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オルベア新型「オルカOMR」、「アヴァンOMP」 そしてディスクブレーキロードについて

スペイン・バスク地方のバイクブランド「オルベア」。2017年モデルラインナップでは「オルベアOMR」、「アヴァンOMP」がモデルチェンジを果たした。海外試乗会はすでに行われたが、日本での展示会のために本社開発担当者ヨセバ・アリザガ氏、アジアセールスマネージャーのルーベン・ガビロンド氏が来日。気になるディスクブレーキの今後についても聞いた。
 
text:中島丈博、photo:佐藤正己、吉本 司

オルカOMR ディスクブレーキモデルも用意。前後12mmスルーアクスルを採用

奥がリムブレーキモデル、手前がディスクブレーキモデル
奥がリムブレーキモデル、手前がディスクブレーキモデル
開発担当者ヨセバ・アリザガ氏(写真左)。4km団体追い抜きスペインチャンピオンになったこともある元選手
開発担当者ヨセバ・アリザガ氏(写真左)。4km団体追い抜きスペインチャンピオンになったこともある元選手
詳細を説明する前に、オルベアのロードラインナップについて簡単におさらい。レーサーである「オルカ」、エンデュランスの「アヴァン」という2つのシリーズがあり、その後ろにグレードを表す「OMR(オルベアモノコックレーシング)」、「OMP(オルベアモノコックパフォーマンス)」、「OME(オルベアモノコックエントリー)」というアルファベットがつく。このアルファベットはグレードとともに、それに合ったジオメトリを持っている。オルカにはOMRとOMP、OMEが。アヴァンにはOMPとOMEがランナップされている。今回紹介するのはフルモデルチェンジをはたした「オルカOMR」と「アヴァンOMP」だ。


まずはオルカOMRから。初代オルカは流麗なフォルムを持ったフレームだったが、徐々にエッジの効いたマッシブなフレームへと進化していった。そして前作から少しボリュームをダウンし、新型オルカでは、前作の形状を踏襲し熟成されたフォルムをまとっての登場となった。コフィディスチームと18カ月に及ぶ開発テストを行ったという。

特徴的なのはフォークのブレードが5mm短くなっていること。これによってフォークがコンパクトになり構造として剛性が上がった。また、ヘッドチューブほか、フロント周りの剛性が向上したことで、加速時の反応が早くなり、機敏なハンドリングも手に入れた。ジオメトリも、スタック&リーチをレーシーに仕上げることができ、プロサイズの低くて遠いポジションを実現可能となっている。素材は東レのHMカーボンを使用し、全てEPSテクノロジーを使って成型される。シートステー、トップチューブは路面からの振動吸収性能においてリンクするような構造になっており、ライダーへの負担を減らす効果がある。また、ジオメトリを新たにし、各サイズでトレール値が最適になるようになっている。

軽量化についてアリザガ氏は「軽いバイクを作りますが、最も軽いバイクは作りません。バランスが大切です。ロードバイクの開発において大切にしているのは「ワット/kg」です。同じ出力でもより速く走れることが大切。そのために空力特性、剛性、軽さ、いいレスポンスをもつバイク作りを目指しています。新型オルベアで目指したのは「剛性94Nm、800gフレーム」という数値でした。剛性というのはトーション(ねじり)剛性。そのために開発段階のテストの1項目として、ヘッドチューブに1mの棒を横方向に取り付けてその先に10kgの重りをぶら下げ、フレーム(ダウンチューブ、ヘッドチューブ、トップチューブ、フォークが成す部分)がどうねじれるかを計測しています。オルカ歴代モデルで言えば2013年モデルは70Nm、2015年モデルは80Nm、最新モデルは94Nmです。

