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ピレネー頂上ゴールのツール・ド・フランス第17ステージはコロンビアのキンタナが独走で区間優勝

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今年のツールで最後の頂上ゴールを制したコロンビアのキンタナ (©Bettiniphoto)
今年のツールで最後の頂上ゴールを制したコロンビアのキンタナ (©Bettiniphoto)
 
第105回ツール・ド・フランス(UCIワールドツアー)は、7月25日にバニエール・ド・リュションからサン・ラリー・スランのポルテ峠(カテゴリー超級)頂上までの65kmで第17ステージを競い、コロンビアのナイロ・キンタナ(モビスターチーム)が独走で区間優勝した。2位には28秒遅れでアイルランドのダニエル・マーティン(UAEチーム・エミレーツ)が入った。

マイヨ・ジョーヌを着た英国のゲラント・トーマス(チームスカイ)は、ゴール目前でメイングループからスパート。総合のライバルたちにわずかなタイム差を付けることに成功し、区間3位で4秒のボーナスタイムも獲得した。

英国のクリストファー・フルーム(チームスカイ)は、終盤にメイングループから脱落し、トーマスより48秒遅れてゴール。総合2位の座をオランダのトム・ドゥムラン(チームサンウェブ)に奪われてしまった。

ポイント賞のマイヨ・ベールを着た世界チャンピオンのペテル・サガン(ボーラ・ハンスグローエ)はバル・ルロン・アゼット峠の下りで転倒したが、幸い大きなケガはなく、制限時間内にゴールしている。



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総合首位の座を守った英国のトーマス (©Bettiniphoto)
総合首位の座を守った英国のトーマス (©Bettiniphoto)

今年最後の頂上ゴールでキンタナがアタック!

MAP : ASO
MAP : ASO
ピレネー2日目の第17ステージは今年最後の頂上ゴールで、ツール初登場で今年最高峰(標高2215メートル)のポルテ峠がゴールだった。前日のステージで崖下に転落したベルギーのフィリップ・ジルベール(クイックステップ)がスタートせず、146人が出走した。

完走したジルベールは、当初どこも折れていないと話していたが、レース後の検査で左膝蓋骨を骨折していたことが判明した。彼はこのケガで、最低でも6週間レースに参加できなくなった。

たった65kmしかない第17ステージはニュートラルゾーンがなく、スタート地点にF1を真似たスタートグリッドが用意され、総合成績の順番に並んでレースを開始した。そのため選手たちは、スタート前にタイムトライアルのようにアップをしてからレースに臨んだ。

今大会が18回目のツール参加で、最多出場記録を更新したフランスのシルヴァン・シャヴァネル(ディレクトエネルジー)は、このステージが365ステージ目で、オランダのヨープ・ズートメルクの記録に並んだ。

スタートからたった100メートルでこの日最初のペイルスールド峠の登坂が始まり、タネル・カンゲルト(アスタナプロチーム)、トーマス・デヘント(ロット・スーダル)、ピエール・ロラン(チームEFエデュケーションファースト・ドラパック・P/Bキャノンデール)が集団からアタック。2km地点で先頭はカンゲルト1人になり、20人ほどの選手が追いかける展開になった。5km地点でカンゲルトに地元フランスのニコラ・エデ(コフィディス)が追いついたが、すぐに遅れてしまった。

ペイルスールド峠を越えた後にあったカテゴリー1のペラギュド山頂は、カンゲルトが先頭で通過し、マイヨ・アポワを着たジュリアン・アラフィリップ(クイックステップフロアーズ)、クリスティアン・ドゥラセク(UAEチーム・エミレーツ)、ヘスス・エラダ(コフィディス)が15秒遅れで続いた。

メイン集団ではキンタナがパンクで遅れたが、チームメートの働きですぐ集団に戻ることができた。

ペラギュド峠を下り終えた25km地点で、先頭のカンゲルトにアラフィリップとドゥラセクが追いついた。27.5km地点の中間スプリント地点はカンゲルトが先頭で通過し、後続に50秒差、メイン集団に3分35秒差を付けていた。

