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ジロ・デ・イタリア2019 第15ステージはカタルドが逃げ切り優勝

レース
 
第102回ジロ・デ・イタリア(UCIワールドツアー)は、2019年5月26日にイブレアからコモまでの237kmで第15ステージを競い、イタリアのダリオ・カタルド(アスタナプロチーム)が、同郷のマッティーア・カッタネオ(アンドローニジョカットリ・シデルメク)と2人で逃げ切り、最後のゴールスプリントを制して区間初優勝した。

総合リーダーのマリア・ローザは、エクアドルのリチャルド・カラパス(モビスターチーム)が守った。総合2位のプリモシュ・ログリッチェ(チームユンボ・ビスマ)は、終盤機材故障に見舞われてチームメートの自転車を借りてレースを続けたが、最後の下り坂のカーブで転倒して遅れてしまい、マリア・ローザのカラパスより40秒遅れてゴールした。

 
 

ログリッチェは不運が重なり40秒失った

 
“ミニ・ロンバルディア・ステージ”と呼ばれ、後半にイル・ロンバルディアで使われる峠が組み込まれていた第15ステージは、149選手が出走。スタートからアタックが続いた後、14km地点でカッタネオがアタックし、カタルドが付いて行った。

北西部のピエモンテ州からロンバルディア州に移動する序盤は平坦なコースで、2人は中盤最大で14分以上のタイム差を付けて逃げ続けたが、ミッチェルトン・スコットが集団を引き、それ以上にはならなかった。

後半戦に入り、最初に越えたカテゴリー2のギザッロ峠でカッタネオが機材故障に見舞われ、自転車を交換したが、カタルドは彼を待ち、一緒に峠を越えた。ゴールまで残り58.2kmの頂上を2人が通過した時、集団とのタイム差はまだ7分以上あった。

続くカテゴリー1のソルマーノ峠で、ミッチェルトン・スコットが引く集団から英国のサイモン・イェーツ(ミッチェルトン・スコット)がアタックを開始。彼はしばらく単独で先行したが、バーレーン・メリダが引く集団に捕まってしまった。カウンターで今度はミゲルアンヘル・ロペス(アスタナプロチーム)が飛び出し、集団の先頭でソルマーノ峠山頂を通過したが、そのまま抜け出すことはできなかった。

ソルマーノ峠を下りきった所で逃げる2人と、30人ほどに減ったメイン集団のタイム差は4分ほどになっていた。残り20km地点で集団の前方ではクリストファー・ハミルトン(チームサンウェブ)が転倒し、ジョー・ドンブロウスキー(EFエデュケーションファースト)が巻き込まれたが、2人ともレースに復帰できた。

その直後、ログリッチェが機材故障に見舞われ、チームメートのアントワン・トルーク(チームユンボ・ビスマ)の自転車を借りてレースを続行。彼は1人だったが、すぐ集団に戻ることができた。最後のチビリオの丘(カテゴリー3)の登坂が始まった時、タイム差は4分を切っていた。

チビリオ峠でモビスターチームの引くメイン集団から最初に飛び出したのは英国のヒュー・カーシー(EFエデュケーションファースト)だった。続いてイェーツがアタックしたが、誰も追わなかった。

ゴールまで残り9.7kmで、小さくなったメイン集団からヴィンチェンツォ・ニバリ(バーレーン・メリダ)がアタックすると、マリア・ローザを着たカラパスがぴったりと付いていった。イル・ロンバルディアで優勝しているニバリがこのコースを得意としているのは、誰もが知っていた。

ニバリとカラパスはすぐイェーツに追いつき、しばらく3人で峠を上ったが、ニバリがもう一度アタックしてついて行けたのはカラパスだけだった。カーシーに追いついたニバリとカラパスが残り8.7kmの頂上を通過した時、逃げとのタイム差は1分を切り、遅れたログリッチェには20秒ほどの差を付けていた。

ログリッチェはチビリオ峠の下りで転倒したが、幸いケガはなく、すぐレースに復帰してライバルたちを追走した。ニバリは下りで独走を続けたが、フラムルージュの前でカラパスのグループに捕まってしまった。

先頭を逃げていたカタルドとカッタネオは辛くも逃げ切り、一騎打ちのゴールスプリントはカタルドが難なく制し、区間初優勝を果たした。34歳のカタルドは、2012年にブエルタ・ア・エスパーニャで区間優勝したことはあったが、母国のジロで区間優勝したのは初めてだった。

