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自転車ヘルメットのパイオニア「ベル」の考えるヘルメットの最新規格

スポーツバイク用ヘルメットメーカーのパイオニアであるアメリカンブランド「ベル」。都内で開催された新製品発表会から、ベルが考える最良最新のスポーツバイク用ヘルメット事情を見る。累計販売個数、約10億個の実力やいかに。
 
text:中島丈博 photo:茂田羽生
presented by Intertec

トップレンジ以外が全てモデルチェンジしたロード用ラインナップ

ベルのロードラインナップ。左からフラッグシップモデルのゼファー、今回モデルチェンジしたフォーミュラ、ファルコン、ストラータス

ヘルメットメーカーをいくつか挙げてみて、といわれた間違いなくその名が上がる「ベル」。その創業は1954年と古く、創業者ロイ・リチャーがバイクレースに参加する仲間達が事故で命を落とすのを何とか防ぎたいとヘルメットを開発したのが始まり。

世界で初めて自転車用ヘルメットを開発したのも同社。同じくヘルメットメーカーの「ジロ」は兄弟ブランドだ。同じ敷地内にオフィスが建っているが、開発プロセスはそれぞれ独自のもの。本当の兄弟のように、時に協力し、時にライバルでもあると。

もちろんレースへのサポートも積極的で、近年ではC・エヴァンスのツール・ド・フランス総合優勝時や、F・カンチェッラーラの世界選手権タイムトライアル優勝などをサポートした。
 
「ドーム」での開発実験の様子
今回の発表会で発表されたのは、ロード用モデル、オフロード用モデルがそれぞれ3つ。ロード用は、昨年発表されたフラッグシップモデルの「ゼファー」を、ダウングレードしたモデルたちだ。

自転車用ヘルメットにとって重要なのは、快適なかぶり心地と、高い安全性だ。

かぶり心地に影響する要素はいくつかあって、フィット感、通気性クーリング性能、重量だ。

ベルは自社内に「ドーム」と呼ばれる開発施設を持っている。そこでは、衝撃試験や風洞実験、サーモセンサーを使ったヘルメット内部の温度チェックを行うことができるのはもちろん。グラフィックやヘルメットの形状などをデザインする部署も含まれている。

ヘルメット開発に必要な機能が集約されているので、短時間で高品質な製品が設計できるのだ。耐衝撃テストでは、他社の販売個数に匹敵するほどの数のヘルメットを実験で使用し、技術の向上に努めているという。

 
フロントエリアには、ヘルメット前方へとパッドが延長されている。これは「スエットガイド」というベルが特許を取得している設計。ライド中にかいた汗が、このパッドをつたって前方に排出される
ファルコンの後部にはリフレクターが配置される。ゼファーには全面リフレクター塗装になっているモデルもある

君はミップスを知っているか?

ヘルメット内側にある黒いプラスチックの層がミップス
後部のクロージャーはミップスの一部になっているので、締めていくと頭部全体均一にフィットしていく

そして、ベルのヘルメットを語る上で外せないのが「MIPS(ミップス)=MULTI-DIRECTIONAL IMPACT PROTECTION SYSTEM」。頭部へのダメージを軽減するための機構で、転倒時にヘルメットが衝撃によって回転方向に動く、この動きが頭部に伝わることで脳にダメージが発生する。これを、ヘルメットの内側にフィルム状の構造を1層加えることで軽減できるというのがミップスのメリットだ。

ミップス自体はベル独自の技術ではなく、スウェーデン王立工科大学とカロリンスカ病院の学者達による19年の学術研究によって生みだされた構造。これを、ベルを含む数社がいち早く自転車用ヘルメットに採用した。

今回発表されたモデルには、第2世代とも言えるインテグレーテッドタイプのミップスが用いられている。前作ミップスはヘルメットの帽体の内側にフィルム状のパーツがあり、さらにその内側にパッドやフィッティング調整に必要なバックルがあるという構造だったが、最新モデルはミップスとバックルが一体化され、パッドも直接ミップス構造部分に取り付けるようになった。これにより、軽量化が達成されたとともに、着用時のフィット感も向上した。ベルは、このインテグレーテッドミップスを、他社に先んじて導入した。