つづくカテゴリー1のバル・ルロン・アゼット峠の頂上は、アラフィリップが先頭で通過してさらに山岳ポイントを獲得。ここでドゥラセクは5秒遅れ、先頭は2人で峠を下った。集団は37km地点のバル・ルロン・アゼット峠山頂で2分6秒遅れだった。

ゴールまで残り16km、最後のポルテ峠の坂が始まった時、先頭の2人とドゥラセクは1分3秒差、追走グループは1分13秒差、メイン集団は2分38秒差だった。

ポルテ峠が始まると、アラフィリップはギブアップし、TVカメラに向かって''もうお仕舞いだ''という仕草を見せた。しかしカンゲルトは諦めず、単独でゴールを目指した。

残り15kmで追走グループからダニエル・マルティネス(チームEFエデュケーションファースト・ドラパック・P/Bキャノンデール)、アレハンドロ・バルベルデ(モビスターチーム)、ラファウ・マイカ(ボーラ・ハンスグローエ)がアタックし、カンゲルトを追いかけた。

3分近く遅れていたメイン集団からは、マーティンとキンタナがアタックしたが、総合成績でキンタナは4分23秒遅れの8位、マーティンは6分54秒遅れの10位だったため、誰も追いかけなかった。マーティンはキンタナのペースについて行けず、すぐに遅れてしまったが、それでも集団に戻ることなく追走を続けた。

カンゲルトがゴールまで残り13.3km地点を逃げ続けている時、メイン集団では今大会のダークホースと呼ばれる総合4位のプリモシュ・ログリッチェ(チームロットNL・ユンボ)がアタックし、すぐにフルームがついていった。2人はしばらく先行したが、ドゥムランがマイヨ・ジョーヌ集団を引いて2人を捉えた。

その頃前方では、キンタナがバルベルデ、マイカ、マルチネスのグループに合流。バルベルデが先頭を引き、キンタナのアシストを開始した。この走りでマルティネスは遅れてしまった。残り10kmでバルベルデも仕事を終え、追走はキンタナのマイカの2人になった。

ゴールまで残り8.5kmで、カンゲルトはキンタナとマイカの2人に捕まってしまった。そしてマイカも残り6.4kmでついていけなくなり、先頭はキンタナ一人になった。マイカはしばらくマーティンと追走を続けたが、残り4.7kmでキンタナを追うのはマーティン1人になっていた。

ウァウテル・プールス(チームスカイ)が引き続けるマイヨ・ジョーヌ集団はすでに9人に絞られ、残り6kmでそこからロマン・バルデ(AG2R・ラモンディアル)が脱落してしまった。

ゴールまで残り3kmを切り、エガン・ベルナル(チームスカイ)が引くマイヨ・ジョーヌ集団からログリッチェが再びアタック。今度はマイヨ・ジョーヌのトーマスが反応し、ドゥムランもついて行った。フルームは一度遅れたが、追いつくことができた。

しかし、ゴールまで残り1.6kmでドゥムランがアタックした時には、ついて行けたのはトーマスとログリッチェ、スティーフェン・クラウスウェイク(チームロットNL・ユンボ)の2人だけだった。フルームはここで遅れてしまい、ベルナルに引かれてゴールを目指した。マイヨ・ジョーヌ集団に留まり続けていたミケル・ランダ(モビスターチーム)は、フルームの後ろに付いていた。

最後はキンタナが難なく独走でフィニッシュラインを通過し、2013年につづいて2度目の区間優勝を果たした。彼は今大会最高峰の峠にかけられたスーベニール・アンリ・デグランジュ賞も獲得している。

