暖かな日差しを浴びて、海まで出掛けよう。終点は、はるか遠くまで見通せる小高い丘。芝生のじゅうたんに寝転んで目を閉じると、潮風が頬をなでて通り過ぎていく。前方には青く輝く広い海、振り向くと雑踏のビル群という極端な風景が、近未来都市に迷い込んだ気分にさせてくれる。自然と人工物の境界線を感じさせてくれる、そんな「なにわ自転車道」を走ってみた。
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●前方に新幹線の高架が見える

●赤川仮橋の下を走る淀川自転車道

●城北公園に続く菅原城北大橋
 大阪城から直線距離で北へ5km。JR城東貨物線に並行する赤川仮橋が、なにわ自転車道のスタート地点になる。この橋の下を北大阪サイクルラインが走り、河川敷にある淀川河川公園内には無料の駐車場。クルマで来ても、駐車場に困らないのがいい。

●自転車道起点となる赤川仮橋
 さっそく走りだそうと、橋の前に立ってビックリ。「自転車は降りて渡りましょう!」の看板が行く手をさえぎっているのだ。「対岸まで600mはあるこの橋を? 自転車道なのに?」と様子をうかがっていると案の定、降りている人なんて皆無なのである。ただ、なにせ狭い橋。「できるだけ通行の邪魔にならないように……」と乗ったまま進入すると、床板が木のせいかポコポコポコと音がして、なんだか楽しい。
 橋を渡り切ったら右折し、淀川沿いの広い自転車道へと続く。走ること5・8kmで堤防を越え、神崎川沿いの道に。道幅は狭くなり、小さな花壇が点在する。釣り糸を川面に垂れ、のんびりと時を過ごす人を横目に、大きく蛇行を繰り返す川に沿って延々と続く自転車道を行く。
 低空飛行の旅客機と油のにおいが頭上と鼻先をかするたび、ここが都会の真ん中であることが思い起こされる。

 スタートから14kmで、整備された船着き場に到着。といってもふだんは使われていないらしく、柵で仕切られている。なぜなのかと思って掲示板に目を通すと、どうやら阪神大震災を教訓としてつくられた、緊急時の物資積み下ろし施設であることが分かる。
 川幅はどんどん広くなり、対岸には兵庫県尼崎市が見えてくる。そしてスタートから21km余り、阪神西大阪線の出来島駅が、なにわ自転車道の終点となる。

●一般道とは柵でハッキリ分かれてる
 だがここまで来たならば、そのまま帰宅するのは惜しい。そこで自転車道の掲示板を眺めると、この先が「西島川自転車歩行者道」となるらしく、淀川河口付近まで続いている。
 走りはじめると道幅はさらに狭くなり、工場地帯であるせいか人の気配をまったく感じない。入り江に停泊するのは、茶色に変色したボロボロの運搬船。その向こうに見える最新のビル群とは対照的で、一帯の光景がさらに寂しさを増しているように感じられる。
 淀川河口付近に出ると、ウインドサーフィンを楽しむ若者たちでにぎわいを見せていた。そこを右折し、1・5kmで矢倉緑地に到着する。
 芝生に覆われた小高い丘に上がると、遠くまで見渡せて気持いい。「ここからユニバーサルスタジオ・ジャパンは見えますか?」と海を眺めている人に聞くと、「いや、ここからでは無理ですね。ほらあそこ! ヘリコプターが見えるでしょう。ヘリポートがあるんです。その向こうですからね」と教えてくれた。ここは野鳥の滞留地にもなっていて、園内の野鳥観察所からはカルガモやユリカモメなどが観察できる。
 なにはともあれギスギスした都会の生活に疲れたら、弁当持参で出かけてみるといいだろう。
 潮風のなか、芝生のじゅうたんに寝転んで昼寝が楽しめる場所に、こんなにも身近で出会うことができる。

●緊急時のヘリポート

●橋の下には橋名が書いてある

●歴史を感じさせる赤レンガの橋脚

●三国防災船着き場。緊急時には船で運ばれた物資を荷揚げする

●川幅は広くなり、対岸に兵庫県尼崎市が見える

●道路を左に横断すると、一瞬だけ自転車道が消える

●なにわ自転車道の終点、阪神西大阪線の出来島駅
 
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●計画距離(整備済み距離)
21.6km(21.6km)
●区間
赤川仮橋(自転車道起点)-(0:36)5.8km→神崎川-(0:56)8.4km→三国防災船着場-(0:46)6.9km→出来島駅(自転車道終点)
鉄道の場合:
[往路]阪急電鉄京都本線「淡路駅」(梅田駅から阪急京都線経由 7分、180円)から東南へ直線距離1.4kmで自転車道起点に到着。
[復路]自転車道の終点が、阪神西大阪線「出来島駅」(阪神梅田駅まで阪神西大阪線、阪神本線経由 17分、230円)となる。
クルマの場合:
淀川河川公園内に無料の駐車場(9時~17時※6月1日~8月31日は9時~19時)がある。
●問い合わせ先
大阪市建設局土木部交通安全施設課
TEL.06-6615-6811
●最寄りのサイクリング道路
自転車道の起点となる赤川仮橋の下を、北大阪サイクルラインが走る。