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UCIワールドツアーのE3ビンクバンク・クラシック2019でチェコのシュティバルが初優勝

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ベルギー北部のフランダース地方で、2019年3月29日に第62回E3 ビンクバンク・クラシック(UCIワールドツアー)が開催され、元シクロクロスチャンピオンのズデニェック・シュティバル(ドゥクーニンク・クイックステップ)が、4選手でのゴールスプリントを制して初優勝した。

2位はウァウト・ヴァンアールト(チームユンボ・ビスマ)、3位はグレッグ・ヴァンアーヴェルマート(CCCチーム)で、地元ベルギー勢が表彰台の両脇を占めた。
 

ユンゲルスが独走で逃げた

今年のベルギーは春の訪れが早く、レースは最高気温18℃で、ほとんど風がないおだやかな天候の下で競われた。ゴールまで残り61kmにあった舗装路の上り坂で、ルクセンブルクチャンピオンのボブ・ユンゲルス(ドゥクーニンク・クイクステップ)が集団から単独でアタックし、先頭の逃げグループに合流。これがレース展開を大きく左右した。

集団では残り42kmのパーテルバルフでヴァンアーヴェルマートが加速し、8人の精鋭グループが形成された。そこには最有力優勝候補と見なされていたスロバキアのペテル・サガン(ボーラ・ハンスグローエ)、ヨーロッパチャンピオンのマッテーオ・トレンティン(ミッチェルトン・スコット)、ミラノ〜サンレモ(UCIワールドツアー)で2位に入ったベルギーのオリヴェル・ナーゼン(AG2R・ラモンディアル)、ヴァンアールトが入っていた。

先頭では、ゴールまで残り31kmのカルネメルクビークストラートの石畳の坂でユンゲルスがアタックし、得意の独走を開始した。後方では残り20kmのティーヘンベルフでヴァンアーヴェルマートの加速に付いて行けなかったサガンが追走グループから脱落する番狂わせがあった。

ヴァンアーヴェルマートのアタックに耐えられたのはシュティバル、イタリアのアルベルト・ベッティオール(EFエデュケーションファースト)、ヴァンアールトだけだった。4人は30秒ほど先行するユンゲルスを追走したが、チームメートのシュティバルは終始後方でエネルギーを節約することができた。

ユンゲルスはゴールまで残り7kmを切った所で追走グループに捕まり、先頭は5人になった。そこから残り3.5kmでシュティバルがアタックしたが成功せず、疲れ知らずのユンゲルスがもう一度仕掛けたが、すぐに捕まってしまった。

最後は一度遅れたユンゲルスが再び追いつき、先頭を引いて残り1kmに突入。ゴール勝負で最初にスパートしたのはヴァンアーヴェルマートだったが、競り勝ったのはシュティバルだった。チェコ出身の選手が優勝したのは大会史上初の出来事だった。

シュティバルは3月2日に開催されたベルギーのシーズン開幕戦、オムロープ・ヘットニュースブラッド(UCIワールドツアー)でも優勝。33歳になって、やっと第2の故郷であるベルギーのセミ・クラシックのタイトルを2つ獲得した訳だ。ゴールスプリントで打ち負かしたのが、彼と同じようにシクロクロスの頂点を制してロードレースに挑戦しているヴァンアールトだったのは印象的だった。
 
記者会見でそれを指摘されたシュティバルは「まだマテュー・ファンデルプール(コレンドン・シルキュス)が来るのを待っている所さ」と言って、記者たちの笑いを誘っていた。ファンデルプールは日曜日のヘント〜ウェヴェルヘム(UCIワールドツアー)に参加する予定だ。

この日は中盤にベルギーのセプ・バンマルク(EFエデュケーションファースト)が落車してレースを棄権した。病院での検査で幸い骨折は見つからなかったが、彼はヘント〜ウェヴェルヘムを欠場することになった。


■E3・ビンクバンク・クラシックで優勝したシュティバルのコメント
「毎年積んできた経験の積み重ねが、昨年までと今年の大きな違いだと思う。ボクは今年ステージ2勝していて、それが自信になっているのもあると思う。調子が良くても色々なことが上手く行かないで成績を得られないこともある。でも今年はコンディションもいいし、ボクは適切な瞬間にあるんだと思う。

ボクはシクロクロスからロードに大きな転向をして、このシチュエーションを得て、いい成績も得られた。それをエンジョイしたいよ」

 
今年のE3・ビンクバンク・クラシックはカエルの王様をポスターに使用していたため、表彰式でシュティバルは王冠をプレゼントされた
今年のE3・ビンクバンク・クラシックはカエルの王様をポスターに使用していたため、表彰式でシュティバルは王冠をプレゼントされた
 

■第62回E3・ビンクバンク・クラシック結果[3月29日/UCIワールドツアー/203.9km]

1. ŠTYBAR Zdeněk (DECEUNINCK  -  QUICK - STEP / CZE) 04:46:05
2. VAN AERT Wout (TEAM JUMBO - VISMA / BEL) 
3. VAN AVERMAET Greg (CCC TEAM / BEL) 
4. BETTIOL Alberto (EF EDUCATION FIRST / ITA) 
5. JUNGELS Bob (DECEUNINCK  -  QUICK - STEP / LUX) 0:03
6. POLITT Nils (TEAM KATUSHA ALPECIN / GER) 1:04
7. TRENTIN Matteo (MITCHELTON - SCOTT / ITA) 1:04
8. NAESEN Oliver (AG2R LA MONDIALE / BEL) 1:04
9. SÜTTERLIN Jasha (MOVISTAR TEAM / GER) 1:04
10. HIRSCHI Marc (TEAM SUNWEB / SUI) 1:04

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