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激暑のCJ白馬を山本幸平が独走勝利

MTB全日本選手権の2週間後となる8月2日、長野県白馬村にてCoupe du Japon(クップ・デュ・ジャポン 以下CJ)の[白馬マウンテンバイク大会(CJ-1)]が行なわれた。海外をレース活動の拠点にし、全日本優勝の山本幸平選手も今回CJのレースに初参加。ブリヂストン、メリダ、BHなど有力選手のいるチームも勢揃いした。
 
text&photo:Ryuta IWASAKI

急な上りを走る選手たち、灼熱の太陽のもとレースは進んだ

 
コースは全長5200m。スタート地点となるグラウンドを抜けると、選手たちをふるいにかける急な上りが現われ、その先のシングルでは丸太を使ったラダーセクション、細かなアップダウンを繰り返し砂利のダブルトラック。再びシングルへ入り、新設されたラダーセクションtoドロップオフが現われる。
 
急な上り、テクニカルなシングルトラック、舗装路を経てスタート地点に戻るというレイアウト。周回数は6周。獲得標高は少ないものの、舗装路を含むハイスピードな平坦と高出力が必要な急勾配、テクニカルなシングルとラダーセクション、変化に富んだMTBらしいコースは、これまでのCJでもっともワールドカップに近いハイレベルなコース。加えて、会場の気温は35度を超える猛暑となり補給、熱中症対策も重要となるハードなレースが予想された。
 
グラウンドを走り最初の急坂、太鼓橋に現われたのは平野、山本、小野寺を先頭にした集団
 
 
合図とともにいっせいにスタート。急な上りの中腹にいちばんに現われたのは、平野星矢(ブリヂストンアンカー・サイクリングチーム)、そのすぐうしろに山本幸平(トレック・ファクトリーレーシング)、小野寺健(ミヤタメリダ・バイキングチーム)などが続く。
1周目後半の激坂にトップで現われたのは沢田時(ブリヂストンアンカー・サイクリングチーム)だった。先日の全日本U23の優勝でも好調をアピールした沢田が山本、斉藤亮(ブリヂストンアンカー・サイクリングチーム)を引き連れ、パックを作っている。
 
少しうしろには、こちらも全日本U23の前田公平(ビオレーサー)、中原義貴(BHレーシングMTB)がパックを引っ張っている。
 
 
 
ワールドカップレベルの走りを見せる山本、2周目に入ると独走を開始した
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
5周目、ラダーでバランスを崩し足をついた斉藤をパスする沢田
 
 

ワールドカップレベルの走りを見せる山本

 
しかし、2周目に入ると山本との差は次第に明らかになっていった。日本人最強のMTBライダーであることを見せつけるがごとく、2位以下をどんどんと引き離し独走状態に入る。それを必死に追ったのは、やはり斉藤亮(ブリヂストンアンカー・サイクリングチーム)、そして沢田だった。

全日本前に行なったポジションの変更も沢田の好走の一因だろう。しかし、それ以上に彼自身の成長を強く感じた。周回数を重ねても2位斉藤に食らいついている。「亮さんには一度も勝ったことがなかったが、今日はいける気がした。」と彼のレポートにもあるように、その走りはとても力強かった。
 
独走を続ける山本は後続に2分以上の差をつけてフィニッシュした
 
 
そして、その機会は筆者の目の前で訪れた。5周目、2つ目のラダーセクションに入った斉藤が滑り足をつく。すぐうしろを走っていた沢田が前へ。ひとつのミスで順位が入れ替わった瞬間だった。沢田はそのまま2位でフィニッシュし、自身初のエリート表彰台を獲得したのだった。

優勝した山本は「始めてCJに参加しましたが、このコースはアップダウンやラダーからのドロップオフなど、ワールドカップのコースのレベルに近づいてきている感じがします。ジュニアやユースの選手たちも成長してきているので、僕も頑張らなければと思います。僕と勝負できる選手に育って欲しいです」と、コメントを残した。
 
 
■男子エリートリザルト
1位 山本幸平(トレック・ファクトリーレーシング) 1:16:51.27
2位 沢田時 (ブリヂストンアンカー・サイクリングチーム) +2:29.78
3位 斉藤亮 (ブリヂストンアンカー・サイクリングチーム) +2:38.58
4位 恩田祐一(BHレーシングMTB) +4:31.67
5位 平野星矢(ブリヂストンアンカー・サイクリングチーム) +4:42.77
6位 小野寺健(ミヤタメリダ・バイキングチーム) +6:4.71