筆者の頭は、正直ベルのヘルメットとは相性が良くないという認識だった。だが実際に最新モデルをかぶってみると、これまでのモデルから明らかにフィット感が向上していた。古い記憶で食わず嫌いは良くないと反省。

軽量化されたとはいえ、ミップスはそれがない製品と比較すると、重量面でハンデがある。だが、「なんのためにヘルメットをかぶるのか、今一度考えて欲しい。友人にヘルメットを進める時に、何を重視して進めるだろうか。安全というのが最も大切な性能であることをベルは重視しているし、知っている。そのために必要な設計を取り入れた。それがミップスはもちろん、その他の機能なのだ」。と語る。他社では上位グレードにしか搭載されていないミップスだが、ベルの最新ロードモデルはフルレンジでインテグレーテッドミップスが搭載されている。
 

新しくなった3モデル

写真左からフォーミュラ、ファルコン、ストラータス

■ストラータスミップス
価格/2万2000円(税抜)
サイズ/M(55~59cm)、L(58~62cm)
実測重量/293g(Mサイズ)

 
ベルロード用ラインナップのセカンドグレード。ボディー内部にはポリカーボネートのロールケージが入っており強度を上げている。
 


■ファルコンミップス
価格/1万6000円(税抜)
サイズ/S(52~56cm)、M(55~59cm)、L(58~62cm)、XL(61~65cm)
実測重量/292g(Mサイズ)

 
ナイロン製のロールケージを内蔵したモデル。サイズ展開が一番豊富で、XLサイズまであるのはこのモデルだけ
 


■フォーミュラミップス
価格/1万3000円(税抜)
サイズ/M(55~59cm)、L(58~62cm)
実測重量/273g(Mサイズ)

 
ファルコンの形状を踏襲したモデル。エントリーグレードながら、しっかりインテグレーテッドミップスを搭載している。

 

スーパーDHミップス 最新DHモデル

チンバーが分割できる。シーンによってアレンジしやすい
外側(白い部分)と内側(黒い部分)が独立して動くミップスを採用。スエットガイドも装備
スーパーDHはダウンヒル用ヘルメットの最新モデル。写真のようにチンバーを外すことができるので、トレイルを上っている時は外して涼しく。下る時はとりつけてしっかりガードというふうに使用シーンに適合している。もちろんミップスを搭載しているが、ロード用とは異なるタイプのもの。シェル部分は密度の異なるEPP(発泡ポリプロピレン)で構成されており、外側が高密度、内側が低密度だ。これが関節のようにさまざまな方向に動くので、衝撃を吸収してくれる。よりハードなライド環境であるDH用ならではだ。



■スーパーDHミップス
価格/3万9000円(税抜)
サイズ/M(55~59cm)、L(58~62cm)
実測重量/887g(Mサイズ)



 

60日間無償返品交換対応

ベルは最高のフィッティング、パフォーマンスをライダーに提供したいとの考えから、購入後もしもフィッティングやサイズに不満があった場合、60日以内なら返品交換に対応してくれる。
今回プレゼンテーションを行ったプロダクトマネージャーのショーン・コーフィー氏。手に持っているのはインテグレーテッドミップスのサンプル
1980年代の五輪でトラック競技のアメリカチームが使用したTTヘルメット。当時としては革新的だったカーボンボディーにバイザー。今のTTヘルメットの基礎となった機能を持っている
チームサクソバンクサポート時代のTTヘルメット。F・カンチェッラーラがかぶっていたのを記憶している人も多いだろう
アルカンシェルカラーをまとうこのモデルは2011年のツール・ド・フランスで総合優勝したC・エヴァンスのもの

問い合わせ先

インターテック
http://www.bellhelmets.jp/