トピックス

グエルチョッティ最軽量モデル「E740」アサノ試乗します!その18

グエルチョッティの2018年モデルで新たにラインナップに加わったE740は、モデル名が示すとおり、フレーム重量わずか740g。

同ブランド史上最軽量を誇る超軽量オールラウンドロードだ。その実力やいかに?

 
text:浅野真則 photo:長谷川拓司

軽さと剛性を高次元で両立、EPS成型によるワンピースモノコックフレーム

「グエルチョッティ・E740」フレームセット価格/32万円(税抜)

グエルチョッティの最新モデルE740は、グエルチョッティ史上最軽量の740gというフレーム重量を誇る。このフレーム重量こそモデル名の由来でもある。軽さの秘密は、フレームの素材と成型方法にある。

フレーム素材は、ハイモジュラスカーボンをメインとしながら、必要に応じて弾性率の異なる複数の素材を組み合わせ、場所によって積層の仕方を変えている。これにより、軽さと剛性、強度を高い次元で実現する理想的なカーボンレイアップを実現した。

さらに、この素材を金型で成型する際に、発泡スチロールで内圧をかけることで芯材を残りにくくするEPS成型を採用。ワンピースモノコック成型することで、接合部やラグを廃している。その結果、素材の持ち味を生かしつつ、重量増も防いで軽量なフレームを作ることに成功している。

フレーム各部の造形にも軽量化への飽くなき追求が感じられる。上下異径のテーパードヘッドは、下ワンを1-1/4インチとやや細めにし、BB規格もPF86とすることでBBシェル幅を抑えるなど、剛性と軽さのバランスを追求していることがうかがえる。

グエルチョッティはこれまで40年以上にわたって、欧州を中心にシクロクロスチームやロードチームへのサポートを続けており、レースとの関わりが非常に強いブランドだ。2017シーズンもポーランドのプロコンチネンタルチームCCC・スプランディ・ポルコヴィツェへの機材供給を行った。グエルチョッティの歴代モデル同様、E740ももちろん、レースでの勝利を目指すことを宿命づけられたバイクと言える。

 
フロントフォークはストレートブレードだが、先端部がやや細身になっているのが特徴。路面からの突き上げに対して適度にしならせることで、衝撃吸収性の向上を図っている
シフトケーブルはダウンチューブ上面からフレームに内蔵する。ケーブルの外側への張り出しを最小限にとどめつつ、取り回しはスムーズでステアリングに悪影響を及ぼしにくい
ダウンチューブは、チューブを薄くしつつ角断面とすることで、軽さと剛性を高い次元で両立。カーボン地を生かしつつペイントは最小限とし、塗料による重量増さえ削減している
BB規格はPF86。ダウンチューブとチェーンステーは、BBとの接合部を最大限にワイド化し、BBまわりの剛性を高め、ペダリングに対するレスポンスを向上させている
フレームはリアエンド部までカーボンで一体成型されており、軽量化に貢献。同時にリアディレイラーのケーブルルーティングの最適化や取り回しやすさも実現している

派手さはないが、真面目に作られた隠れた名車


第一印象は地味で目立たないのに、ふとしたときに本当の実力の片鱗を見せる――。グエルチョッティの最新モデル・E740を人間に例えるならそんなタイプに違いない。

アメリカンブランドの最新モデルのようなド派手なギミックもなく、最近よく見かけるアバンギャルドさを前面に押し出したアクの強いデザインでもなく、見た目もカタログスペックもどこか地味だ。ブランド史上最軽量のフレーム単体重量740gという軽量モデルだが、もはやあっと驚くような数値ではないし、重量だけを見れば他にもっと軽いモデルだってある。

とはいえ、上下異径ヘッド、細身のシートステーとシートポスト、ボリューム感のあるBBエリアなど、昨今のロードバイクのトレンドはしっかり押さえられている。実直に性能を追求したバイクという印象だ。見た目やカタログスペックだけで乗り味が分かるはずなどないので、実車を見てみたのだが、やはりそれほど印象は変わらなかった。

おっ、と思ったのは、実際にバイクに触れた瞬間だった。試乗車はメインコンポーネントに最新のデュラエース、その他のパーツもいわゆるメジャーブランドのハイエンドパーツをアッセンブルしているとはいえ、想像していたよりはるかに重量が軽い。クリートをはめてペダルに力を込めると、重量の軽さがもたらす軽快な加速が実に心地いい。上りが得意なのはもちろんだが、平坦でも加減速を繰り返すコースだと持ち味が生きそうだ。

BBまわりの剛性は高めだが、BB規格はPF86と特別シェル幅が広くないので、ちょっと頑張って走っただけで脚に来るほどガチガチではない絶妙の剛性感。ダンシングでしっかりトルクをかけてもペダリングパワーをしっかり後輪に伝えてくれるし、高回転型のペダリングでも気持ちよく走れた。体重が軽めの人も、筋肉量の多いパワー系のライダーもどちらも受け入れる懐の広さを感じる。

ヘッドまわりやフロントフォークの剛性も必要十分で、意のままに操れる確かなハンドリング性能とブレーキング時の安心感を両立している。ハンドリングは、レーシングバイクらしいクイックさはあるが基本的にはニュートラルだ。軽量バイクにありがちな腰高感はそれほど感じず、タイトコーナーでも切れ味の鋭いハンドリングが楽しめるなど、実に乗りやすいバイクだ。

グラフィックやカタログスペックの能書きからはあまり自己主張を感じないが、乗ってみて改めてその良さに気付く隠れた名車だ。個人的にはこういうバイクがもっと評価されるべきだと思う。レース志向の強いサイクリスト、特にヒルクライムを楽しみたいという人にはおあつらえ向きの1台だ。

 

spec.

フレーム/カーボン 
フォーク/カーボン 
コンポーネント/シマノ・デュラエースR9100 
ホイール/シマノ・デュラエースC24
タイヤ/コンチネンタル・フランプリ4000S 
ハンドル/デダ・ゼロ100 
ステム/デダ・ゼロ100
サドル/セラSMP・フォルマ
サイズ/XXS,XS,S,M
試乗車重量/6.65kg(サイズS)



■浅野真則
実業団エリートクラスで走る自転車ライター。ロードレース、エンデューロ、ヒルクライムなど幅広くレースを楽しみ、海外のグランフォンドにも参加経験がある。愛車はスコット・アディクトとキャノンデール・キャード10。ハンドル位置が低めのレーシングバイクが好き。
 

問い合わせ先