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「ジャイアントストアびわ湖守山」オープン記念プレスツアーレポート



3月18日、ジャイアントストアの新店舗「ジャイアントストアびわ湖守山」がオープンした。それを記念するプレス向けツアーが開催され、サイスポ取材班が参加。そのレポートをお届けするとともに、自転車による琵琶湖周辺地域の振興に力を入れる守山市長のインタビュー、オープンしたてのストアとその取り組みについて紹介しよう。

 
text●大宅宏幸 photo●茂田羽生

リゾートホテルにバイクショップが?!



「ジャイアントストアびわ湖守山」(以下ストア)が入居するのは、何と、リゾートホテル「ラフォーレ琵琶湖」の1階だ。ホテルは琵琶湖のほとりにあり、自転車で走り出せばすぐに琵琶湖を一周する(通称ビワイチ)コースに乗ることができる。

バイクはレンタルで、船のルートを組み込みつつ琵琶湖をまったり1/3周し、地元グルメや観光も堪能して宿泊もするという、サイクリングの新スタイルを体験できるものだった。

 
ストアのエントランスにはライトアップされたロゴが配される
ストアのエントランスにはライトアップされたロゴが配される
「ラフォーレ琵琶湖」は湖畔にたたずむ総合型リゾート施設だ。2017年には「琵琶湖マリオットホテル」としてリニューアルオープン予定
「ラフォーレ琵琶湖」は湖畔にたたずむ総合型リゾート施設だ。2017年には「琵琶湖マリオットホテル」としてリニューアルオープン予定


ストアではロードバイク・クロスバイク・キッズバイクをレンタルできる。さらに、ヘルメットと周辺アクセサリは、持ち込んでいない場合はバイクとセットで借りられる(ただし、ヘルメットを着用しない場合はバイクレンタルは不可だ)。つまり、ウエアなど最低限の装備を用意すれば、ほぼ手ぶら状態で訪れてビワイチを楽しむことができる上に、そのままホテルに宿泊してプラスアルファの観光や現地グルメも満喫できるというわけだ。

今後、ストアでは地元自治体と協力し、サイクリングツアーの開催や現地を訪れたサイクリストへのコース案内などを行っていく予定で、ビワイチにおけるサイクリング拠点を目指していく。

船を使った「ビワ1/3」は取材を忘れるほどの楽しさ

今回は特別にプレス向けツアーが開催され、一足先にストアが提案する新コースを体験した。コースの全容は下のマップの通りだ。琵琶湖南東岸にあるストアを出発し、北上して琵琶湖東岸中腹付近まで走る。そこから「漁船タクシー」に乗って水上を輪行移動。琵琶湖に浮かぶ沖島で観光を楽しんだのち琵琶湖西岸まで移動し、残りのビワイチコースを回ってストアへ戻る。実走距離は約55kmだ。

バイクはディファイ3をレンタル。ヘルメット・ウエア・シューズ・ビンディングペダルなどの装備だけ持ち込んだ。筆者にとってはほぼ手ぶら感覚だ。

 


通常ビワイチというと、その名の通り琵琶湖を一周するのだが、そうすると距離が約180kmに及ぶ。もちろんがっつり走りたいサイクリストならそれで良いが、ビギナーやまったり走りたい人にとっては脚に重すぎる。そこでこのコースというわけだ。これなら平坦で走りやすいルートで、しかも景色が良く、名所やグルメどころを組み込んだ、いいとこどりをしたビワイチを楽しめる。これをビワイチならぬ「ビワ1/3」と呼びたい。

今回、サイクルスポーツ取材班のガイドを務めてもらったのは、ジャイアントで技術面の講師を担当する湯浅勉さんだ。早速ストアを出発し、琵琶湖のほとりを走り出した。

 
県道のわきに自転車・歩行者専用道路が続く。初心者でも安心して走ることができる。無論、歩行者が最優先だ
県道のわきに自転車・歩行者専用道路が続く。初心者でも安心して走ることができる。無論、歩行者が最優先だ
走り出してすぐ砂浜スポットがある。ここでゆっくり景色を眺めていくと良いだろう。当日は最高の天気だった
走り出してすぐ砂浜スポットがある。ここでゆっくり景色を眺めていくと良いだろう。当日は最高の天気だった


15kmほど走り、船が出る長命寺港に到着。出発まで少し時間が余ったので、少しだけ港から北上してみた。湯浅さんによると、この辺りが最もライドしながら良い景色を楽しめるポイントだという。湖面には釣りを楽しむ人々のボートが何隻か浮かんでおり、穏やかな風景に心洗われる。