前作オルカよりも、フレームとフォークで92g軽量化されています。反応性が大切な加速のシーンにおいても軽さは価値があります。上りでもスプリントでも。ただ、250w出したとしても剛性がないバイクは進みません。軽さのために剛性を犠牲にしては、走るバイクにはなりません。非常に剛性が高いバイクは重量がかさみ、快適性も犠牲になります。ただ、選手の要望によって剛性が高いバイクも作ることができます。その証拠にブアニのために作ったスペシャルモデルは、製品版よりも重量はありますが、その分スプリンターの彼のために剛性を重視したレイアップにしました」と語る。
 

TTバイク「オルドゥ」の技術が息づく

空気抵抗の低減ももちろん行われている。そのルーツとなっているのは同社のTTバイク「オルドゥ」だ。オルベア本社があるバスク州の、モンドラゴン大学との共同研究によって開発されたオルドゥ。そのフロントフォークに採用された「フリーフローエアロコンセプロフォーク」で得た知識を新型オルカにも応用。フォークブレードとホイールとのクリアランスを大きく取ることで、スムーズに空気が流れネガティブフォースを減らします。時速40kmで走行している場合、10km以上で4秒短縮する効果がある。

フロントセンターも短くなり、よりよい反応、加速性能を持つ。ジオメトリについても各サイズで同じ走行性能になるように、サイズごとにトレイル値を細かく見直してある。チェーンステーは405mmから408mmに伸び、リムブレーキキャリパーの許容値で一番太い28Cのタイヤも装着できるようになった。これにより選手は、パリ〜ルーベのようなレースでもオルカを選択することができる。BBハイトは低く抑えられ、バイクがより安定するようになっている。オルカは2種類のグレード「OMR」と「OMP」が用意されており、どちらもスタック、リーチはプロライダーの要望も満たせるよりアグレッシブなポジションを実現している。

ケーブル類はフレームに内蔵。入り口もメンテナンス性が高いように大口径化。チェーンキャッチャーもすでにフレームに装備してある。またパワーメーター用のマグネットも内蔵という至れり尽くせりの仕様だ。OMRについてはディスクブレーキ搭載モデルもある。フラットマウントタイプのディスクブレーキキャリパー、ホイールの固定には前後12mmスルーアクスルを採用している。

ロードバイクへのディスクブレーキ搭載は高いストッピングパワーは少ない力で発揮することができ、コントロール性能、少ない制動距離、安全性を考えるとこれから需要が増えてくるとオルベアは考えている。
 


ディスクブレーキ専用モデルになったアヴァンOMP

アヴァンOMP
アヴァンOMP
エンデュランス向けのアヴァンOMPは、長い距離をより楽しんで走ることができることを目指し設計された。ゆえに快適である事、スムーズである事に重きを置いて開発された。形状や、カーボン素材、レイアップを見直した結果前作よりも200gの軽量化を果たした。ヘッドチューブ、BB周辺はEPSテクノロジーにより成型。

快適性を担うのはシートステー、トップチューブ、フォーク。他社ではエラストマーを入れたり、機械的に振動を減衰しようとするところもあるが、オルベアはちがう。フォークブレードの長さを10mm長くし、振動を減衰する範囲を長く取ることでより高い振動吸収性能を持たせた。ヘッドチューブ長はその分10mm短くなっている。

フレームは、オルカOMRよりも大きなスローピングを持った設計になっている。これにより、シートポストの出しろが長くなり、そのしなりでライダーに伝わる振動を減らす。もちろん、パリ〜ルーベやロンド・バン・フラーンデレンのようなレースでも活躍できるだけのフレーム剛性が与えられており、オルカでも話題にしたヘッド回りの剛性は、オルカと同等とまではいかないが、それでも90Nmという数値だ。

ジオメトリはハイスタック、ショートリーチで、アップライトなポジションが実現できる。ホイールベースも長く、チェーンステーも415mmと長め。タイヤは32Cまで使用できるクリアランスがある。ディスクブレーキ仕様だからこそ対応できる太さだ。

