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どうやってチームに? 大宅陽子が聞く、みんなで走るストーリー 最終回 『GEKIKOGI』編

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サイクルスポーツ本誌はもちろん、NHK BS1の番組「チャリダー★」にも「坂バカ女子部」として登場した大宅陽子さんの連載記事最終回。仲間と走る楽しさを伝えるべく、各地のチームライドにおじゃま。チームの活動内容や、チーム結成のいきさつ、メンバーの素顔にせまる。

 

最終回『GEKIKOGI』編

朝10時。霞ヶ浦のアトレ内にあるタリーズコーヒーでまったり過ごす3名と合流した。バイクラックにかかる自転車は2台。「早朝に到着し、筑波山を上ってきた」と笑顔で話す2人。1人は「今日はどんな自転車かな」と楽しそうにカフェの対面にあるサイクルショップへ向かった。

しばらくたって、輪行袋を抱えた仲間が集まった。組み立てるバイクはシングルスピードやミニベロなど多種多様。鞄一つでやってきた数名はサイクルショップへと慣れた様子で足を運び自分に合ったサイズのバイクをレンタルしている。今回は9名中3名がレンタルバイクを利用した。

 
photo:大宅陽子
photo:大宅陽子


外へ出たのは11時過ぎ。慣れた足取りで霞ヶ浦サイクリングロードへ向かった。
天気は晴天。右手に霞ヶ浦、左手にレンコンの収穫を見ながら北上する。北風が強い。皆、それほどペースを上げることはなく、しかし一定のペースで進んでいく。

コンビニにたどり着き補給をしてから折り返し。追い風に乗ってからは、それぞれのペースで、近くにいる仲間と会話を交わしながらサイクリング。地産地消×ヘルシーをテーマにしている『かすみキッチン』でちょっと遅めのランチタイムとなった。日没までたっぷり走ってプレイアトレ土浦に到着。片づけをして、全員が電車で帰路へついた。

 
プレイアトレ土浦内で組み立て、バイクのレンタルができる Photo:大宅陽子
プレイアトレ土浦内で組み立て、バイクのレンタルができる Photo:大宅陽子
サイクリングロードは車の往来も少なく快適 Photo:大宅陽子
サイクリングロードは車の往来も少なく快適 Photo:大宅陽子
皆で放し飼いされていた犬を可愛がる。同世代ならではのノリの良さがある Photo:大宅陽子
皆で放し飼いされていた犬を可愛がる。同世代ならではのノリの良さがある Photo:大宅陽子
霞ヶ浦沿いにあり、見つけやすい Photo:大宅陽子
霞ヶ浦沿いにあり、見つけやすい Photo:大宅陽子
サイクリストウェルカムな雰囲気が嬉しい Photo:大宅陽子
サイクリストウェルカムな雰囲気が嬉しい Photo:大宅陽子
常陸牛の牛すじカレー Photo:大宅陽子
常陸牛の牛すじカレー Photo:大宅陽子
日没間近となりプレイアトレ土浦へ急ぐ Photo:大宅陽子
日没間近となりプレイアトレ土浦へ急ぐ Photo:大宅陽子


チーム名は『GEKIKOGI(ゲキコギ)』。ソーシャルアパートメント『ワールドネイバーズ護国寺』に暮らす仲間たちで結成された。御神火ライドにみんなで参加することになり、「どうせ出るならジャージを作ろう」「それならチーム名を決めないと」という話になり、「こんなチームにしたいよね」と仲間と話し合った。「がむしゃらなイメージにしたかった」という思いに合い、さらに「Instagramで検索をしてもGEKIKOGIというチーム名は出てこなかったので決定した」という。

メンバーは現在25人。男性17人、女性8人だ。メンバーは20代後半から30代前半。告知や交流はFacebookページで行っている。『ワールドネイバーズ護国寺』はFacebookで管理運営がされており、そのグループ内に告知のスレッドを立ち上げている。

今まで参加したイベントは、昨年の御神火ライドと霞ケ浦エンデューロ。今回お邪魔したライドは、1月の沖縄センチュリーランへ向けての練習という位置づけだった。今回に限らず土浦でライドをすることが多いという。土浦を選ぶのは、初心者と一緒に走るのに必要な条件が揃っているから。レンタルバイクが充実し、女性に合ったサイズのロードバイクも揃っている。さらに、サイクリングロードがある。車の往来やアップダウンが少なく、初心者でも安心してロードバイクに乗ることができる。
 
