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トレックの新型グラベルバイク「チェックポイント」が登場

高性能かつ多用途で"遊べる"ロードバイクとして、トレックがニューモデル「チェックポイント」を発表。

欧米では急成長中の「グラベル」カテゴリー。冒険好きなグラベルライダーに向けたバイクだ。

チェックポイントは、トレックのクロケットやブーンなど、シクロクロスバイクの改良版ではなく、一から設計がなされた。新たなジオメトリーを開発し、舗装路やダート、さらにグラベル、すなわち過酷な悪路での長距離ライドに耐えられる高品質パーツが組み合わされる。

 
text:鏑木 裕 photo:山内潤也

トレックが出した、グラベルロードに対する最終回答

トレック・チェックポイントSL5 完成車価格:29万7000円(税抜)
トレック・チェックポイントSL5 完成車価格:29万7000円(税抜)

グラベルバイク。ロードバイクを基本としながら、グラベル(未舗装路)も走れるようにしたバイクをカテゴライズしたものだが、数年前から北米を中心にジワリと人気を集めている。

ここにある"チェックポイント"は、北米最大のスポーツ自転車ブランドであるトレックが出した、グラベルロードに対する最終回答とも言えるモデルである。

同社ではこれまでも、シクロクロス(CX)の"ブーン"や、それをツーリング用途にアレンジした"クロケット"などを手掛けてきた。さらに広げて解釈するなら、最新のドマーネでさえ、太めのタイヤに対応することで、グラベル的な使い方にも対応できる。

しかしチェックポイントは、派生車種として"グラベル対応"のロードではなく、グラベルバイクとしてゼロベースで設計されている。

安定性を求めるために設定された低めのBB位置。45C幅のタイヤも余裕で入るフレーム/フォークのクリアランス。ロード用クランクセットが組み合わせられる狭いQファクター。各種キャリアやバッグ類/マッドガードをスマートに装着するための台座やダボ穴類。3~4個ものボトルケージも取り付け可能な積載能力。路面を選ばないツーリングバイクを、最新の理論/最適な素材/専用ジオメトリー/最善のパーツアッセンブルで作り上げたのである。

熟成が進むグラベルバイクというカテゴリーにおいて、トレックでは『既存のバイクに手を加えるだけでは、ライダーたちの期待を越えられないことは分かっていました。このチェックポイントとともにこの市場に参入することで、幅広い用途と高い性能、そして本物の楽しさを備えた豊富なラインナップで、あらゆるライダーを満足させます』と表明している。

 
ホイールベース長を可変できるスライド式のリヤエンド。長めにすれば安定性が増し、短くすれば機敏性が増す。シングルスピード可も容易だ
ホイールベース長を可変できるスライド式のリヤエンド。長めにすれば安定性が増し、短くすれば機敏性が増す。シングルスピード可も容易だ
ドマーネやマドンなどの先行モデルで高い評価を得ているISOスピード仕様のシートチューブ。トップチューブと分離することでシートチューブの振動吸収性が向上し、今までにない極上の乗り心地をもたらしている
ドマーネやマドンなどの先行モデルで高い評価を得ているISOスピード仕様のシートチューブ。トップチューブと分離することでシートチューブの振動吸収性が向上し、今までにない極上の乗り心地をもたらしている
フレームや前後のエンド部には、多数のボトルケージ、各種キャリアやバッグ類、泥よけなどもスマートに装着するためのダボが設けられている。Di2などの電動変速部品の組み合わせも踏まえて、ケーブル類も美しく
フレームや前後のエンド部には、多数のボトルケージ、各種キャリアやバッグ類、泥よけなどもスマートに装着するためのダボが設けられている。Di2などの電動変速部品の組み合わせも踏まえて、ケーブル類も美しく
チェーンステーを極端かつ大胆に左右非対称化するなど、設計を工夫することで各部のクリアランスは大きく取られる。これにより、45Cタイヤとロード用クランクの両立が可能となっているのだ
チェーンステーを極端かつ大胆に左右非対称化するなど、設計を工夫することで各部のクリアランスは大きく取られる。これにより、45Cタイヤとロード用クランクの両立が可能となっているのだ

ライター鏑木が国内初試乗


グラベルバイクを乱暴に説明するなら、シクロクロスからレーシーな味付けを排除したものである。BB位置を下げて安定性を高め、神経質な路面や 荷物積載時にも、ライダーに心的負担を軽減させている。

今回乗ったチェックポイントSL5は、ドマーネを筆頭とする先行モデルで培ってきたISOスピードがもたらす極上の乗り心地と、35Cタイヤがもたらす安定した走りが実現されている。

BB位置を下げることで起こりうるネガティブポイントは、ペダルが地面と擦りやすいということだが、それは段差を無理に越えたり、コーナリング中にもペダリングをする、といったことができなくなるということである。しかしそれは一般的に言うなら『非常識な使い方』にほかならないのだ。

今回は45Cタイヤにも交換して乗ってみたのだが、その浮遊感覚はロードバイクはもちろん、従来のCXバイクでも味わえない世界である。タイヤのエア圧を2barまで落とせば、土や小砂利、荒れたアスファルトの路面をことごとくフラットなフィールドにしてしまい、不安を一切抱くことなくコーナーの切り返しをこなせてしまう。

シクロクロスバイクのような神経質さは皆無で、ロードバイクのようにフィールドを限定することなく、レースバイクのようにストイックな姿勢を強要せず、アドベンチャーバイクのように重鈍にならない。

路面を選ばない優れたツーリングバイク……と書いてしまえばそれまでだが、この完成度とバランスの良さは、さすがスポーツバイクの雄であるトレックと言える1台であった。

 




チェックポイントSL5 spec.

フレーム:カーボン

フォーク:カーボン

メインコンポ:シマノ・105

ホイール:ボントレガー・チューブレスレディ

タイヤ:シュワルベ・G-ワンオールラウンド 700×35C

ハンドル:ボントレガー・レースライトアイソゾーン

ステム:ボントレガー・エリート

シートポスト:ボントレガー・シートマストキャップ

サドル:ボントレガー・モントローズコンプ

サイズ:49、52、54、56

カラー:グラベル

完成車実測重量:9.58kg(54サイズ、ペダルなし)


完成車価格:29万7000円(税抜)


 

「チェックポイント」ラインナップALR4&5

チェックポイント ALR4
チェックポイント ALR4
フレーム:アルミフレーム(45cまでのタイヤクリアランス)
フォーク:カーボン
コンポーネント:シマノ・ティアグラ
ホイール:ボントレガー・TLR ホイール
タイヤ:シュワルベ・G-ワン 35c グラベルタイヤ

完成車価格:18万5000円(税抜)

サイズ:49、52、54、56、58

カラー:マットトレックブラック



 
チェックポイント ALR5
チェックポイント ALR5
フレーム:アルミフレーム(45cまでのタイヤクリアランス)
フォーク:カーボン
コンポーネント:シマノ・105
ホイール:ボントレガー・TLR ホイール
タイヤ:シュワルベ・G-ワン 35c グラベルタイヤ

完成車価格:21万3000円(税抜)

サイズ:49、52、54、56

カラー:ソリッドチャコール


 

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