ブレーキ台座はアルミ製。カーボンで製作することもできるが、工程が複雑になり、整備でも気遣いが必要になる。精度を出しやすいという意味でもアルミを採用するのがベターな選択肢だ。同社が何年もMTBで培った経験からそう判断した。ディスクブレーキモデルのみの展開。その理由を「レースカテゴリーではUCIの認可がまだ下りないなど、問題がありますが、エンデュランスにおいてはディスクブレーキがベストな選択肢であると考えるから」とアリザガ氏。カーボンフレームのほか、「アヴァンハイドロ」というアルミフレームモデルもそろう。

オルベアではオルカ、アヴァンのラインナップにおいて、冒頭に説明した3つのジオメトリを用意し、それぞれのモデルで7サイズを展開している。プロ選手はもちろん、一般のライダーまで多くの体型、要望にフィットするモデルが見つけられるようにと考えられたものだ。
 

 

「MyO(マイオー)」システムと、上位保証制度「プレミアムワランティー」がスタート

オーダーシステム「MyO(マイオー=メイドユアオーダー)」がスタート。このサービスはカラーオーダーはもちろん、搭載するコンポーネントも自ら選択することができる。フレーム4カ所の色を選ぶことが可能で、その色に合わせたコンポーネントを選びたいといった要望も実現できるのだ。加えて、プロ選手のようにフレームに自分の名前を入れることも可能(バイクをプレゼントするなら、恋人や母親の名前でもお望みのままに! byガビロンド氏)。価格の一例をあげるとオルカOMRフレームセットの場合は2万円のアップチャージで対応。日本語に対応した専用webページからオーダーをシミュレーションすることができ、自宅でじっくり考えた完成車ができたら、それを保存してショップでオーダーすることになる。

またフレーム保証システム「オルベアプレミアムワランティー」も新たにスタート。オルベアのバイクを購入すると基本的なメーカー保証である「ライフタイムワランティー」が付く。これのさらに上位保証制度が「プレミアムワランティー」だ。ライフタイムワランティーでは保証されないレース中の破損にも対応する。詳細はこちらで→オルベア プレミアムワランティで安心のサイクルライフを!フレームセットの保証制度スタート

 

ディスクブレーキロードについて、気になることを聞いてみた

アヴァンのリヤブレーキ
アヴァンのリヤブレーキ
Q1 日本のユーザーにはディスクブレーキの必要性に懐疑的な意見を持つ人もいます

2017年から再びディスクブレーキの試用がスタートします。レースでももちろんアドバンテージがあると考えています。UCIの規定で最低重量が決められている以上、重量のハンデはあまり重要ではありません。新型デュラエースでリムブレーキモデルと、ディスクブレーキモデルの重量差は約300g。大切なのは、いかにストレスなくフィニッシュ地点にたどり着くかということです。上り下りのある200㎞の距離を走った最後に、ストレスが少ないのはディスクブレーキを搭載したバイクです。エンデュランスカテゴリーでも、もちろんそうです。

とはいえ、欧州のプロチーム内でもディスクブレーキについて、賛否両論あるのも事実です。選手を例に挙げれば、ベテラン選手ほどディスクブレーキの導入を嫌がります。とても保守的な選手は、ディスクブレーキのことをまるでドラキュラにとっての十字架のように感じている人もいます。ですが、まだ若い選手にディスクブレーキロードを渡すとむしろ喜んでいます。最新の機材をいち早く使えるからです。ためらいはありません。
メカニックの場合もまた同じです。ベテランメカニックのなかにはディスクブレーキをハードルに感じている人が多いです。今ある作業ルーティンを変更しなければなりませんから。かつてヘルメットをかぶる選手はいませんでしたが、今はヘルメットをかぶらない選手は一人もいません。ディスクブレーキもそうなるでしょう。

 
Q2 危険性を指摘する声がありますが?

