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ジロ・デ・イタリア2019 第20ステージはビルバオが優勝/カラパスが総合優勝に王手

レース
 
第102回ジロ・デ・イタリア(UCIワールドツアー)は、2019年6月1日にフェルトレからクローチェ・ダウーネ(モンテ・アヴェーナ)までの194kmで山岳最終区間の第20ステージを競い、スペインのペリョ・ビルバオ(アスタナプロチーム)が、同郷のミケル・ランダ(モビスターチーム)を頂上ゴールのスプリントで打ち負かし、今大会区間2勝目を上げた。

総合リーダーのマリア・ローザを着たエクアドルのリチャルド・カラパス(モビスターチーム)は、先頭グループでゴール。総合首位の座を守り、ヴェローナで開催される最終日の個人タイムトライアル(17km)を迎えることになった。総合2位に付けている地元イタリアのヴィンチェンツォ・ニバリ(バーレーン・メリダ)とのタイム差は1分54秒だ。

前日まで2分16秒遅れの総合3位に付けていたスロベニアのプリモシュ・ログリッチェ(チームユンボ・ビスマ)は、最後の上り坂が始まる前の下り坂で遅れてしまい、マリア・ローザのカラパスよりも50秒遅れてゴール。さらに、この日の上りで観客から自転車を押してもらったことで、10秒のペナルティタイムが加算され、タイム差は3分16秒になり、総合4位へと後退してしまった。

最後の登坂では、ログリッチェと同様に下り坂で遅れ、先行するカラパスたちを追いかけていたコロンビアのミゲルアンヘル・ロペス(アスタナプロチーム)が、残り5.8kmで観客と接触して転倒するアクシデントが発生した。その際、ロペスは観客を数回叩いてしまったが、競技審判は彼にペナルティを課さなかった。このアクシデントでロペスは1分49秒遅れの区間18位でレースを終えた。

日本から参加している初山翔(NIPPO・ヴィーニファンティーニ・ファイザネ)は、最後の山岳ステージを無事完走。6時間3分31秒遅れの総合142位で最終日を迎えることになった。
 
ランダを区間優勝させるために、マリア・ローザのカラパスはゴールへと向かう上り坂で先頭を引き続けた
ランダを区間優勝させるために、マリア・ローザのカラパスはゴールへと向かう上り坂で先頭を引き続けた
 
第20ステージは143選手が出走。スタートからアタックが開始され、12人の逃げ集団が形成された。最初に越えたカテゴリー2のチーマ・カンポ峠の山頂(27km地点)で、タイム差は43秒だった。最初の登坂でマリア・ローザの集団は30人ほどになったが、下りで50人ほどに増えた。

59km地点で先頭集団からイタリアのファウスト・マスナダ(アンドロニジョカットリ・シーデルメック)がアタックし、チマ・コッピ賞がかけられた標高2047mでカテゴリー1のマンゲン峠を単独で上り始めた。

モビスターチームがコントロールするマリア・ローザ集団からは、山岳賞のマリア・チクラミーノを着たジューリオ・チッコーネ(トレック・セガフレード)がアタックし、先行していたニコラ・コンチ(トレック・セガフレード)に合流した。マンゲン峠の山頂が近づくと、マリア・ローザ集団はアスタナプロチームが引き始め、10人ほどに絞られ、チッコーネとコンチも吸収された。

斜面にまだ雪が残っているマンゲン峠の頂上はマスナダが独走で通過し、チマ・コッピ賞を獲得した。彼はこの賞が導入された1965年以来、コッピと同じファウストというファーストネームを持った初の受賞者になった。後方のマリア・ローザ集団では、山頂まで2km地点でマリア・ビアンカを着たロペスがアタックし、カラパスとランダはついて行ったが、ニバリとログリッチェは遅れてしまった。

