックが始まり、サイモン・クラーク(EFエデュケーションファースト)やイバン・ガルシア(バーレーン・メリダ)が先頭で加速したが、抜け出すことはできなかった。

ゴールまで残り42kmで、逃げ集団から最初にアタックを決めたのはルーカス・ポストルベルガー(ボーラ・ハンスグローエ)だった。彼はロッシュ、ソレル、ヤスペル・ストゥイヴェン(トレック・セガフレード)、インピー、ベノート、トラットニック、オリヴェル・ナーゼン(AG2R・ラモンディアル)に残り20kmで23秒差を付けて逃げ続けたが、ゴールまで残り15kmで最後のサン・ジュスト(カテゴリー3)の丘越えが始まった所で捕まってしまった。

サン・ジュストの丘で力強い走りを見せたのはベノートだった。彼はロッシュとともに逃げグループから先行し、カテゴリー3の坂を登り続けた。追走グループからは頂上の手前でインピーがアタックし、先行していた2人に合流した。

ゴールまで残り8.4kmの上り坂でベノートがアタックし、インピーは付いていったが、ロッシュは脱落した。最後はインピーとベノートが区間初優勝をかけたゴールスプリントを競い、ベノートが先に仕掛けたが、インピーが競り勝った。初優勝を逃したベノートは、敢闘賞を獲得した。

集団ではサン・ジュストの丘でローカルヒーローのバルデがアタックし、リッチー・ポート(トレック・セガフレード)、スティーフェン・クラウスウェイク(チームユンボ・ビスマ)とともに先行したが、チームイネオスが許さず、1.5km先で吸収され、総合上位に変動はなかった。

 
■区間初優勝したインピーのコメント
「ツール・ド・フランスでボクにとって欠けていたのは区間優勝だった。過去何年もの間、かなりの回数を逃げて、今日やっと、革命記念日に勝てた。素晴らしいよ。夢が叶った。このレベルで勝つのはそれほど難しい。このステージに印をつけていた。正しい動きを見つけることができてラッキーだった。ボクたちは一緒に良く働いた。最後にベノートを打ち負かすことができる脚があって嬉しいよ。長い間、こんなに感動したことはなかった。ツールで最後に区間優勝した南アフリカの選手は2007年のハンターだと思う。魔法のような勝利だ」

 
■革命記念日をマイヨ・ジョーヌで走ったアラフィリップのコメント
「今日も観客のサポートは素晴らしかった。自分の名前が朝バスを出た時から夕方ホテルに戻るまでずっと聞こえていた。沿道にいた皆に感謝したい。ボクは応援していくれた全ての人の事を覚えている。とりわけ今日、マイヨ・ジョーヌであることは素晴らしい。でも、マイヨ・ジョーヌである日は毎日特別だ。だからこそ、ボクはこれを守るために闘うんだ。チームの仕事とリズムに感謝している。正確にはパレードではなかったが、難しい地形での素晴らしいステージだった」

ツール2019第9ステージ

(photo : ASO/Pauline BALLET)

ツール2019第9ステージ

(photo : ASO/Pauline BALLET)

■第9ステージ結果[7月14日/サン・テチェンヌ~ブリウド/170.5 km]
1. DARYL IMPEY (MITCHELTON – SCOTT / RSA) 04H 03′ 12”
2. TIESJ BENOOT (LOTTO SOUDAL / BEL)
3. JAN TRATNIK (BAHRAIN – MERIDA / SLO)     + 10′
4. OLIVER NAESEN (AG2R LA MONDIALE / BEL) + 10′
5. JASPER STUYVEN (TREK – SEGAFREDO / BEL) + 10”
6. NICOLAS ROCHE (TEAM SUNWEB / IRL) + 14”
7. MARC SOLER (MOVISTAR TEAM / ESP) + 21”
8. IVAN GARCIA CORTINA (BAHRAIN – MERIDA / ESP) + 01′ 50”
9. SIMON CLARKE (EF EDUCATION FIRST / AUS) + 01′ 50”
10. ANTHONY DELAPLACE (TEAM ARKEA – SAMSIC / FRA) + 02′ 42”

■第9ステージまでの総合成績(マイヨ・ジョーヌ)
1. JULIAN ALAPHILIPPE (DECEUNINCK – QUICK – STEP / FRA) 38H 37’ 36’’
2. GIULIO CICCONE (TREK – SEGAFREDO / ITA)  +23’’
3. THIBAUT PINOT (GROUPAMA – FDJ / FRA) + 53’’
4. GEORGE BENNETT (TEAM JUMBO – VISMA / NZL) + 01′ 10’’
5. GERAINT THOMAS (TEAM INEOS / GBR) + 01′ 12’’
6. EGAN BERNAL (TEAM INEOS / COL) + 01′ 16’’
7. STEVEN KRUIJSWIJK (TEAM JUMBO – VISMA / NED) + 01′ 27’’
8. RIGOBERTO URAN (EF EDUCATION FIRST / COL) + 01’ 38’’
9. JAKOB FUGLSANG (ASTANA PRO TEAM /DEN) + 01′ 42’’
10. EMANUEL BUCHMANN (BORA – HANSGROHE / GER) + 01′ 45’’

[各賞]
■ポイント賞(マイヨ・ベール):PETER SAGAN (BORA – HANSGROHE / SVK)
■山岳賞(マイヨ・アポワ):TIM WELLENS (LOTTO SOUDAL / BEL)
■新人賞(マイヨ・ブラン):GIULIO CICCONE (TREK – SEGAFREDO / ITA)
■チーム成績(黄色ゼッケン):TREK – SEGAFREDO (USA)
■敢闘賞(赤ゼッケン):TIESJ BENOOT (LOTTO SOUDAL / BEL)

ツール・ド・フランス公式サイト

ツール2019第9ステージ

(photo : ASO/Pauline BALLET)

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