【20万円台で乗れるロードバイク】アルゴン18・クリプトン

コンフォート性能と剛性の好バランスを目指した「クリプトン」は、 トップチューブからシートステーまでのフレーム上側で快適性を求め、一方のヘッドからリヤエンドに至る下側では駆動性能を重視する「HDS」(Horizontal Dual System)と呼ばれる設計を採用。実際にフレームの上側は、細身のトップチューブとわずかに弓なりの形状を持つシートステー、下側は断面積の大きなダウンチューブを中心に構成され、HDSのコンセプトは一目瞭然だ。  

さらに注目すべきは「3Dシステム」と呼ばれるヘッド構造。ヘッドチューブに積み上げる３サイズの専用カラーは、ヘッド剛性を落とすことなくハンドルの上下位置の調整を可能にしている。ロングライド派からレース派まで、最適なフィティングを得られるのは、楽しみ方を模索する入門者にもうってつけの仕様といえる。  

コンポーネントはシマノ・105のフルスペックで、操作性の心配は皆無。デダエレメンティのハンドルセットやプロロゴのサドルなど、品質とルックスのバランスに優れた周辺パーツを搭載。バイクの車格はググッと上がり、フィッティングさえ合えば交換の必要もないので経済的だ。買ってすぐに本格的なライドイベントに挑戦できる高い完成度がうれしい一台だ。

 

アルゴン18・クリプトン
シマノ・105完成車価格/29万8000円(税抜)

フレーム●HM5750カーボン 
フォーク●HM5750カーボン 
コンポーネント●シマノ・105 
ホイール●ヴィジョン・チーム25 
タイヤ●ヴィットリア・ザフィーロ 700×23C 
ハンドルバー●デダエレメンティ・RHMゼロ 
ステム●デダエレメンティ・ゼロ 
シートポスト●アルゴン18・カーボンASP1600 
サドル●プロロゴ・カッパエボ 
サイズ●XXS、XS、S、M、L 
カラー●ホワイト×ブラック、ブラック×レッド 
試乗車実測重量●8.27kg (Mサイズ、ペダルなし)

 

クリプトンは、そのフレームジオメトリーも興味深い。アルゴン18独自のAFS(Argon Fit System)設計は、一般的なレースバイクの値よりもハンガー下がりを5mmほど下げた75mmとして安定性に長けた走りを追求したもの。

その狙いは走ればすぐに分かる。ホイールベースが延びたような感覚で、下りや荒れた路面ではライダーとの一体感に優れ、安心してバイクを操れる。また腰の位置が安定するため、高負荷域のペダリングでトルクをかけやすい。こうしたAFSの効果は、ロードバイクに乗り慣れない入門者こそ大きな恩恵を受けられるはずだ。通常この値のハンガー下がりだと加速が鈍くなるのだが、クリプトンのペダリングは軽い。フレームの前三角に十分な剛性を与えつつも、バックステーでそのレベルを上手にいなしてくれる。

剛性に過度な印象はなく、高負荷でのペダリングの持続性も満足できる。 そして乗りごこちも見た目に違わぬ高レベル。細いシートステーとシートまわりの柔軟性によって振動を確実に吸収する性能は、ロングライドでアドバンテージを得られるはずだ。高い安定性と走りの軽さを両立したクリプトンは、多くの場面でライダーの力を引き出してくれる。