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新城幸也 今シーズンを振り返る。そして2019年シーズンは?

レース
バーレーン・メリダの新城幸也選手の記者発表会が、メリダXベース(静岡県伊豆の国市)にて行われた。2018年シーズンの振り返りと、2019年シーズンへの抱負、東京五輪について、若手の育成などを聞いた。



Q:2018年シーズンはどんなシーズンでしたか?
強い意気込みをもって臨んだシーズン。ツアー・ダウンアンダーのチーム総合優勝から始まって、アジア選手権に出場。チームTTで優勝できました。ナショナルチームの浅田コーチに頼んでツール・ド・台湾の日本代表チームに入れてもらい、台湾で総合優勝することができました。

アジア選手権で結果が出たこともあり、台湾で設定した目標はステージ優勝、若い選手の活躍、UCIポイントを多くとるというものでした。その結果、第1ステージで岡本隼が勝利、自分自身も総合優勝できたし、春先の乗り込みを生かして序盤はいいスタートができました。

その後4月はツアー・オブ・クロアチア。台湾の後で疲れが残っていたクロアチアではアシストとして走り、チームメイトがステージ優勝しました。

そしてツアー・オブ・ジャパンに5月に帰ってきました。そのときはツール・ド・フランス出場の可能性がありましたが落車。勝つつもりで帰国したのに残念な結果でした。5日休んでドーフィネに向けてトレーニングを開始。でもパフォーマンスはそこまでに戻らなかったし、ツールのメンバーにも選ばれませんでした。


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そのため7月はタイで合宿。ヨーロッパでビンクバンクツールを走ってアジア大会に出場し、ブエルタ・ア・エスパーニャというのがシーズン後半のスケジュールとして理想でした。でも、そのビンクバンクツールで落車、骨折。そこから復帰した10月のツアー・オブ・広西でシーズンを終えました。

2018年の思い描いていたシーズンとは違うものになってしまったが、中国のレースでコンディションの戻りは確認できたので、気持ちを2019年シーズンに切り替えていきます。1シーズンで2回骨折したのは初めてですが、アジア選手権チームTT、ツール・ド・台湾で優勝しているのでパフォーマンスはいい状態であるというのは確認できています。



Q:来シーズンの抱負は? 今後のスケジュールは決まっている?
来期はチームメンバーが大きく変わる。どういうチームになるか楽しみです。オリンピックの出場枠をかけたポイントに関わる大切な年になります。とはいえ、好き勝手やりすぎると2020年に所属するチームがなくなってしまうので(笑)、自分のポイントばかり追い求めて走るというわけにはいかないけれど、チャンスは活かしたいです。

今後のスケジュールは、12月6日からトレーニングキャンプが始まります。トリノでメディカルチェックを行い、そのあとクロアチアで12月20日まで。
年末年始はタイで走りこみます。1月6日にオーストラリアへ移動、ダウンアンダーに備えます。チームキャンプに行けばもう少し先のスケジュールが決まるでしょう。


Q:いくつかのチームと契約について話をしたとリリースに出ていたが、バーレーン・メリダと最終的に契約した理由は?
移籍しようとしたわけじゃないです。ですが、バーレーン・メリダのGMから契約更新を待ってくれと言われました。ワールドツアー、プロコン、からも競合するオファーはありましたが、ワールドツアーチームに在籍したいというこだわりはありました。なので、他のチームのオファーに対しても、まずはバーレーン・メリダの結果を待って欲しいと。年齢、ケガもあったのに、全く同じ条件で契約更新をすることができました。とてもうれしいことでしたね。


Q:ディスクブレーキロードは使う?
合宿で明らかになると思います。チームとしてディスクブレーキに移行するということになったら僕は選手としてそれに対応します。すでにディスクブレーキロードを使っている選手から、バイクの動きが違うと聞いています。なのでそれに対応してきたい。違うバイクになるのが楽しみ。自分にとって初めてのディスクブレーキなので、扱い方の勉強からはじめないと!
 