区間3位にはイェーツが入り、わずかなボーナスタイムを獲得し、総合成績を1つ上げることができた。一方、不運が続いたログリッチェはカラパスのグループより40秒遅れてゴール。総合成績でカラパスとのタイム差は47秒に開き、総合3位に付けているニバリとのタイム差も1分になってしまった。


■34歳でジロ区間初優勝を果たしたカタルドのコメント
「ボクはこの2日間あまりにも苦しんだから、逃げようなんて考えていなかった。でも、レースが始まったら自分の脚は問題がなかった。だからボクはただ、カッタネオのアタックに付いていったんだ。それからは自分に自信があった。ジロで区間優勝するのは素晴らしい。ボクの人生でずっと夢見てきたことだった」

 
 
■第15ステージ結果[5月26日/イブレア~コモ/237 km]
1. CATALDO Dario (ASTANA PRO TEAM / ITA) 5h 48’ 15”
2. CATTANEO Mattia (ANDRONI GIOCATTOLI - SIDERMEC / ITA)
3. YATES Simon Philip (MITCHELTON - SCOTT / GBR) 0’ 11”
4. CARTHY Hugh John (EF EDUCATION FIRST / GBR) 0’ 11”
5. CARAPAZ Richard (MOVISTAR TEAM / ECU)  0’ 11”
6. NIBALI Vincenzo (BAHRAIN - MERIDA /ITA) 0’ 11”
7. LOPEZ Miguel Angel (ASTANA PRO TEAM / COL) 0’ 36”
8. MAJKA Rafal (BORA - HANSGROHE / POL) 0’ 36”
9. POZZOVIVO Domenico (BAHRAIN - MERIDA / ITA)0’ 36”
10. LANDA MEANA Mikel (MOVISTAR TEAM / ESP) 0’ 36”
12. MOLLEMA Bauke (TREK - SEGAFREDO / NED) 0’ 51”
13. ROGLIC Primoz (TEAM JUMBO - VISMA / SLO) 0’ 51”
16. SIVAKOV Pavel (TEAM INEOS / RUS) 1’ 04”
140. HATSUYAMA Sho (NIPPO - VINI FANTINI - FAIZANE' / JPN) 37’ 08”

■第15ステージまでの総合成績
1. CARAPAZ Richard (MOVISTAR TEAM / ECU) 64h 24’ 00”
2. ROGLIC Primoz (TEAM JUMBO - VISMA / SLO) 0’47”
3. NIBALI Vincenzo (BAHRAIN - MERIDA /ITA) 01’ 47”
4. MAJKA Rafal (BORA - HANSGROHE / POL) 02’ 35”
5. LANDA MEANA Mikel (MOVISTAR TEAM / ESP) 03’ 15”
6. MOLLEMA Bauke (TREK - SEGAFREDO / NED) 03’ 38”
7. POLANC Jan (UAE TEAM EMIRATES / SLO) 04’ 12”
8. YATES Simon Philip (MITCHELTON - SCOTT / GBR) 05’ 24”
9. SIVAKOV Pavel (TEAM INEOS / RUS) 05’ 48”
10. LOPEZ Miguel Angel (ASTANA PRO TEAM / COL) 05’ 55”
148. HATSUYAMA Sho (NIPPO - VINI FANTINI - FAIZANE' / JPN) 3h 51’ 58”

[各賞]
■ポイント賞(マリア・チクラミーノ):DEMARE Arnaud (GROUPAMA - FDJ / FRA) 
■山岳賞(マリア・アッズーラ):CICCONE Giulio (TREK - SEGAFREDO / ITA)
■新人賞(マリア・ビアンカ):SIVAKOV Pavel (TEAM INEOS / RUS)

ジロ公式サイト
 

2度目の休養日明けはガビア峠越えがキャンセルになった山岳ステージ

5月27日の月曜日は2度目の休養日になり、28日からはいよいよ最終週がスタート。第16ステージは、悪天候と雪崩の危険があってガビア峠越えがキャンセルになり、コースルートを変更して行われることになった。ローベレをスタートし、ポンテ・ディ・レンニョにゴールするのは変わらないが、距離は226kmから194kmに短縮する。

ガビア峠の代わりには、チェーボ峠(カテゴリー3)とアプリカ峠(カテゴリー3)が組み込まれた。終盤のルートは変わらず、標高1854mのモルティローロ峠を通過する。
 
(MAP : RCS Sport)
(MAP : RCS Sport)
(MAP : RCS Sport)                                     
(MAP : RCS Sport)                                     

第15ステージのハイライト映像