さて、いよいよ今回のハイライト「漁船タクシー」に乗る。「漁船タクシー」とは、守山市がビワイチを盛り上げるための社会実験として行っているものだ。2015年12月に6回実施し、今回のツアーを含めて計8回の実施になるという。専用のバイクラックが備え付けられた漁船をチャーターし、対岸の漁港まで移動する。本ツアーでは、特別に琵琶湖に浮かぶ沖島に上陸する行程が組まれた。

 
長命寺港付近の県道25号(湖岸道路)では、湖面ぎりぎりを走れる絶景ポイントに出会える。ぜひ立ち寄ってみてほしい
長命寺港付近の県道25号(湖岸道路)では、湖面ぎりぎりを走れる絶景ポイントに出会える。ぜひ立ち寄ってみてほしい
前輪を外し、フロントフォークを固定する専用ラックが備え付けられる。前輪は別のスペースに積まれる
前輪を外し、フロントフォークを固定する専用ラックが備え付けられる。前輪は別のスペースに積まれる
船のスピードは意外と速い。水上を波しぶきを上げて軽快なスピードで進んでいく。これはクセになる楽しさだ
船のスピードは意外と速い。水上を波しぶきを上げて軽快なスピードで進んでいく。これはクセになる楽しさだ


沖島に到着し、しばし観光を楽しんだ。沖島は日本の淡水湖における唯一の有人島だ。港には漁業組合の施設があり、湖で水揚げされたばかりのエビやフナを間近で見ることができる。島は路地と古い家並が織りなすレトロな雰囲気に包まれ、ゆっくり歩いて観光すれば最高に楽しいスポットだと感じた。砂利道はほぼないので、ビンディングシューズでもクリ―トカバーを用意すれば難なく歩ける。

なお、通常沖島へ行く場合は、堀切港から1日最大で12本の定期便が出ており、それを利用する。大人は片道500円だ。所要時間は約10分。自転車も積み込むことができるが、乗る前に船頭へ断りを入れる必要があるそうだ。

 
港の目の前には沖島漁業会館がある。地元特産物を使った弁当・菓子などが販売されている。沖島漁業組合 0748・33・9511
港の目の前には沖島漁業会館がある。地元特産物を使った弁当・菓子などが販売されている。沖島漁業組合 0748・33・9511
湖で揚がったばかりのフナ。まだ生きていてエラをパクパクしている。これが名物の「ふなずし」へと加工されるそうだ
湖で揚がったばかりのフナ。まだ生きていてエラをパクパクしている。これが名物の「ふなずし」へと加工されるそうだ
何とも懐かしさを漂わせる漁協の売店。「沖島えびせんべい」、沖島芋焼酎の「沖のしずく」などが手に入る
何とも懐かしさを漂わせる漁協の売店。「沖島えびせんべい」、沖島芋焼酎の「沖のしずく」などが手に入る


沖島を出発し、次は対岸の大溝港へ向かう。途中、景勝地として知られる白鬚神社の「湖中大鳥居」を眺めた。通常は湖岸からしか眺められないので、湖中から見る光景は非常に貴重だという。

対岸の大溝港へ到着し、湖岸のコースから走り始め、南下していく。やや交通量の多い国道となるため、自転車でしか通れないような湖岸の裏道を使って進んだ。しばらく走ると先ほど眺めた白鬚神社の鳥居を湖岸側から眺められるスポットを通る(記事冒頭の写真)。ここで一度昼食をはさむ。白鬚神社近くのそば店、その名も「白ひげそば」へ立ち寄った。近江牛を盛り込んだそばや鯖ずしなど、名物料理を味わえる店だ。

 
交通量の多い国道を避け、かつては鉄道が走っていた湖岸の裏道を進む。こうした道を通ることができるのも自転車だからこそ
交通量の多い国道を避け、かつては鉄道が走っていた湖岸の裏道を進む。こうした道を通ることができるのも自転車だからこそ
白ひげそば」は白鬚神社から300mほどの場所にある。高島市鵜川293 営業時間/11時~14時30分(無休)0740・20・2251
白ひげそば」は白鬚神社から300mほどの場所にある。高島市鵜川293 営業時間/11時~14時30分(無休)0740・20・2251
「ぶっかけ近江牛載せそば」を注文。コシのあるそばに近江牛が良く合う
「ぶっかけ近江牛載せそば」を注文。コシのあるそばに近江牛が良く合う
鯖ずしは肉厚で濃厚な味だ。かつて日本海から京都へ鯖を運んだ「鯖街道」が西岸を通っていることから郷土料理となったそうだ
鯖ずしは肉厚で濃厚な味だ。かつて日本海から京都へ鯖を運んだ「鯖街道」が西岸を通っていることから郷土料理となったそうだ