沖縄センチュリーライドへの参加を決めた理由は「御神火ライドで伊豆大島を走ってみたけれど、景色のいいところを走るのは楽しいよね」「旅行に行きたいな」「沖縄いいよね」と話が弾んだからだそう。「楽しい」「旅行」「沖縄」。それらに「自転車」を足して調べたらイベントが出てきたという流れだ。



 
シンプルながら目を引くデザイン Photo:大宅陽子
シンプルながら目を引くデザイン Photo:大宅陽子
リーダー的な存在の宮東さん Photo:大宅陽子
リーダー的な存在の宮東さん Photo:大宅陽子
自転車歴が長い戸谷さん Photo:大宅陽子
自転車歴が長い戸谷さん Photo:大宅陽子
“ばばゆか”こと馬場さん Photo:大宅陽子
“ばばゆか”こと馬場さん Photo:大宅陽子


「肩書をつけるなら“言い出しっぺ”」というのは“みやひ”こと宮東さん。リーダー的な存在だ。一昨年のゴールデンウィークにしまなみを走りたいと思い、仲間を募った。それがこれほど続くチームになるとは思っていなかったという。皆、色々な趣味をもっているため、1か月あたりに必要となる金額が上がりすぎないように気を付けているそうだ。

「例えば、土浦までの交通費、ロードバイクのレンタル代金、食事代の合計は約6000円。これくらいであれば、他の趣味で1日遊ぶ金額と比べてもそれほど高くはありません。僕らにとってはサイクリングは普通の遊びの一つ。自転車は買いたかったら買えばいい、くらいの感覚なんです。イベント参加などで遠征する場合は、さらに宿泊費や参加費がかさむので、遠征は多くても月2回と決めています。宿泊費は大部屋が借りられたらその方が安いし、楽しいなと思っています」

「感覚が近い人が多いから成り立っていると思う」と宮東さんは語る。「沖縄に行くのも旅行、自転車、ごはん、など皆楽しみにしていることはそれぞれ。優先順位はそれぞれちがっていいんです」
 

自転車歴の長い戸谷さんはバイクについての知識もあり、皆に頼られる存在だ。


「自転車に限らず、みんなの遊びたいことの選択肢が増えていくといいなと思っています。GEKIKOGIのメンバーは、自転車を交えても、交えなくても一緒に楽しめる。自転車は好きです。みんなで運動する一体感が楽しい」
「チームというよりはコミュニティです」
 

“ばばゆか”こと馬場さんは元々自転車を買う気が無かったそう。


「趣味は筋トレです。元々運動が好きでした。御神火ライドに参加することになり、完走できるように土浦から筑波山へ走りに行って練習しました。正直、前々日ぐらいまで行くのをやめようかと思っていたのですが、走ってみたら楽しくて」

すっかり楽しくなった馬場さんはロードバイク購入を決意。愛車はチネリのエクスペリエンスだ。2018モデルは国内どこに問い合わせてもみつからず、海外から取り寄せたそう。
 



 
クライミングが趣味の干山さん Photo:大宅陽子
クライミングが趣味の干山さん Photo:大宅陽子
メンバーの趣味は、クライミング、写真、酒、絵、ダンス、旅行に音楽、トレランと多岐にわたる。干山さんはクライミングのために減量をするツールとしてロードバイクを始めた。体重管理以外にも、違うスポーツをすることがクライミングへの良い刺激になるという。
 
メンバーには「自転車は好きだけれど、遊ぶツールの一つ」という共通認識があるそうだ。
 
別れ際にメンバーの一人から声をかけてもらった。「今夜はメンバーみんなで鍋パするんです。おおやさんもどうですか?」
彼らにとって、ライドはコミュニティの活動の一つ。自転車を降りてからも変わらず続く交流に、新しい自転車を通じたコミュニティが見えたように感じた。
 
 


【走行距離】78㎞ 獲得標高99m
 
【立ち寄りどころ】『かすみキッチン
 
【ペース】安全に。全員が走れるペースでゆっくりと
 
【フレンドリー度】同じソーシャルアパートメントで暮らす仲間たち




20~30代のメンバーで結成されているチームです。さらにレンタルバイクを活用することでスポーツバイクを持っていない仲間ともライドを楽しんでいます。今後の新しいチームの形としてとても興味深いライドでした。



 

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大宅陽子(おおやようこ)

この連載のレポーター。ヒルクライムをこよなく愛するサイクリスト。各地のヒルクライム大会で入賞、ジャパンカップオープン女子完走の経歴をもつ。また、ヨガインストラクターとして自転車競技の特性に合わせた「サイクリストヨガ」のレッスンを各地で開催中。


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