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ジロ・デ・イタリア2019第12ステージはベネデッティが逃げ切り優勝/マリア・ローザはポランツェが獲得

レース
 
第102回ジロ・デ・イタリア(UCIワールドツアー)は、後半戦に入り山岳ステージがスタート。5月23日はクネオからピネローロまでの156kmでカテゴリー1の峠を越える第12ステージを競い、地元イタリアのチェーザレ・ベネデッティ(ボーラ・ハンスグローエ)が、逃げ切った小集団でのゴールスプリントを制してプロ初優勝を果たした。

総合リーダーのマリア・ローザは、この日の逃げ集団で総合成績が最も上位だったスロベニアのヤン・ポランツェ(UAEチーム・エミレーツ)が獲得し、チーム内でマリア・ローザを引き継ぐことができた。

山岳賞のマリア・アッズーラは、カテゴリー1のモントーゾ峠を先頭で通過したジャンルーカ・ブランビッラ(トレック・セガフレード)が獲得した。

新人賞のマリア・ビアンカは、総合10位になった英国のヒュー・カーシー(EFエデュケーションファースト)が獲得した。カーシーは、2014年にラファ・コンドール・JTLのメンバーとして参加したツアー・オブ・ジャパンで、総合6位になって新人賞と山岳賞を獲得した選手だ。
 
 
コンティからマリア・ローザを引き継いだポランツェ
コンティからマリア・ローザを引き継いだポランツェ
 
第12ステージは160選手がスタート。後半戦にはスプリンター向きのステージがほとんどないため、前日に区間優勝したオーストラリアのケイレブ・ユアン(ロット・スーダル)とイタリアチャンピオンのエリア・ヴィヴィアーニ(ドゥクーニンク・クイックステップ)が出走しなかった。

オフィシャル・スタートから3kmで、ベルギーのトマス・デヘント(ロット・スーダル)とアイルランドのエドワード・ダンバー(チームイネオス)がアタックしたのがきっかけとなり、25人の逃げ集団が形成された。彼らはすぐ集団に大差を付け、50km地点でタイム差は10分以上になっていた。

この逃げの中で、前日までの総合成績が最も上位だったのはポランツェで、チームメートでマリア・ローザを着ているヴァレリオ・コンティ(UAEチーム・エミレーツ)とのタイム差は5分24秒だった。25人の逃げ集団は、79km地点でメイン集団に15分半差を付けて逃げ続けた。

ゴールまで残り60kmを切った所で、先頭の逃げ集団からショーン・ベネット(EFエデュケーションファースト)がアタックし、1km先でマルコ・ハラー(チームカチューシャ・アルペシン)が追いついた。2人は後続の逃げ集団に30秒程度のタイム差を付けて先行した。

ゴールまで残り40kmで、標高1248mのモントーゾ峠(カテゴリー1)の登坂がスタート。先頭の逃げとメイン集団のタイム差はまだ13分近くあった。厳しい峠越えが始まると、先頭の2人はダミアーノ・カルーゾ(バーレーン・メリダ)が引く後続に吸収された。

先頭はこの峠でカルーゾ、ブランビッラ、エロス・カペッキ(ドゥクーニンク・クイックステップ)、ポランツェ、ダンバー、ダリオ・カタルド(アスタナプロチーム)の6人に絞られ、ベネデッティが追走していた。

メイン集団はチームユンボ・ビスマが先頭をコントロールし、モントーゾ峠に入るとヤン・ヒルト(アスタナプロチーム)が単独でアタックしたが、誰も追わなかった。

続いてミゲルアンヘル・ロペス(アスタナプロチーム)がアタックしたのを合図に、総合争いの闘いがスタート。ヴィンチェンツォ・ニバリ(バーレーン・メリダ)、プリモシュ・ログリッチェ(チームユンボ・ビスマ)、ラファウ・マイカ(ボーラ・ハンスグローエ)といった選手たちがロペスを追ったが、マリア・ローザを着たコンティは遅れ始めていた。

ゴールまで残り32kmのモントーゾ峠山頂は、ブランビッラがアタックして先頭で通過。カテゴリー1の峠で40ポイントを獲得し、第1ステージから山岳賞総合1位を守っていたチームメートのジュリオ・チッコーネ(トレック・セガフレード)からマリア・アッズーラを引き継いた。ここでメイン集団とのタイム差はまだ11分以上あった。

