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日本自転車普及協会 自転車セミナー特別編/マッサー講座レポート

イベント
2019年3月29日(金)、東京・目黒で日本自転車普及協会主催の自転車セミナー第7回【特別編】「自転車ロードチームマッサー講座~自転車レース舞台裏を解説~」が開催された。

エンネ・スポーツマッサージ治療院の院長で、20シーズン欧州プロチームに所属した中野喜文さんと、同僚で日本代表チームでマッサーを務める穴田悠吾さんが、自転車チームの業務について解説。1月の講座とは異なり、自転車ファンなど幅広い層を対象としており、マッサージの実演がなかったり、専門的な解説が省略されたりしたが、それ以外はほぼ同じ内容で行われた。前半は中野さんがマッサーの実際の仕事内容や適正人材、必要なスキルなどを話し、後半は穴田さんが日本代表チームでどのような活動をしているのかを報告、最後に質疑応答という形式だった。

 
スライドを使ってマッサーの仕事内容を解説
スライドを使ってマッサーの仕事内容を解説
マッサーには3つの要素が必要
マッサーには3つの要素が必要
国内・国外を問わずマッサーの仕事に共通しているのは、補給食の準備をするなど、マッサージ以外の仕事が多く、また、運転技能が必須であること。一流のマッサーは、施術がうまいのはもちろん、雑用業務の質も高く効率的であり、施術時間を圧迫しないという。
マッサーとして自転車業界に残る人は、マッサージ技術の高さはもちろん、自転車競技を理解し、コミュニケーション能力が高いと中野さんは話す。前者については、本業とは離れた仕事が多いので、こんなはずじゃなかったとならないために自転車競技の環境を楽しめる必要がある。後者については、ヨーロッパでは複数のマッサーがレースに帯同するので、協調性がないと施術方針の違いなどでいがみ合う可能性があるからだ。

穴田さんは国内チームとワールドツアーチームとの違いを説明。少ないスタッフ、限られた資金の中でいかに工夫、節約しているかといったことを教えてくれた。例えば、補給食を包むのにはホイルペーパーが一番良いが、節約するために代わりにクッキングシートを使うことがある。メリットもあり、滑りやすい素材なので、片手で出した時にも中身がスルッと口に入りやすい。

 


最後の質疑応答では、将来マッサーになりたい高校生など若い世代から質問が出た。しかし、将来の人材は多くいるが、業界では即戦力が不足しているという。中野さん、穴田さんが講演を行うのもここに狙いがあり、マッサーの仕事内容を知ってもらい、人材を探すのが目的だった。前述のように、本業以外の仕事が多く、2人が言うには「気が利かないやつは駄目」と求められる条件は厳しいかもしれないが、興味がある人は機会があれば話を聞いてみてほしい。

 
質疑応答
質疑応答
質問に答える穴田さん(右)と中野さん
質問に答える穴田さん(右)と中野さん



協力:インディバ・ジャパン