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ルック新型TTバイク「796モノブレード」に込められたこだわり

まるで開発途中のクルマのカモフラージュ柄のようにフレーム全体に「LOOK」の「O」の文字をあしらったTTバイクが、今年のツールを走り「あれは何だ?」と話題になったことを記憶しているマニアも多いだろう。その正体がついにユーロバイクで明かされた。
 
text&photo●ナカジ

あらゆるものを内蔵し、ミニマムに

その正体は「796モノブレード」。前作の596から大きくモデルナンバーを進め、700番台世代にふさわしいバイクに仕上がっている。フレームに翼断面形状を採用しているのはもちろんだが、空気抵抗を従来モデルよりもさらに減らすために、全面投影面積をいかに小さくするかを追求している。そのために、現在ルックが持ちうるすべてのトータルインテグレーション技術が惜しみなく投入された。

これによって、アイアンマン・コナのコース(180km)を時速40kmで走ったときに6.2w、126秒をセーブできる。

ポイントになるのは4つ。非常に幅の狭いヘッドチューブ。専用のDHハンドルバーセット。新開発のシートポスト。ZED3に世代が進んだ専用クランクだ。

まずは最大のポイントであるヘッドチューブ。左の写真を見るとその幅がかなり狭いことがわかる。ルックはかつて通常のロードバイクのようにヘッドチューブ内にフォークコラムが通る構造ではなく、フォークとフレームをヒンジでつなぐ形状を採用していたが、796ではフォークコラムがヘッドチューブの中を通る構造ながらこの幅を実現した。
 

フォークコラム径はわずか25㎜

非常に幅の狭いヘッドチューブを実現するために、ルックはフォークコラム自体の太さを細くした。25mmという極細コラムはUCIレギュレーションぎりぎりだ。このコラムの中をフロントブレーキワイヤが通る。

そのフロントブレーキは同社のエアロロード795エアロライトと同じく、フォークブレードに内蔵されるVブレーキタイプ。リム幅28mmのワイドリムも装着することが可能だ。

フォークの肩の部分にはハンドルが切れすぎてトップチューブに衝突しフレームを痛めるリスクを減らすために、ハンドルを止めるための溝が切ってある。見えない部分までしっかりと作り込まれている。

フォークブレード先端はクイックリリースレバーがよりブレードにフィットさせるために左側だけすこし短くなっている。徹底的にこだわろうという開発姿勢が垣間見える部分だ。
 

クランクセットは新型チェーンリングを採用し、サイズ展開も豊富に

クランクセットはZED2からZED3へ進化。シャフト径65mmの専用BB規格はそのままに、クランクがアームではなく面で構成されるのデザインに変更された。これによってチェーンリングには多くの肉抜き加工が施され軽量化と、全体での剛性アップを実現した。

ZEDクランクの特長である、ペダル取り付け部のパーツを入れ替えることによってクランク長を選択できる機構はそのまま引き継がれている。

従来はクランク長が170mm、172.5mm、175mmの3種類からしか選択できなかったが、新型では新たに155mm、157.5mm、160mmと162.5mm、165mm、167.5mmが選択できる2モデルが追加された。

エアロ、メンテ、パッキングの利便性アップをかなえるシートポスト

シートポストも従来のバイクにはないまったく新しい構造となっている。シートポストがシートチューブ内にまったく入り込む必要が無いのだ。

まずフレームの付け根にはシートポストをクランプするパーツがあり、これによってシートポストを固定している。ただし、この部分では高さ調整はできない。クランプパーツはシマノDi2バッテリーホルダーも兼ねている。

シートポストは236mmあり必要な長さにカットしてフレームに取り付け、高さ調整はヤグラとの間に入れるエラストマー素材のスペーサーによって行なう。1mm刻みで最大12mmまでが調整範囲だ。シートポストは最大で162mmまでカットできる。

シート角はヤグラを交換することでロードTT用74°のほか、76°、78°、80°に設定することもできるのでトライアスロンでの使用にも対応できる。シートポスト〜サドルまでが簡単に取り外せるので、バイクを宅配便で発送するときでも梱包がコンパクトになる。
 

トライアスロンにも対応

796はロードTTはもちろんトライアスロンでの使用も視野に入れた設計となっている。プレゼンテーションでは元プロ選手のローラン・ジャラベールが登場。1997年の世界選手権タイムトライアルチャンピオンである彼は、現在トライアスロンにも挑戦しているとのことで796でアイアンマン・コナに出場予定とのこと。
 

ハンドルも幅広いポジションに調整可能

上記のシート角が調整できるほかにも、ハンドルバーセットもスペーサーによって幅広いポジションを実現できる。ベースバーはハイ、ローで50mm高さを変更でき、それに取り付けるDHバーのベーススペーサーは30mmまで。さらにブリッジと呼ばれる左右のDHバーをつなぐ翼断面形状をもつパーツを追加すれば一気に60mm高くすることができる。DHバー自体の形状はストレートタイプとSベントの2種類が用意されている。ステム長は85mmと110mmの2種類だ。

ハンドル周りにはボトルを取り付けたり、補給食などを納めるためのトップチューブバッグの取り付けアタッチメントも用意されている。
 
プレゼンテーションにはローラン・ジャラベールが登場。LOOK796でコナアイアンマンに挑戦するという
プレゼンテーションにはローラン・ジャラベールが登場。LOOK796でコナアイアンマンに挑戦するという

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ユーロスポーツインテグレーション
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