ポランツェはモントーゾ峠の山頂間近で先頭グループから遅れてしまったが、下りで追いつくことができた。ベネデッティ、マッテーオ・モンタグーティ(アンドローニジョカットリ・シデルメク)、カタルドも合流し、ゴールまで残り20kmで先頭の逃げは8人になっていた。

メイン集団では、モントーゾ峠の登坂でミケル・ランダ(モビスターチーム)がアタックし、ロペスとともに先行。ニバリたちに30秒ほどのタイム差を付けてゴールを目指していた。

ゴール手前2.5km地点にあった “ヴィア・プリンチピ・ダカヤの壁” と呼ばれる激坂はベネデッティが先頭で上り始めたが、すぐにブランビッラがアタックし、カペッキが追走した。500mの激坂はこの2人がトップで上りきったが、ダンバーが追いつき、先頭は3人になった。

フラムルージュを通過し、この3人がゴールスプリントを競うかと思われた矢先、後方からベネデッティとカルーゾが追いついた。そして5人でのスプリントを制したのは、31歳のベネデッティだった。今大会で30代の選手が区間優勝したのは初めてだった。激坂で遅れたポランツェは25秒後にゴールしたが、ログリッチェがいたメイン集団は8分以上遅れていて、ポランツェがコンティからマリア・ローザを受け継いだ。

ログリッチェは思わぬ伏兵の活躍で、マリア・ローザを取り戻すことはできなかった。一方、コンティは10分半以上遅れてゴールしたが、まだ総合3位に留まることができた。ロペスとランダはメイン集団よりも29秒早くゴールし、総合での遅れをわずかに取り戻した。


■ジロでプロ初優勝となる区間優勝を上げた31歳のベネデッティのコメント
「ボクは過去に他の選手たちの為にたくさん働いてきた。でも今日は、自分自身のチャンスを得た。ボクには才能はないし、勝者ではない。最後の上り坂で遅れてしまったけれど、3人が先頭で牽制するのは分かっていた。ボクがそれを仕上げたやり方は、まさにボクがやりたかったことだった」

■チームメートのコンティからマリア・ローザを引き継いだポランツェのコメント
「ボクが逃げに加わるのはチームの戦略だった。だから我々はレースをよりうまくコントロールできた。それはマリア・ローザをチームで守るための方法でもあった。我々はこの手札でプレイできてラッキーだった。このジャージを獲得できてとても嬉しいよ。区間優勝のことも考えていたけれど、ボクはバーチャル・リーダーだったから、他の選手よりもずっとたくさん引かなければならなかったんだ」
 
マリア・アッズーラを獲得したブランビッラ 
マリア・アッズーラを獲得したブランビッラ 
マリア・ビアンカを獲得したカーシーは2014年のツアー・オブ・ジャパンで新人賞と山岳賞を獲得した選手だ 
マリア・ビアンカを獲得したカーシーは2014年のツアー・オブ・ジャパンで新人賞と山岳賞を獲得した選手だ 
 
■第12ステージ結果[5月23日/クネオ~ピネローロ/156 km]
1. BENEDETTI Cesare (BORA - HANSGROHE / ITA) 3h 41’ 49”
2. CARUSO Damiano (BAHRAIN - MERIDA / ITA)
3. DUNBAR Edward (TEAM INEOS / IRL)
4. BRAMBILLA Gianluca (TREK - SEGAFREDO / ITA) 0’ 02”
5. CAPECCHI Eros (DECEUNINCK - QUICK-STEP / ITA) 0’ 06”
6. POLANC Jan (UAE TEAM EMIRATES / SLO) 0’ 25”
7. MONTAGUTI Matteo (ANDRONI GIOCATTOLI - SIDERMEC / ITA) 0’ 34”
8. DE GENDT Thomas (LOTTO SOUDAL / BEL) 02’ 36”
9. GAVAZZI Francesco (ANDRONI GIOCATTOLI - SIDERMEC / ITA) 02’ 36”
10. SENNI Manuel (BARDIANI CSF / ITA) 02’ 38”

