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アソス、スイス本社の新製品発表会レポート

世界にその名を轟かせるサイクルウエアブランド「アソス」。 新製品発表会があるとのことで、ユーロバイク前にスイスの本社を訪れた。

 
text&photo:ナカジ

最高のウエアはどうやって生まれるのか?

 

サイクリストならアソスの名を一度は聞いたことがあるだろう。高級ウエアブランドとして、世界的にその地位を確立している。

1976年に創業した同社。 本社はスイス南部の街、ルガノの郊外にある。裏山を越えればイタ リア・ミラノという立地だ。もともとイタリアのファッション産業の製造拠点としての役割を担って いた地域なので、アソスのウエア のクオリティが高いのもうなずける。  

 

創業者のトニー・マイヤーは、 エンジニアとして名を馳せた人物 で、彼が開発したトラックの追い抜き種目用フルカーボンフレーム は、風洞実験によって、空気抵抗が少ない涙滴形状のチューブを採用したものだった。その開発段階で、当時ウエア素材の主流であったウール素材が大きな空気抵抗を 生んでいることに気づき、より高性能なアイテムを開発すべく、ウエアブランドとしてのスタートを切ったのだ。  

 

こんな風に説明すると、本社社屋はさぞや立派なビルであろうと 想像する人もいるかもしれないが、 いざ到着してみると拍子抜けするほどこぢんまりとしている。その見た目は写真でわかるとおり、閑静な住宅地に建つ普通の住宅だ。 これがあのアソスの本社なのかと。 茶色い屋根の建物と道をはさんで向かい合う住宅のような建物の2 棟。  建物の中に入ると、コンパクトにすべての機能が詰まっていることがわかる。

 

最初に通されたのは小さなショールーム。壁にはアソスの歴史がパネルで展示してあっ た。続いて、広報のデザイン部署。 広告やウエブサイトのデザイン、 そして商品パッケージのデザインを行なう部署である。新作のMTB用ショーツのパッケージも、完成したばかりのモノを見せてくれた。

 

一つ上の階には新商品のパターンを引く部署があるが、スタッフ2人分 の机があるだけ。下の階には、記事の耐久性をテストするためのラボがある。摩擦や洗濯などへの耐久性をチェックしているそうだ。 最新のロード用ビブショーツ「S 7」の開発では、ひたすら生地をこするテストマシンで100万回以上の摩擦を生地に与え、十分な性能を持った素材を使用している。  

 

各部署の人数は少ないが、これ で高品質の商品を生み出している と思うと、少数精鋭であることが アソスの強さを支えているのだろう。ここまでが茶色い屋根の建物。  向かいの建物には、製造部門が入っている。量産品はイタリアで 生地をカットして、スロベニアの 専用工場で製造されているが、本社ではテスト用のサンプルやオー ダーウエアの製造、ユーザーから 送られてくる壊れてしまったアイ テムの修理を行なっている。

 

小回りが効く体制を敷いているからこそ、テストライダーが毎日テストした結果をすぐ製品開発に生かすことができるのだ。ちなみに1階 はアウトレットショップ。近くまで行った際は、寄ってみてはどうだろうか。

 

 

●一見すると住宅であるかのように見えるアソス本社。この中に世界が認めるサイクルウエアのすべてが詰まっている

 

 

 

 

 

 

●本社の1階にはアウトレットショップがある。歴代モデルがずらっと並んでいるさまは壮観

 

 

 

 

 

 

 

●本社の中を案内をしてくれたのは、創業者の孫娘であるデジレ・バーグマンマイヤーさん。解説は英語だったが、スタッフとの会話はイタリア語だった

 

 

●パッケージデザインの部署。広くはないが 必要なモノが整然と並べてあった。サポート しているF1チーム、ザウバーペトロナスの写真を加工している

 

 

 

 

 

 

 

 

●オーダーウエア のプリント転写工程。型紙へのプリントはイタリアで行ない、転写は本社での作業

 
 

 

●今まで使用した プリントの型紙が ずらりとストックされている

 

 

 

 

 

 

 

 

●スイスナショナルチームのジャージをプリントしているところ

 

 

 

 

 

 

 

 

●プリント工程があるフロアの一つ上の階で は、オーダーウエアの縫製が行なわれている。 女性スタッフが多い

 

 

●ウエアに使用する生地のR&D部門。担当スタッフのシモーナさん。後ろのマシンは耐摩擦性能をテストする装置

 

 

 

 

 

 

 

●こちらの黒いマシンは、箱の内側にトゲが出ていて、突 起物からの耐攻撃性をテストするためのもの

 

 

 

 

 

 

 

●本社の最上階にある小部屋には、ウエア修理依頼に対応するための工房がある。彼女が 一人で黙々と作業をしていた

 

アソスのスイス本店へ 「マンガヨ」=桃源郷の扉を開けよう

 

アソスの本店は、本社から20kmほどのルガノの街中にある。お店の名前「マンガヨ」は桃源郷という意味を持った造語。 サイクリストにとっての桃源郷でありたいという思いが込められている。  

 

外観はまるで、東京丸の内にあるハイファッションブランドの路面店のようだ。1階がショールームになっており、2階にはVIP 用の部屋。地下1階がメインの売り場である。

本店ゆえに、現行モデルがすべてそろっている。アソス独自の、温度帯ごとの着こなし方法である「クライマリレンジ」も、実際の商品で確認できる。サイズも豊富で、ここでしか購入できない限定アイテムもあった。  

 

世界中からアソスのファンが買い物に来るというこの店は、しっかりとしたフィッティングルームがあり、商品選択に迷っていると、 アソスの各アイテムの特性を理解し、的確にアドバイスをしてくれるスタッフがいる。ついつい買いすぎてしまいそうな店だ。

 

 

●地下1階には試着室が用意されている。ハイファッションブランドのような作りだ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

●店内には創業 者トニー・マイヤーが開発した 世界初のフルカーボンフレームが誇らしげに飾ってあった

 

アソス初のMTBアイテム「ラリー」の実力をスイスのトレイルでチェック!

 

今回の発表会で登場したのがこの「Tラリーショーツ」。その名のとおり、オフロードでの使用を想定したビブショーツ だ。

 

開発には自社のテストチームである ヴェルクスマンズシャフトが関わったの はもちろんである。ケープエピックという南アフリカで8日間にわたって開催されるMTBのステージレースで、最後の ストレステストを行なった。

 

最大の特徴 は太腿の外側に、転倒時の衝撃を緩和するためのパッドを入れることができるこ と。実際に着用して走ってみたが、当初 予想していた異物感がまったくなかった。 パッドは今年発表されたロード用ビブショーツS7シリーズに採用されているのと同じ設計で、高いフィット感を誇り、 激しいオフロード走行でも、ずれることなく快適だった。

 
 
 

ASSOS OFFROAD RALLY from ASSOS of Switzerland SA on Vimeo.

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