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世界チャンピオンのサガンが初優勝! ロンド・バン・ブラーンデレン 2016

100回記念大会のロンド・バン・ブラーンデレンは世界チャンピオンのサガンが初優勝し、スロバキアにふたたびビッグタイトルをもたらした
 

100回記念大会に揃った優勝候補たち

 
1913年に創始したベルギー最大のクラシックレース『ロンド・バン・ブラーンデレン(フランス語名はツール・デ・フランドル)』は、第一次世界大戦で4年間休止したため、今年100回記念の節目の年を迎えた。

昨年はケガで欠場した地元ベルギーのトム・ボーネン(エティックス・クイックステップ)とスイスのファビアン・カンチェッラーラ(トレック・セガフレード)も今年は揃って出場し、2人には前人未到のロンド4勝目の期待がかけられていた。

そして100回記念大会にふさわしく、世界チャンピオンのアルカンシエルを着たスロバキアのペーテル・サガン(ティンコフ)がスタートラインに立ち、ディフェンディングチャンピオンのアレクサンダー・クリストフ(カチューシャ)も参加。役者は全員揃っていた。

世界チャンピオンのサガンは、1週間前に開催されたヘント~ウェヴェルヘム(UCIワールドツアー)で優勝し、絶好調だった。35歳のカンチェッラーラも現役最後のシーズンで、すでにイタリアのストラーデ・ビアンケ(ヨーロッパツアー1.HC)を含めた4勝を上げていた。

今年のロンドはフランダースのレースにふさわしくない快晴で、気温は20度C近くにまで上がった。しかし、雨が降らなくてもレースはいつも通り厳しかった。スタートから落車が相次ぎ、今年のミラノ~サンレモで優勝したアルノー・デマール(FDJ)が最初の犠牲者になり、ベルギー期待の若手であるティーシュ・ブノート(ロット・ソウダル)もリタイアを余儀なくされた。

レース展開に最も影響したのは、152km地点でBMCの選手が5人巻き込まれた事故。有力な優勝候補の1人だったグレッグ・バンアーベルマートが巻き込まれ、右の鎖骨を骨折してしまったのだ。彼は今年のロンドを途中リタイアしただけでなく、この後のクラシックレースにも参加できなくなってしまった。
 
 
ゴールまで残り100kmになると、レースは目まぐるしく動き出した。メイン集団からはアンドレ・グライペル(ロット・ソウダル)がニールス・ポリット(カチューシャ)とともにアタックし、先頭を逃げていたイマノル・エルビティ(モビスター)、ヘイス・バンフーク(トップスポルトブラーンデレン)、ユーゴ・ウール(AG2R・ラモンディアル)に合流した。

さらにディミトリー・クライス(ワンティ・グループゴベール)とドミトリー・グルージェフ(アスタナ)が加わり、先頭の逃げグループは7人になった。

ゴールまで残り54kmの2度目のオウド・クワルモントで、メイン集団からはステイン・バンデンベルフ(エティックス・クイックステップ)がアタックし、ディラン・ファンバールレ(キャノンデール)とともに逃げ出し、先頭グループに合流した。

しかし、決定的なアタックが決まったのは、石畳の坂ではなかった。E3・ハールビーク(UCIワールドツアー)で優勝したポーランドのミハウ・クフィアトコフスキー(チームスカイ)がメイン集団から抜け出したのは、ターイエンベルフを越えた後のアスファルトの田舎道だった。そしてE3・ハールビークの時と同じように、彼について行ったのはアルカンシエルのサガンだ。

そこで唯一2人に合流したのは、地元ベルギーのセプ・バンマルク(チームロトNL・ユンボ)。レース後にカンチェッラーラはその瞬間にサガンを追うのをためらい、それが致命的なミスになったと認めている。「僕は一瞬ためらってしまった。それがスポーツであり、レースというものだ。まだたくさんの選手とチームが残っていたから、オウド・クワルモントで追いつけると思っていた…」
 
 
クフィアトコフスキー、サガン、バンマルクの3人は残り24kmで先頭を逃げていたバンデンベルフ、ファンバールレ、グライペル、クライス、エルビティの5人に追いついた。その時点でメイン集団とのタイム差は40秒。

最後のオウド・クワルモントで、先頭グループからサガンがアタック。付いて行けたのはバンマルクだけだった。メイン集団からはカンチェッラーラがアタックし、先頭の2人を追走した。オウド・クワルモントの頂上で、タイム差は12秒だった。

そして迎えた最後の石畳の坂、パーテルベルフで勝者は決まった。坂の後半の最もキツイ場所でバンマルクは失速し、もうサガンに付いて行けなかったのだ。彼はここで追いついたカンチェッラーラとともに、先頭のサガンを追わなければならない展開になった。

ゴールまではまだ13kmあり、カンチェッラーラとバンマルクは必死でサガンを追いかけたが、アルカンシエルを捕まえることはできなかった。サガンは独走でオウデナールドのゴールに到着し、祖国スロバキアに初のモニュメント・タイトルをもたらした。

■100回記念大会のロンドで優勝したサガンのコメント「スタートからゴールまで超ハードなレースだった。我々は常にエンジン全開で行かなければならなかった。僕は100km地点で両方の車輪を変えるトラブルにも見舞われた。落車もとても多かったが、チームのみんなが素晴らしい仕事をしてくれた。この優勝にはとても満足している。今はこの勝利を楽しみたい。来週のことは来週考えるよ」
 

第100回ロンド・ファン・フラーンデレン結果

1 ペーテル・サガン(ティンコフ/スロバキア)6時間10分37秒
2 ファビアン・カンチェッラーラ(トレック・セガフレード/スイス)+25秒
3 セプ・バンマルク(ロトNL・ユンボ/ベルギー)+28秒
4 アレクサンダー・クリストフ(カチューシャ/ノルウェー)+49秒
5 ルーク・ロウ(チームスカイ/英国)+49秒
6 ディラン・ファンバールレ(キャノンデール・ガーミン/オランダ)+49秒
7 イマノル・エルビティ(モビスター/スペイン)+49秒
8 ズデネク・シュティバル(エティックス・クイックステップ/チェコ)+49秒
9 ディミトリ・クライス(ワンティ・グループゴベール/ベルギー)+49秒
10 ニキ・テルプストラ(エティックス・クイックステップ/オランダ)+49秒
 

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