がっつり昼食をとったところで、湖畔の道を南下して「びわ湖レイクサイド自転車道」に入る。田園風景が広がり、車道側でも交通量が少なく走りやすい。途中から線路沿いとなり、JR湖西線が道の左右にお供する。時折通る電車を眺めつつ、のんびり走ると気持ちが良い。

その後、湖南の堅田方面を目指しつつ、2軒のグルメどころに立ち寄る。すでに「過補給ライド」の様相を呈してきたが、ゆっくり・じっくりこうしたスポットを巡りながら走るサイクリングもなかなか良いものだ。

 
のどかなサイクリングロードが続く。スピードを上げるのも良いが、ゆっくりと景色を眺めつつ走りたい道だ
のどかなサイクリングロードが続く。スピードを上げるのも良いが、ゆっくりと景色を眺めつつ走りたい道だ
多くの地元サイクリストが訪れる甘味どころ「団喜茶屋」。滋賀県大津市和邇今宿825−1 営業時間/9時~17時、定休日/無休 077・592・3333
多くの地元サイクリストが訪れる甘味どころ「団喜茶屋」。滋賀県大津市和邇今宿825−1 営業時間/9時~17時、定休日/無休 077・592・3333
志賀駅前の人気パン工房「るうた」に寄る。店内はオシャレなジャズが流れ、カフェとしても利用できる。滋賀県大津市木戸134-1 営業時間/7時30~18時、定休日/月・火曜日 077・592・1789
志賀駅前の人気パン工房「るうた」に寄る。店内はオシャレなジャズが流れ、カフェとしても利用できる。滋賀県大津市木戸134-1 営業時間/7時30~18時、定休日/月・火曜日 077・592・1789
名物「酒まんじゅう」と「同ようかん」。地酒を使い、フワッとした日本酒の香りが堪能できる。アルコールは飛ばしているので酔うことはない
名物「酒まんじゅう」と「同ようかん」。地酒を使い、フワッとした日本酒の香りが堪能できる。アルコールは飛ばしているので酔うことはない


腹がパンパンの状態で本ツアーもクライマックスへ。最後の立ち寄りスポットの「浮御堂」へ向かい、その後東岸へ戻る「琵琶湖大橋」を越える。

琵琶湖大橋を渡ると、最後に東岸の歩行者・自転車専用道路からジャイアントストアに戻る。朝に出発し、戻る頃にはすでに日が傾いていたが、最後まで飽きることなくツアーを満喫することができた。走行後は「ラフォーレ琵琶湖」でゆっくりとシャワーを浴びたのち、料理と地酒を堪能してからぐっすりと眠りについた。

 
「浮御堂」は平安時代に建立された湖上の寺だ(寺名は満月寺)。絶景スポットとして知られるが境内に自転車は持ち込めないので、付近から眺めるのがオススメ
「浮御堂」は平安時代に建立された湖上の寺だ(寺名は満月寺)。絶景スポットとして知られるが境内に自転車は持ち込めないので、付近から眺めるのがオススメ
「琵琶湖大橋」を渡り東岸へ。橋は有料道路だが、歩道は自転車通行可能で無料だ。ただし、一般の歩行者・自転車の往来もあるため、通行には十分に注意しよう
「琵琶湖大橋」を渡り東岸へ。橋は有料道路だが、歩道は自転車通行可能で無料だ。ただし、一般の歩行者・自転車の往来もあるため、通行には十分に注意しよう
琵琶湖大橋からストア付近まで続く道路は非常に走りやすい。途中「明るい廃墟」として話題になった「ピエリ守山」のすぐわきを通過する
琵琶湖大橋からストア付近まで続く道路は非常に走りやすい。途中「明るい廃墟」として話題になった「ピエリ守山」のすぐわきを通過する

クリアすべき課題は多いが今後の展開に期待大

今回のプレスツアーは、正直なところ取材を忘れて心から楽しめた。手ぶらに近い状態でホテル・ストアを訪れ、レンタルした自転車で水上ショートカット&いいとこどりコースの「ビワ1/3」を走るのは、初級者から上級者まで満足できる、まさにサイクリングのニュースタイルだ。本コースをモデルに、今後ストアでは一般向けのツアーやコース提案を行っていくとのことだが、これは非常に魅力的だ。

しかし一方で、まだクリアすべき課題も多いと感じた。コースは歩行者・自転車専用道路も通ってはいるが、車道走行に比べて走りの軽快感に欠ける。また、やや交通量が多い県道・国道をどうしても通らざるを得ない。初心者も安心して走れ、また軽快に走れるコース作りが今後必要だろう。