メリダXベースのエントランスにて
メリダXベースのエントランスにて
エントランスにあるボードにサインする新城選手。現地で探してみて
エントランスにあるボードにサインする新城選手。現地で探してみて
MTBのスプロケットを見て、ロードとの余りの差に驚く新城選手。思わず歯数を数える
MTBのスプロケットを見て、ロードとの余りの差に驚く新城選手。思わず歯数を数える



Q:メリダXベースははじめての来場?
メリダのXベースにははじめてきました。短期合宿とかには向いていそうな施設ですね。走る場所もあるしメカニックもいる。イベントとかも企画してもらえれば。乗り比べもできるし。素敵な場所。長期合宿はやはりタイに行きます。それは、乾期で天気が安定しているというのが理由。雨でも走れるけど、疲れが無駄にたまるのを避けられます。




Q:東京五輪について
コースがキツイ、というのをいろいいろな選手から聞かれている。めちゃくちゃ暑いでしょう。ヨーロッパ人は体験したことがない日本の夏に苦労すると思います。2019年の東京五輪プレ大会については、ツール・ド・フランスのメンバーに選ばれるならもちろんツールを選びます。日本人なので、いつでも東京五輪コースの試走はできますし。2020年の東京五輪当日は、ツール・ド・フランスに出場すると中4日で東京五輪。しかも時差ぼけの影響が大きい東への移動なので、ツールの上位を走ったメンバーが来るのは時差的にも体力的にも厳しいと思う。自分としては両方走りたい。


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Q:ツール・ド・台湾のように日本人の若手選手とレースに参加するとき、具体的にはどんな指導をしている?
走り方ですね。力の使いどころ。アマチュアは前に前に行くレースが多い。でも、ステージレースでリーダーを抱えているチームとしてその走り方じゃダメ。例えばツール・ド・台湾の最終日、それいかせちゃダメ! という逃げにチェックが入らなかったし、そこつながなくていいっていう動きに反応してたことがありました。

あとは集団のなかでみんな同じような場所にいる。前にいて、前の動きに対応する人、後ろにいてそっちで対応する人と分担しないと。集団は常に流れている、その流れに乗ればいいのに、行ったのに反応しちゃう。だから集団の右側、左側と守備範囲を意識する。そしてその守備範囲を信頼しあうことが大切です。

こういったことは自分自身もレースをするなかで学んでいきました。集団コントロールをはじめてやったのはエキップアサダ時代、2008年パリ~コレーズで(清水)都貴さんが優勝したとき。リーダーを抱えることが、集団コントロールの意味を学ぶのに一番です。この逃げを行かせていいのかとか。10人が逃げたら、逃げに乗せていないチームがぜったいに追いかける。だったら自分たちは動かなくていい。それを冷静に判断する必要がある。ツール・ド・台湾のメンバーは冷静だったけど、いまいち判断に自信がないように思いました。



Q:注目している日本人の若手選手は?
松田祥位(エカーズ)は注目しています。19歳の時の自分よりも強いと思う(とはいえ新城選手が19歳のときは競技キャリア1年目だ)。すでにベースとして自分を超えているので、この先の成長は楽しみです。ジュニアギヤを卒業して初めてトップ11Tを踏んで臨んだアジア選手権のチームTTでちゃんとローテーションに入って平均速度50㎞を維持することができてましたし。まだコンディショニングの波があるので、それがなくなればもっと良い選手になると思います。



Q:長いシーズン中、長く高いコンディションを維持できています。他の日本人はなかなか実現できていない点です。コツは何ですか?
コンディショニングはタイで乗り込むことで土台作りをします。体のベース作りが大切。その大きな土台作りができていない選手が多いのではないでしょうか?
自分のこの方法は自己流です。浅田さん(エキップアサダ監督)の元で走っていた時は、メニューをもらってチーム皆で練習に行ってメニューをこなしていましたが、それ以降は自己流なんです。もちろん今もチームのトレーナーはいて、お願いすればトレーニングメニューを作ってくれます。でもメニューをもらうことはないですね。自分のトレーニングデータをトレーナー送って「いいトレーニングができているよ。去年と比べて同じくらいに仕上がっている」とか、確認してもらっています。

もちろんトレーナーのメニューでやる選手もいます。(ヴィンチェンツォ)ニバリがそうです。トレーニングする道路まで決まっていて、このルートで何分走やって、次はこっちの道路に行ってこのメニューをこなしてという具合です。



Q:ツール・ド・フランスへの思いを聞かせてください。
いちばん多く出場しているステージレースです。2009年に初出場して、いままでで7回。1回出たときに、ツールは思っていた以上にすごかった。多くの観客の前を走り、多くの選手が出場している。2カ月前から準備して1カ月前から試走して3週間集中して、走り切ってシャンゼリゼにフィニッシュする感動。
自転車と3週間一体になる、感覚が研ぎ澄まされたその時間が楽しい。自分が住んでいる国、フランスで開催されますし、出場回数が多いゆえに思い入れも大きいですね。