陸中海岸国立公園の北半分を占める隆起海岸には、その特徴となる大規模な断崖と岩礁景観が連続し、訪れる者に自然の雄大さを知らしめている。その海岸にほぼ並行する国道は交通量が少なく、ライディングの楽しさを味わうのにもってこい。ゴール地点の宮古市に店を構える「すがのサイクル」店主の菅野富男さんに、鉄道を利用したイベントも催すというそのコースを紹介してもらおう。
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●安家川河口に近い展望駐車場でひと休み。上に見えるのが三陸鉄道の橋で、下に見えるのが国道45号線の橋

●宮古駅から久慈駅へと向かう三陸鉄道の車内風景。自転車は専用のスタンドにセットする

●国道とはいえクルマの通行量は少ないため、走りを存分に満喫できる
 岩手県久慈市から宮古市までを、片道に鉄道を利用して走るサイクリングを紹介しよう。
 このサイクリングは、三陸鉄道北リアス線の車両に乗り込むところから始まる。団体で貸し切った車両には専用のスタンドが置かれ、そこにバイクを簡単にセットできる。当店で催すイベントの際には列車の中で開会式を行ない、さらに参加者同士で懇親を深めながら1時間30分の列車移動となる。

●安家大橋より再スタート。イベントの折にはサポートカーがつき、荷物を預けて身軽になれる
 スタート地点の久慈駅前でバイクの準備を整えたら、国道281号線をわずかに東進。交差する国道45号線を、16km地点にある道の駅「のだ」(営業時間:9時~18時30分/物産館、定休日:1月1日、3月末日、9月末日/物産館、TEL.0194・78・4171/物産館)を目指して南下する。途中で標高120mほどの野田峠を越えるが、これは序の口にすぎない。その先にはさらに標高の高い峠が控えている。
 陸中野田駅前にある前述の道の駅で最初の休憩をとり、ここから左に太平洋を望みながらゆるい坂を上る。
 安家川の河口近くに掛かる安家大橋を渡り、橋のたもとの駐車場にある展望台に立ち寄ってみよう。ここは雄大な太平洋が左右いっぱいに広がる絶景のポイントだ。
 標高150mほどまで上った道は、普代川に向かっていったん下り、さらに川に絡み合うような格好で上流を目指し、徐々に高度を上げていく。
 普代川に出会って10kmで県道173号線が右に分岐。続いて一ノ渡橋で普代川本流から支流へとパートナーを替え、その1・5km先で支流からも離れた道は、10%の勾配で標高370m余のピークを迎える。なお急勾配に至る手前には「産直プラザ尾肝要」(営業時間:9時~18時、定休日:年中無休、TEL.0194・34・2003)があり、村特産の牛乳やアイスクリーム、飲むヨーグルトが味わえる。
 下った道は田野畑村の中心を経て、10km先にある道の駅「たのはた」(営業時間:7時30分~17時30分、定休日:年中無休、TEL.0194・34・2145)に至る。ここで昼食と長めの休憩を取った後は、ゆるいアップダウンを繰り返しが清水野橋の先まで続き、小本川が形づくった河岸段丘を一気に下る。
 小本大橋を渡った先は再びアップダウンの連続で、田老市街を過ぎてからはトンネルも増える。疲れた体には少々つらい道も、宮古第1トンネルを抜けた先で最後のピークを迎え、後はゴールの宮古大橋を目指すばかりとなる。

●自転車を組むのが大好きな菅野さんは、孫のためにロードレーサーを制作

●先頭を走るのが店主の菅野さん。すぐ後ろは中学生
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菅野富男さん(店主)
70年ころよりサイクリングを始め、84年に自転車&オートバイの販売・修理の店を開業しました。その後ロードレースに参加するようになり、マラソンも始めました。自転車を組むのも大好きで、BMXや電動アシスト自転車にシマノのインター7を組み付けたり、ミニサイクルにサイドカーを付けたりといった改造をしています。
■すがのサイクル
〒027・0039
岩手県宮古市河南1-3-15
TEL:0193・62・0766 FAX:0193・62・0830
URL:www.rnac.ne.jp/~c-sugano/
●営業時間:13時~19時 ●定休日:不定休(イベント開催時&参加時など休み) ●主な取り扱いブランド:シュイン・ルイガノ・ダホン・オルベア・GT・FELT・ミヤタ・ブリヂストン
[アドバイス]
全線にわたって国道となるものの、クルマで混雑するということはない。日曜だと大型車両も少なく、快適な走行が約束されるだろう。国道ゆえ飲食の補給ポイントに事欠かないというメリットすらある。トンネルが長短合わせて10本ほどあるため、ライトは必須だ。なお、本文で紹介した三陸鉄道では、団体向けに車両の貸し切り(利用料金:3万5000円/一般型車両=定員40人~58人、三陸鉄道宮古総合鉄道事務所 TEL:0193・62・8900)を行なっている。写真で紹介した専用スタンドも、同鉄道が用意。興味のある人は、まずは同鉄道あてにご一報を!
鉄道の場合:
JR山田線&三陸鉄道「宮古駅」(東京駅からJR東北新幹線、JR山田線経由 6時間8分、1万5010円)
クルマの場合:
宮古駅近くに市営の宮古駅前駐車場&宮古駅東駐車場(100円/30分、TEL:0193・62・2111)がある。。
[コース周辺の味どころ&見どころの紹介]
●マリンローズパーク野田玉川
九戸郡野田村玉川 TEL:0194・78・2138
開館時間:9時~17時(4月~10月)9時~16時(11月~3月)、休館日:火曜、入館料:1000円/大人
日本有数のマンガン鉱床で知られる野田玉川鉱山を、観光坑道として公開。採掘跡や地質構造、鉱山の資料などが展示されている。
●北山崎
下閉伊郡田野畑村北山崎 TEL:0194・34・2111
200mの切り立った断崖が8kmにわたって連なる陸中海岸を代表する景勝地。島越港からは断崖を下から仰ぎ見る北山崎めぐり観光船(運航時刻:8時40分・10時10分・11時10分・13時20分・14時30分・15時40分の6便、運行期間:4月中旬~11月30日、運賃:1420円TEL:0194・33・2113)が発着する。
●浄土ヶ浜
宮古市鍬ヶ崎第7地割字臼木 TEL:0193・62・2111
鋭くとがった白い石英岩が海面に林立。そこに緑の植物が生い茂り、さながら日本庭園のような景観を醸し出す。入り江を利用した海水浴場は、「日本の水浴場88選」に選定されている。