また、「ビワ1/3」の要となる「漁船タクシー」だが、あくまでまだ社会実験段階であり、今後の実現に向け、採算性も見据えて検討がなされるとのことだ。ぜひ実現してほしいところだが、いかにサイクリストの利用を喚起できるかがカギとなってくるだろう。ストアと地元自治体による今後の取り組みに期待したい。

 

地元守山市長へインタビュー!「植栽帯を撤去し、路側帯を広げた道路づくりを目指す」

ストアの今後の取り組みについては、地元守山市が行政としてバックアップを行っていく計画だ。オープン式典に出席した守山市の宮本市長に、ポイントとなる道路環境の整備について今後の展望を聞いた。なお、市長自身もロードバイクを所有し、ライディングを楽しんでいるサイクリストだ。

 
ジャイアントのロードバイクを愛用する宮本市長。カラーは琵琶湖のブルーに合わせてチョイスしたという。忙しい公務の中でも時間を見つけ、週末には3時間ほどのライドを楽しんでいる
ジャイアントのロードバイクを愛用する宮本市長。カラーは琵琶湖のブルーに合わせてチョイスしたという。忙しい公務の中でも時間を見つけ、週末には3時間ほどのライドを楽しんでいる


市長によると、まずは湖周道路を管理する滋賀県に働きかけ、走行環境の整備に取り組んでいくという。具体的には、守山市が位置する東岸道路に続いている、歩道と車道を隔てる植栽帯を撤去し、路側帯を広げて道路のフラット化を進めるよう県と話を進めているとのことだ。

これは非常に的を射た整備の仕方だと言える。自転車専用道を作るよりも、段差がなく、路側帯の広いフラットな道路を作る方が安全かつ快適になるのは理解できる。自身がロードバイクに乗っているからこそできる発想だ。

一方、市の位置する東岸だけでなく、西岸の道路も同様に環境を整える必要がある点について質問した。これについては、やはり県に働きかけを行い、東岸同様に安心して走れる環境作りを進めてもらえるようにしていきたい、とのコメントだ。容易な道のりではないが、長い目で今後の展開に注目したい。

 

ジャイアントストアびわ湖守山

最後に、ストアの詳細を掲載しよう。ぜひ読者の皆さんもストアとホテルを利用し、琵琶湖を巡る新しいサイクリングスタイルを体験して、その真価を確かめてみてほしい。

〒524-0101  滋賀県守山市今浜町十軒家2876 ラフォーレ琵琶湖1F
TEL 077・584・2033
http://giant-store.jp/moriyama

 ●アクセス
クルマ:名神高速道路・栗東ICから約15km
電車:JR湖西線・堅田駅から路線バスで約15分
●営業時間/9時~19時
●定休日/火曜日
●駐車場:「ラフォーレ琵琶湖」屋外駐車場が利用可能

(バイクレンタル料金)
●アルミロードバイク:3500円(5時間)、5000円(日帰り)、8000円(1泊2日)、4500円(追加料金/日)、1100円(超過料金/1時間)
●カーボンロードバイク:5000円(5時間)、7000円(日帰り)、1万2000円(1泊2日)、5600円(追加料金/日)、1600円(超過料金/1時間)
●クロスバイク:3000円(5時間)、4000円(日帰り)、6500円(1泊2日)、3500円(追加料金/日)、900円(超過料金/1時間)
●キッズバイク(適応身長135cm~150cm):2000円(5時間)、3000円(日帰り)、5000円(1泊2日)、2500円(追加料金/日)、500円(超過料金/1時間)
※料金は全て税抜き
※ヘルメット・ライトなどのアクセサリ類はバイクとセット。持ち込みも可能だが、ヘルメット無しでは貸出不可

(レンタルバイク台数)
●ロードバイク:全8台
●クロスバイク:全16台
●キッズバイク:全2台
 
広く明るい店内には、エントリー~ミドルグレードのロードバイク、クロスバイクが中心にラインナップされる。もちろん、ウエアやパーツ類のライダーギアも取りそろえている
広く明るい店内には、エントリー~ミドルグレードのロードバイク、クロスバイクが中心にラインナップされる。もちろん、ウエアやパーツ類のライダーギアも取りそろえている
メカニックスペースも完備。なお、本気でサイクリストを応援したいという姿勢から、通常は取り寄せ対応となるストア取扱全車種のリヤエンドをストックしている
メカニックスペースも完備。なお、本気でサイクリストを応援したいという姿勢から、通常は取り寄せ対応となるストア取扱全車種のリヤエンドをストックしている

問い合わせ先

ジャイアントストアびわ湖守山
http://giant-store.jp/moriyama