3位争いを制したのはマイヨ・ジョーヌのトーマスで、ドゥムランに5秒差を付けてゴール。4秒のボーナスタイムと合わせて、ピレネー2日目に9秒差を付けることができた。


■ツールで2度目の区間優勝を果たしたキンタナのコメント
「これはボクにとってだけでなく、とても一生懸命攻撃的に働いてくれたチームにとっても、十分に値する勝利だというのが真実だ。我々は偉大なチームであることをデモンストレーションしたんだ。

ボクはこのコースを知っていた。最後の上りは下見していたが、ボクが勝利を収められたのはチームのサポートのおかげで、とりわけボクを待っていてくれて、素晴らしいポジションに置いてくれたバルベルデのおかげだ。総合成績はちょっと難しくなったが、我々は最後までレースを難しくし続けるよ」
 

 
 
■第17ステージ結果[7月25日/バニエール・ド・リュション~サン・ラリー・スラン(ポルテ峠)/65km]

1. NAIRO QUINTANA (MOVISTAR TEAM / COL) 2H 21' 27''
2. DANIEL MARTIN (UAE TEAM EMIRATES / IRL) +28''
3. GERAINT THOMAS (TEAM SKY / GBR)  +47''
4. PRIMOŽ ROGLIC (TEAM LOTTO NL - JUMBO / SLO) +52''
5. TOM DUMOULIN (TEAM SUNWEB / NED) +52''
6. STEVEN KRUIJSWIJK (TEAM LOTTO NL - JUMBO / NED) +01’ 05’’
7. EGAN ARLEY BERNAL (TEAM SKY / COL) +01' 33''
8. CHRIS FROOME (TEAM SKY / GBR) +01' 35''
9. MIKEL LANDA (MOVISTAR TEAM / ESP) +01' 35''
10. ILNUR ZAKARIN (TEAM KATUSHA ALPECIN / RUS) +02' 01''

■第17ステージまでの総合成績
1. GERAINT THOMAS (TEAM SKY / GBR) 70H 34’ 11’’
2. TOM DUMOULIN (TEAM SUNWEB / NED)  +01’ 59’’
3. CHRIS FROOME (TEAM SKY / GBR) +02’ 31’’
4. PRIMOŽ ROGLIC (TEAM LOTTO NL - JUMBO / SLO) +02’ 47’’
5. NAIRO QUINTANA (MOVISTAR TEAM / COL)  +03’ 30’’
6. STEVEN KRUIJSWIJK (TEAM LOTTO NL - JUMBO / NED) +04’ 19’’
7. MIKEL LANDA (MOVISTAR TEAM / ESP) +04’ 34’’
8. ROMAIN BARDET (AG2R LA MONDIALE / FRA)  +05’ 13’’
9. DANIEL MARTIN (UAE TEAM EMIRATES / IRL) +6’ 33’’
10. JAKOB FUGLSANG (ASTANA PRO TEAM / DEN) +9’ 31’’

[各賞]
■ポイント賞(マイヨ・ベール):PETER SAGAN (BORA - HANSGROHE / SVK)
■山岳賞(マイヨ・アポワ):JULIAN ALAPHILIPPE (QUICK - STEP FLOORS / FRA) 
■新人賞(マイヨ・ブラン):PIERRE ROGER LATOUR (AG2R LA MONDIALE / FRA) 
■チーム成績:MOVISTAR TEAM
■敢闘賞:TANEL KANGERT (ASTANA PRO TEAM / EST)


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第18ステージはスプリンター区間

7月26日はトリ・シュル・バイズからポーまでの171kmで、つかの間の休息となる平坦な第18ステージが行われる。山岳ポイントはカテゴリー4の丘が2カ所で、コース終盤の丘がレース結果を左右するかもしれないが、スプリンターのステージになるだろう。第17ステージのダウンヒルで転倒したサガンの状態が気になるところだ。

翌日はピレネー山岳最終日で、土曜日には31kmの個人タイムトライアルが行われる。



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第17ステージのハイライト映像