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ライド後バイクのリカバリー=洗車 サイクリストのためのリカバリーセミナー

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バイクメンテナンスも大切なリカバリー

11月8日(木)にワイズロードお茶の水店で開催された「サイクリストのためのリカバリーセミナー」。ライド後のリカバリーを「バイクメンテナンス」と「フィジカルケア」という観点から、それぞれのプロフェッショナルによるセミナーが行われた。バイクメンテナンスパートは、ケミカル用品の大手、ワコーズよりライド後のセルフメンテナンス方法が紹介された。
 

「皆さんは、自分のバイクに正しく空気を入れることができますよね。」
そう問いかけるのは、ワコーズの山内智也さん。参加者のほぼ全員が頷く中、こう続けた。
「『正しく空気を入れる』のと同じくらい、バイクのメンテナンスも日常的に自身の手で行ってもらいたいことなんです。」
 
山内さん曰く、バイクの洗浄およびメンテナンスは、掃除という意味合いより、早く安全に走るためのリカバリー的な意味合いが強いという。消耗品や細かいところを自身で観察することにより、ちょっとした異常にも気付けるようになるのだ。一般的にリカバリーというと、フィジカル的な要素に目が行きがちだが、バイクにも“正しいリカバリー”が必要なのだという。

ケミカル類を正しく知ろう

 
洗車に取り掛かるまえに、まずは各溶剤の特徴と役割を正しく理解しよう。
 
・パーツクリーナー①
サイクリストなら一度は必ず手にしたことのあるパーツクリーナー。中にはこれでチェーン洗浄をしているという方もいるのではないだろうか。
「パーツクリーナーの役割は、油汚れを溶かして押し流すというもの。実は溶かす力は2割で、残りの8割は噴射の勢い。スプレーのパワーで吹き飛ばしているに過ぎないのです。」
つまり噴射の力を利用するため、一箇所の汚れを落とすのに必要以上の溶剤を消耗してしまうという。さらに可燃性の高いガスを使用しているため、室内での使用は推奨できない。
 
・ディグリーザー②、③
ディグリーザーには強力な工業用②(フィルタークリーナー)と、ナチュラルタイプの家庭用③(パーツディグリーザー)の2種類がある。油を主原料とした溶剤に界面活性剤を加えているため、ウォータープルーフの油汚れにもよく馴染み、確実に落としていくという。
「よく汚れが落ちる一方で、ディグリーザーの流し忘れがあるとプーリーなど部品を傷つけてしまう可能性があります。またチェーンオイルを新たに差しても、全部流し落としてしまうので、しっかりすすぐことを心がけてください。工業用はあまりにも強力すぎるため、一般的なサイクリストのみなさんにはナチュラルタイプがおすすめです。」


・洗剤④
界面活性剤を主原料にした洗剤は、頑固な油汚れには目も歯も立たない。石鹸水をスプレーで噴射し泡状にしている水溶性のため、油と分離してしまうというのだ。「イメージしていただきたいのは台所の換気扇。これを洗剤だけで洗い落とすのは苦難の技ですよね。必死にこすり続けてもなかなか落ちません。」
 


 

水が使えなくても大丈夫! 室内洗車で愛車をぴかぴかに

ナチュラルタイプのディグリーザーを刷毛でチェーンに塗布していく
ナチュラルタイプのディグリーザーを刷毛でチェーンに塗布していく
ディグリーザーで浮かせた油汚れをワコーズ・フォーミングマルチクリーナーで洗い流す
ディグリーザーで浮かせた油汚れをワコーズ・フォーミングマルチクリーナーで洗い流す
マイクロファイバータオルで各部の汚れを拭き取っていく
マイクロファイバータオルで各部の汚れを拭き取っていく
 
集合住宅や家族のルールで、水を使っての洗車ができないサイクリストも多いことだろう。そんな参加者のために、山内さんがとっておきの室内洗車方法を教えてくれた。
 
「室内での洗車をするにあたり事前にあったほうが良いものは『チェーンキーパー
スタンド・耐油タイプのゴム手袋』です。洗車をするならばメンテナンススタンドがあればベストなのですが、リアホイールを外し、スタンドを固定することで代用が可能です。」
 
・洗車の方法
セッティングが完了したら早速洗車を開始する。まずはディグリーザーをチェーンに塗布していく。ブラシはチェーンの真上から、内部に入り込んだ砂利や油、泥を落とすように力強くゴシゴシと当てていくのがポイント。じっくり丁寧にディグリーザーと汚れを馴染ませていこう。
 
「発想は女性のメイク落としとまったく同じなんです。メイクとオイルを丁寧に馴染ませ、そのあとに洗顔石鹸ですべてさっぱり洗い流す。……男性のみなさんにはあまり馴染みはないでしょうけど(笑)」
 
汚れが浮き上がったら、洗剤を利用してしっかりと洗い流していく。もし水洗いが可能なら洗剤で洗った後に水で流せば良いが、今回はマイクロファイバータオルで拭き取っていく。フレームをはじめ他のパーツもこの洗剤でOKだ。もし溶剤が下に垂れてしまっても、水溶性なので傷つけることはない。
「汚れが残っていたら泡は液状になり滴り落ちます。液体状にならなくなるまで、塗布と拭き取りを繰り返しましょう。」
 
・アフターケア
実はチェーンオイルに大きな性能の差はないという山内さん。
「バイクメンテナンスにおいて、注油は2割なんです。あとの8割は掃除。それほど洗浄が大きな意味を持ちます。」
チェーンピンを目印にひとコマずつ丁寧に油を差し、15分放置〜一晩放置し余剰な油を拭き取る。また、フレームへのコーティング剤も大きな意味を持つという。おすすめはガラスタイプのコーティング剤。見た目もピカピカに美しくなる上に、付着してしまった汚れも落としやすい。
 
実際に会場でレクチャーしながら洗車を進めた山内さん。最終的にピカピカに洗車したバイクを掲げ、参加サイクリストに言葉をかけた。
「レースやライド後は自分の体だけではなく、自転車のメンテナンスもしっかりしてあげてください。みなさんがタイヤに空気を入れるのと同じように、手軽にメンテナンスを行ってくれればと願っています!」
 
最後はチェーンオイルを注油して終了。山内さんは「メンテナンス作業において、注油は2割あとの8割は掃除」と語る
最後はチェーンオイルを注油して終了。山内さんは「メンテナンス作業において、注油は2割あとの8割は掃除」と語る



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