ラピエール・アウダシオ500CP  気になるブランドを一気乗り!「アサノ試乗します!」その9

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浅野アウダシオ500CP

1946年に創立されたフランスの総合自転車ブランド「ラピエール」。フランスのUCIワールドツアーチーム・FDJとのパートナーシップによってプロレースシーンでも存在感を放ち、2017モデルでは総合ブランドらしくレース向けのハイエンドモデルからお値打ちなエントリー向けロードまで、幅広くラインナップする。今回はアルミフレームのベーシックモデル「アウダシオ500CP」をインプレッションする。

 

オーソドックスなアルミフレームに定番コンポを搭載したベーシックモデル

浅野アウダシオ500CP

シマノ・105完成車価格/19万9000円(税抜)

アウダシオは、軽量で耐久性に優れたアルミフレームのベーシックモデル。ジオメトリーやフレーム形状は、カーボンフレームのベーシックモデル・センシウムから継承。特にカーブしたトップチューブからシートステーにかけての造形にその面影を見ることができ、路面からの衝撃を効果的にいなしつつ、ダイレクトな加速性も両立している。

マルチバテッド加工を施した軽量アルミチューブ・シュプリーム5を使ったフレームと新たに設計されたカーボンフォークを組み合わせ、旧モデル比で500gという大幅な軽量化を果たしている。

アウダシオシリーズは、メインコンポーネントの異なる4モデルと女性向けフレーム2モデルをラインナップし、いずれも完成車のみの販売となる。今回インプレするシリーズ最上位モデルの500CPは、メインコンポーネントにレーシングコンポとしても定評のあるシマノ・105を搭載し、18万5000円(税別)という価格を実現。25Cタイヤやバーテープなど、アッセンブルされるパーツも耐久性や疲労を和らげる観点から定番とも言えるパーツがアッセンブルされている。

このほか、10スピードコンポーネントのシマノ・ティアグラ仕様の300CP、9スピードコンポーネントのシマノ・ソラ仕様の200CP FDJ、8スピードコンポーネントのシマノ・クラリス仕様の100CPと幅広いラインナップを展開。予算に応じて選べるのはうれしい。

浅野アウダシオ500CP

カーボンブレードにアルミ製コラムを組み合わせたフロントフォーク。旧モデルに比べて大幅な軽量化が図られているが、制動時やコーナーでも安定したコントロール性能を発揮

浅野アウダシオ500CP

縦方向につぶしが入ったトップチューブ。横から見るとアーチを描いており、路面からの衝撃を効果的にいなす。ヘッドチューブ側はの接合面はボリュームを持たせて剛性を確保

浅野アウダシオ500CP

BBはごく一般的なスレッド式。プレスフィットBBでよく起こりがちな音鳴りが発生しにくいだけでなく、BBの選択肢も多いなど、最近人気が復活しているタイプだ

浅野アウダシオ500CP

上位モデルの形状を受け継ぐ角断面のダウンチューブ。リヤブレーキ・変速ケーブルともオーソドックスな外装方式を採用し、メンテナンスや調整も容易に行えるのは魅力だ

浅野アウダシオ500CP

緩やかにカーブした細身のシートステーが路面の衝撃を和らげ、アルミフレームとしては快適な乗り心地を実現。一方、チェーンステーはマッシブで、優れたレスポンスを確保

 

パーツアッセンブルにまで気を配り、上質な乗り味を実現

浅野アウダシオ500CP

カーボンフレーム全盛の昨今、アルミフレームは長らく“カーボンフレームの下位グレード”というような位置づけをされていた。しかし、このところアルミフレーム復権の兆しも見られる。アメリカンブランドを中心に、ミドルグレードのカーボンフレームさえ凌駕するような高いポテンシャルを秘めたアルミフレームが登場してきたからだ。

ラピエールのアウダシオも、数年前にリニューアルされた。フレームはカーボンフレームのベーシックモデル・センシウムのデザインを継承。緩やかにカーブを描くトップチューブ、細身で縦方向に薄い扁平したシートステーなど、快適性を向上させるデザインが施され、見た目は最新のロードバイクのフレームデザインのトレンドを踏まえている。グラフィックデザインの質感も、シリーズ最上位モデルで20万円を切るバイクのそれとは思えない上質感がある。

今回はメインコンポーネントにシマノ・105を搭載したシリーズ最上位モデルに試乗したが、乗り味の第一印象はアルミフレームど真ん中という感じで実にオーソドックスだった。BBまわりがガッチリしていて、踏めば即座に応答してくれるのだ。

ピュアレーサーとまでは行かないにしても、十分レーシーだし上りでも軽快に走れる。フレームとフォークで旧モデル比で500g軽量化されたとはいえ、アッセンブルされるホイールは前後ペアで2kgほどあるエントリーモデルだし、完成車重量は実測9kg台で特別軽いとは言えない。なのに重量感をあまり感じさせないのは驚きだった。フレームジオメトリーによるものか、やや安定志向の勝った操作性ではあるが、コーナーでもたつく感じは皆無。むしろクセがなくて乗りやすいと感じた。

乗り心地に関しては、アルミフレーム特有の路面からの突き上げがいくらかマイルドに感じられたことに驚いた。これはセンシウムのフレームデザインを継承して快適性を高めただけでなく、25Cタイヤを装備するなどアッセンブルするパーツにまで気を配った結果だと思われる。カーボンシートポストやカーボンハンドルバーに変えれば、さらに路面からの衝撃を和らげ、快適性を高めることも可能だろう。

BBはスレッド式で音鳴りとは無縁だし、アルミフレームだから輪行や毎日のライドで多少ラフに扱ってもへこたれないタフさがある。用途もレースから輪行ツーリング、通勤ライドまで幅広いシーンにマッチしそうで、扱いに神経質にならず、気安く乗れるのは魅力だと思う。初めてのロードバイクとしてもおすすめできるし、カーボンフレームのロードバイクに乗っている人のサブバイクとしてもおすすめしたい。

■浅野真則

実業団エリートクラスで走る自転車ライター。ロードレース、エンデューロ、ヒルクライムなど幅広くレースを楽しみ、海外のグランフォンドにも参加経験がある。愛車はスコット・アディクトとキャノンデール・キャード10。ハンドル位置が低めのレーシングバイクが好き。

 

spec.

シマノ・105完成車価格/19万9000円(税抜)

●フレーム/アルミ
●フォーク/カーボン
●コンポーネント/シマノ・105
●ホイール/シマノ・RS010
●タイヤ/コンチネンタル・ウルトラスポーツ 700×25C
●ハンドル/ラピエール・HB-CR12
●ステム/ラピエール・LP
●サドル/セライタリア・X1
●サイズ/46、49、52、55
●試乗車重量/9.4kg(サイズ49)