18. LOPEZ Miguel Angel (ASTANA PRO TEAM / COL) 07’ 35”
19. LANDA MEANA Mikel (MOVISTAR TEAM / ESP) 07’ 35”
23. MAJKA Rafal (BORA - HANSGROHE / POL) 08’ 03”
24. ROGLIC Primoz (TEAM JUMBO - VISMA / SLO) 08’ 03”
25. NIBALI Vincenzo (BAHRAIN - MERIDA /ITA) 08’ 03”
27. MOLLEMA Bauke (TREK - SEGAFREDO / NED) 08’ 03”
28. YATES Simon Philip (MITCHELTON - SCOTT / GBR) 08’ 03”
30. ZAKARIN Ilnur (TEAM KATUSHA ALPECIN / RUS) 08’ 09”
33. CARTHY Hugh John (EF EDUCATION FIRST / GBR) 08’ 43”
44. CONTI Valerio (UAE TEAM EMIRATES / ITA) 10’ 37”
46. JUNGELS Bob (DECEUNINCK - QUICK-STEP / LUX) 10’ 37”
155. HATSUYAMA Sho (NIPPO - VINI FANTINI - FAIZANE' / JPN) 21’ 38”

■第12ステージまでの総合成績
1. POLANC Jan (UAE TEAM EMIRATES / SLO) 48h 49’ 40”
2. ROGLIC Primoz (TEAM JUMBO - VISMA / SLO) 04’ 07”
3. CONTI Valerio (UAE TEAM EMIRATES / ITA) 04’ 51”
4. CAPECCHI Eros (DECEUNINCK - QUICK-STEP / ITA) 05’ 02”
5. NIBALI Vincenzo (BAHRAIN - MERIDA /ITA) 05’ 51”
6. MOLLEMA Bauke (TREK - SEGAFREDO / NED) 06’ 02”
7. MAJKA Rafal (BORA - HANSGROHE / POL) 07’ 00”
8. CARAPAZ Richard (MOVISTAR TEAM / ECU) 07’ 23”
9. AMADOR Andrey (MOVISTAR TEAM / CRC) 07’ 30”
10. CARTHY Hugh John (EF EDUCATION FIRST / GBR) 07’ 33”

12. ZAKARIN Ilnur (TEAM KATUSHA ALPECIN / RUS) 07’ 45”
13. YATES Simon Philip (MITCHELTON - SCOTT / GBR) 07’ 53”
16. LOPEZ Miguel Angel (ASTANA PRO TEAM / COL) 08’ 08”
21. LANDA MEANA Mikel (MOVISTAR TEAM / ESP) 08’ 31”
23. JUNGELS Bob (DECEUNINCK - QUICK-STEP / LUX) 08’ 59”
159. HATSUYAMA Sho (NIPPO - VINI FANTINI - FAIZANE' / JPN) 1h 54’ 04”

[各賞]
■ポイント賞(マリア・チクラミーノ):DEMARE Arnaud (GROUPAMA - FDJ / FRA) 
■山岳賞(マリア・アッズーラ):BRAMBILLA Gianluca (TREK - SEGAFREDO / ITA) 
■新人賞(マリア・ビアンカ):CARTHY Hugh John (EF EDUCATION FIRST / GBR)

ジロ公式サイト
 
前日のチーム成績で区間1位だったNIPPO・ヴィーニファンティーニ・ファイザネの表彰が行われ、初山も表彰台に上がった
前日のチーム成績で区間1位だったNIPPO・ヴィーニファンティーニ・ファイザネの表彰が行われ、初山も表彰台に上がった

今年最初の頂上ゴールは標高2247mのチェレゾーレ・レアーレ

5月24日は、ピネローロをスタートし、標高2247mでカテゴリー1のチェレゾーレ・レアーレ(セッル湖)にゴールする196kmの第13ステージが行われる。今年最初の頂上ゴール区間は、カテゴリー1のコッレ・デル・リス峠とカテゴリー2のピアン・デル・ルーポ峠も越えなければならない。

ゴールのチェレゾーレ・レアーレへと続く最後の登坂は全長20.3kmで平均勾配は5.9%。序盤に最大14%の難所がある。最後の5kmの平均勾配は9.2%だ。
 
(MAP : RCS Sport)
(MAP : RCS Sport)
(MAP : RCS Sport)
(MAP : RCS Sport)

第12ステージのハイライト映像