ロペス、カラパス、ランダの3人は、マンゲン峠の山頂で逃げ集団に合流し、1分24秒先行していたマスナダを追った。ニバリとログリッチェはここで10秒ほど遅れてしまったが、下りでマリア・ローザ集団に合流できた。マスナダとのタイム差が30秒ほどに縮まった時、マリア・ローザ集団からビルバオがアタックし、ゴールまで残り99kmでマスナダに合流した。しかし、2人はすぐマリア・ローザ集団に吸収された。

20人ほどになった先頭のマリア・ローザ集団から、ゴールまで97kmでミケル・ニエベ(ミッチェルトン・スコット)がアタックし、ビルバオ、タネル・カンゲルト(EFエデュケーションファースト)、エドワード・ダンバー(チームイネオス)、アマニュエル・ゲブレズガビエル(チームディメンションデータ)が合流し、新たな逃げグループが形成された。

続くカテゴリー2のロッレ峠でバランタン・マドゥアス(グルパマ・FDJ)、エロス・カペッキ(ドゥクーニンク・クイックステップ)、マリア・チクラミーノのチッコーネが追いつき、先頭の逃げは8人になった。ロッレ峠の山頂はチッコーネが先頭で通過。後続のマリア・ローザ集団とのタイム差は2分38秒あった。
 
 
ゴールまで残り20kmで、2つの峠が連なった最後のクローチェ・ダウーネの上り坂がスタート。残り16.3kmで逃げグループからマドゥアスがアタックし、独走を開始した。マリア・ローザ集団では、残り13.3kmでロペスがアタックを開始したが、抜け出すことに成功したのはランダだった。残り10.5kmの最初の山頂で、ランダは後続に15秒差を付けていた。

下りに入ってすぐにラファウ・マイカ(ボーラ・ハンスグローエ)が転倒したが、すぐレースに復帰した。マリア・ローザ集団からは下りが得意なニバリが先行し、マリア・ローザのカラパスは引き離されなかったが、ログリッチェとロペスは遅れてしまった。残り6.3kmで最後の上りが始まった時、ニバリは先行していたランダを捕まえたが、下りでカラパスを出し抜くことはできなかった。後方では、先行した3人を追う追走集団にいたロペスが観客と接触して転倒し、遅れてしまった。

先頭では逃げていたマドゥアスをゴールまで残り4.2kmでニエベ、チッコーネ、ビルバオが捕らえたが、ニバリ、カラパス、ランダ、カンゲルトが追いつき、残り3.4kmで8人になった。最後はマリア・ローザのカラパスがランダのために先頭を引き続けた。ランダは残り250mでスパートしたが、後方に付いてきたビルバオにあっさり区間優勝をさらわれてしまった。

ランダは区間2位に終わり、6秒のボーナスタイムを獲得。この日遅れたログリッチェを抜いて総合3位になったが、最終日の個人タイムトライアルを残してログリッチェとのタイム差はたった23秒差だ。


■今大会で区間2勝目を上げたビルバオのコメント
「ボクはカラパスがランダを勝たせようとしていたのを知っていたから、最高の車輪に付いていったのさ。最初の勝利は特別だった。この2勝目は、大きな山岳区間だから最初の勝利よりもっと良い。総合を争う選手たちに捕まった時は難しいだろうと思ったが、彼らも疲れていたよ」

■ジロ・デ・イタリア総合優勝に王手をかけたカラパスのコメント
「ボクたちはマリア・ローザを守るためと同時に、ランダの区間優勝を目指していた。僅差で逃してしまったが、今日の走りには満足している。ニバリに対して1分54秒なら十分だと思うが、最後のタイムトライアルは何が起こるかわからない」
 
