安井行生のロードバイク徹底評論 第4回 LOOK 675 vol.6

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安井675-6

最初は誰もが異端児だと思ったルック・675。しかし同じスタイルをまとう795の登場によって、キワモノではなく次世代ルックのブランドアイデンティティーを背負う存在として見なければならなくなった。「なぜルックはこんなフレームを作ったのか?」をメインテーマに書く徹底評論第4回。発表されたばかりの795を見る目も変わる、渾身のルック論である。vol.6

 

ヘッド以外に瑕疵の少ないジオメトリ

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BB規格はプレスフィット86.5、シートピラー径は27.2mm。シートクランプはフレームに埋め込まれたような造形だ。確かに、シートクランプがトップチューブからニョキッと突き出ていたら、ヘッド部のあの雰囲気は台無しだろう。フレーム重量は1150g(未塗装Mサイズ)で、フォークは350gと最新カーボンフレームにしてはヘビー級だ。
 
問題のジオメトリを見ていく。フレームサイズは5種類。フォークオフセット、ハンガー下がり、チェーンステー長は全サイズ統一だが、ヘッド角とシート角はサイズごとに細やかに調整されており、リーチは5~10mm刻みで伸びていく。リーチの逆転は見られない。
 
ハンドル周りの調整幅がほぼないこと以外は、瑕疵の少ないジオメトリだといえる。しかし、特殊なステムであることを考慮してもヘッドは長めで、XSでも132mmもある。これはレーシングフレームとしては長いと言われる695よりさらに10cm以上も大きい数値である。また、通常のフレームに比べてトップチューブの位置が高くなっているため、脚が短い人はスタンドオーバーハイトに注意である。

 

675&695、フレーム内部比較

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675シートチューブ

さて、もちろん今回も遠慮なくファイバースコープをフレーム内部に突っ込んだ。内部を見ればインナーラグ製法の秘密が分かるかと思ったが、通常のモノコック系フレームとなんら変わらない光景が広がっていた。
 
ヘッドチューブやダウンチューブ内壁にはややシワが見られたため、チューブ製造時の加圧はブラダーによるものだろう(特殊な構造のためトップチューブは密閉されており内部にカメラが入らなかった)。
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675ダウンチューブ

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675ハンガー

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695シートチューブ

ついでに、筆者の695のフレーム内部にもファイバースコープを入れ、675と比較した。シワが少なく内壁は675よりスムーズ。これが製法の違いによるものなのか、産地の違いによるものなのかは分からない。

インナーラグについても、チューブ接合部に変わったところは見られなかった。ハンガー部分にカーボンの別体パーツが接着されているように見えるが、これがラグなのだろうか。

695はトップチューブ内にケーブルアウターを内蔵するフレームだが、トップチューブ内側には発泡剤のようなものが充填してあり、カメラが入らなかった。アウターを通すパイプを固定するためだろうか。

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695ダウンチューブ

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695トップチューブ

 

LOOK 675

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spec
モデル名:ルック・675
フレーム:HIGH MODULUS CARBON
フォーク:HSC 675
ホイール:フルクラム・レーシングスピードXLR
コンポーネント:カンパニョーロ・ケンタウル
ステム:A-ステム
ハンドル:ディズナ・J-フィットモア(ライター私物)
シートピラー:ルックカーボンシートポスト
サドル:セライタリア・SLR
価格:29万9800円(税抜、フレームセット)