今年のパリ~ルーベで(フランシスコ)ベントソが負傷し、オープンレターが出されたことによって試用が一時中止されました。しかし、その後の検証でベントソのけがはディスクブレーキが原因ではなく、チェーンリングが原因である可能性が高いことがわかっています。
ディスクブレーキローターは確かに薄い金属の板ですが、外周部はチェーンリングのそれとくらべると厚みもあるものなので、仮に体に当たったとしても、ベントソが負ったような傷はできないのです。これは欧州メディアや、医師による見解です。

カバーをつけてはどうかという意見もありますし、われわれも実際にカバーを検討したことがあります。ですが、カバーのせいでメンテナンス性が落ちたり、ホイール交換の手間が増えるなどの理由で歓迎されませんでした。
 
2017年シーズンに懸念がないかといえばそうではありません。それはディスクブレーキによるけがではなく、リムブレーキとディスクブレーキという異なるシステムを持つバイクが混走するからです。レース中はブレーキングポイントが両者で大きく異なりますし、天候が悪化すればそれがより顕著になるでしょう。それが原因で落車が発生するかもしれません。
チームにとっても2種類のバイクを用意しなければな内ことを考えると、単純に機材の量が倍になります。トラックやチームカーの積載量には限界があるので、悩ましいところでしょう。
 

オルカOMR、アヴァンOMEラインナップ

●オルカOMR
オルカOMRフレームセット ¥480,000(¥500,000 MyO対応)(税抜) 
オルカOMRディスク フレームセット ¥480,000(¥500,000 MyO対応)(税抜)
オルカOMR M10iリミテッド ディスクブレーキ デュラエースDi2完成車 ¥1,360,000(¥1,380,000 MyO対応)(税抜) 
オルカOMR M10iチーム ディスクブレーキ デュラエース Di2完成車 ¥1,080,000(¥1,100,000 MyO対応)(税抜) 
オルカOMR M10チーム ディスクブレーキ デュラエース完成車 ¥840,000(¥860,000 MyO対応)(税抜) 
オルカOMR M20iチーム ディスクブレーキ アルテグラ Di2完成車 ¥810,000(¥830,000 MyO対応)(税抜) 
オルカOMR M20チーム ディスクブレーキ アルテグラ完成車 ¥650,000(¥670,000 MyO対応)(税抜)
オルカOMR M11iリミテッド スラム Red eTAP完成車 ¥1,280,000(¥1,300,000 MyO対応)(税抜) 
オルカOMR M11リミテッド スラム Red完成車 ¥1,200,000(¥1,220,000 MyO対応)(税抜)
オルカOMR M11iチーム スラム Red eTAP完成車 ¥1,050,000(¥1,070,000 MyO対応)(税抜)
オルカOMR M10iリミテッド デュラエース Di2完成車 ¥1,050,000(¥1,070,000 MyO対応)(税抜)
オルカOMR M10iチーム デュラエース Di2完成車 ¥970,000(¥990,000 MyO対応)(税抜) 
オルカOMR M10チーム デュラエース完成車 ¥780,000(¥800,000 MyO対応)(税抜)
オルカOMR M20iリミテッド アルテグラ Di2完成車 ¥950,000(¥970,000 MyO対応)(税抜)
オルカOMR M20iチーム アルテグラ Di2完成車 ¥720,000(¥740,000 MyO対応)(税抜) 
オルカOMR M20チーム アルテグラ完成車 ¥590,000(¥610,000 MyO対応)(税抜)

●アヴァンOMP
アヴァンOMP M10iチーム ディスクブレーキ デュラエースDi2完成車 ¥950,000(税抜) 
アヴァンOMP M10チーム ディスクブレーキ デュラエース完成車 ¥730,000(税抜) 
アヴァンOMP M20iチーム ディスクブレーキ アルテグラ完成車 ¥650,000(税抜) 
アヴァンOMP M20チーム ディスクブレーキ アルテグラ完成車 ¥480,000(税抜) 
アヴァンOMP M30チーム ディスクブレーキ 105完成車 ¥430,000(税抜)

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