ゴールでカラパスを待っていたのは、エクアドルからやって来た子どもたちだった
ゴールでカラパスを待っていたのは、エクアドルからやって来た子どもたちだった
 
■第20ステージ結果[6月1日/フェルトレ~クローチェ・ダウーネ(モンテ・アヴェーナ)/194 km(頂上ゴール)]
1. BILBAO LOPEZ Pello (ASTANA PRO TEAM / ESP) 5h 46’ 02”
2. LANDA MEANA Mikel (MOVISTAR TEAM / ESP) 
3. CICCONE Giulio (TREK - SEGAFREDO / ITA) 0’ 02”
4. CARAPAZ Richard (MOVISTAR TEAM / ECU) 0’ 04”
5. NIBALI Vincenzo (BAHRAIN - MERIDA /ITA) 0’ 04”
6. KANGERT Tanel (EF EDUCATION FIRST / EST) 0’ 15”
7. NIEVE ITURRALDE Mikel (MITCHELTON - SCOTT / ESP) 0’ 15”
8. MADOUAS Valentin (GROUPAMA - FDJ / FRA) 0’ 25”
9. MAJKA Rafal (BORA - HANSGROHE / POL) 0’ 44”
10. POZZOVIVO Domenico (BAHRAIN - MERIDA / ITA) 0’ 44”

11. SIVAKOV Pavel (TEAM INEOS / RUS) 0’ 48”
12. YATES Simon Philip (MITCHELTON - SCOTT / GBR) 0’ 48”
13. MOLLEMA Bauke (TREK - SEGAFREDO / NED) 0’ 48”
14. ROGLIC Primoz (TEAM JUMBO - VISMA / SLO) 0’ 54”
18. LOPEZ Miguel Angel (ASTANA PRO TEAM / COL) 01’ 49”
138. HATSUYAMA Sho (NIPPO - VINI FANTINI - FAIZANE' / JPN) 42’ 25”

■第20ステージまでの総合成績
1. CARAPAZ Richard (MOVISTAR TEAM / ECU) 89h 38’ 28”
2. NIBALI Vincenzo (BAHRAIN - MERIDA /ITA) 01’ 54”
3. LANDA MEANA Mikel (MOVISTAR TEAM / ESP) 02’ 53”
4. ROGLIC Primoz (TEAM JUMBO - VISMA / SLO) 03’16”
5. MOLLEMA Bauke (TREK - SEGAFREDO / NED) 05’ 51”
6. LOPEZ Miguel Angel (ASTANA PRO TEAM / COL) 07’ 18”
7. MAJKA Rafal (BORA - HANSGROHE / POL) 07’ 28”
8. YATES Simon Philip (MITCHELTON - SCOTT / GBR) 08’ 01”
9. SIVAKOV Pavel (TEAM INEOS / RUS) 09’ 11”
10. ZAKARIN Ilnur (TEAM KATUSHA ALPECIN / RUS) 12’ 50”
142. HATSUYAMA Sho (NIPPO - VINI FANTINI - FAIZANE' / JPN) 6h 03’ 31”

[各賞]
■ポイント賞(マリア・チクラミーノ):ACKERMANN Pascal (BORA - HANSGROHE / GER) 
■山岳賞(マリア・アッズーラ):CICCONE Giulio (TREK - SEGAFREDO / ITA)
■新人賞(マリア・ビアンカ):LOPEZ Miguel Angel (ASTANA PRO TEAM / COL) 

ジロ公式サイト
 
コッピと同じファーストネームのマスナダが今年のチマ・コッピ賞を獲得した 
コッピと同じファーストネームのマスナダが今年のチマ・コッピ賞を獲得した 

フィナーレはヴェローナの個人タイムトライアル

今年のジロもいよいよフィナーレ。最終日の6月2日は、ヴェローナで17kmの個人タイムトライアルが競われる。コースは郊外のフィエラからスタートし、アディジェ川を越えて一旦街の外に出て、世界選のコースにも使われた標高277mのトッリチェッレの丘(カテゴリー4)を越える。最後は旧市街へと入り、美しいアレーナでゴールする。

現在総合142位で最下位の初山翔(NIPPO・ヴィーニファンティーニ・ファイザネ)が第1走者で、現地時間13時45分にスタート。マリア・ローザを着たカラパスが最後の闘いに出発するのは、16時46分だ。
 
(MAP : RCS Sport)
(MAP : RCS Sport)
(MAP : RCS Sport)
(MAP : RCS Sport)
(MAP : RCS Sport)
(MAP : RCS Sport)

第20ステージのハイライト映像