安井行生のロードバイク徹底評論第5回 PINARELLO DOGMA F8 vol.4

目次

安井ドグマF8-4

ピナレロのフラッグシップが劇的な変化を遂げた。2015シーズンの主役たるドグマF8である。「20年に一度の革新的な素材」と呼ばれる東レ・T1100Gと、ジャガーと共同で行なったエアロロード化は、ピナレロの走りをどう変えたのか。新旧ドグマの比較を通して、進化の幅とその方向性を探る。東レ・T1100Gの正体に迫る技術解説も必読。vol.4

 

古典的なスレッドBBにこだわる理由

安井ドグマF8-4

最新鋭フレームながら、BBは今となっては珍しいスレッドタイプ(イタリアン)だ。これは、チームスカイのメカニックからの要望によるもので、メンテナンス性を犠牲にしないためだという。フレームの生産効率はインテグレーテッドBBのほうが高いが、異音の発生などトラブルも多い。
 
スレッドタイプを採用し続ける理由について、ピナレロは「古典的なスレッドBBのほうがメンテナンス性、耐久性、精度の面で優れているため。新素材の採用&新設計によって、従来のスレッド規格でもフレーム剛性が確保できたことも理由の一つ」とのこと。

 

ディティール

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【ダウンチューブ】ダウンチューブ、シートチューブなどは楕円形の後端を切り落としたようなフラットバック断面、いわゆるカムテール形状になり、フレームの空気抵抗を47%低減した

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【ヘッドチューブ】ヘッドチューブも空力を意識した形状に。フォーククラウン部は前作同様にフィン形状となっており、ダウンチューブとの隙間を埋めて空力性能向上の努力が見られる

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【フォーク前】TTバイク、ボライドのコンセプトを受け継いだ新型フォーク、オンダF8。左右のブレードを離すことで、剛性を保ちつつ空気抵抗を50%以上も削減しているという

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【フォーク横】数回にわたって大きくうねっていたピナレロのアイコン、オンダフォークが驚きの形状変更。設計を一新し、湾曲がゆるやかになった。フォークコラムの下ワン径は1.5インチ

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【シートステー横】フロントフォークと同様に、ゆるやかな形状となったシートステー。このシートステーもカムテール形状となっており、快適性・剛性・エアロダイナミクスの三者両立を図る

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【シートステー後ろ】完全左右非対称設計はもちろん継続。フレーム各所が非対称となっており、さらにバランスが改善された。リヤブレーキはシートステーの後ろに隠れ、乱流を発生させにくい

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【シートポスト】プレートを2本のイモネジでシートポストに押し付けて固定する。シートポストにシマノDi2用バッテリーを、ダウンチューブにカンパニョーロEPS用バッテリーを内蔵可能

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【フレーム内部・トップチューブ】トップチューブの内壁。シワなどはなく、非常にキレイな状態。画面左に見えるのは、リヤブレーキ用のケーブル

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【フレーム内部・シートチューブ】シートチューブの内壁。トップチューブ同様、チューブ形状がそのまま内壁のカタチになっている。フラットバック形状になっていることがよく分かる

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【フレーム内部・ダウンチューブ】ダウンチューブの内壁。BB側にはブラダーのようなものが残っていたが、ダウンチューブ内側もスムーズだった