安井行生のロードバイク徹底評論 第4回 LOOK 675 vol.1

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安井675-1

最初は誰もが異端児だと思ったルック・675。しかし同じスタイルをまとう795の登場によって、キワモノではなく次世代ルックのブランドアイデンティティーを背負う存在として見なければならなくなった。「なぜルックはこんなフレームを作ったのか?」をメインテーマに書く徹底評論第4回。発表されたばかりの795を見る目も変わる、渾身のルック論である。vol.1

 

スタイルはキレイだが……

久々に作り手の意思が伝わってこないバイクに出会った。675は、2012年に発表されたルックのミドルグレードモデルである。コンセプトは「優れた快適性を備えたレーシングバイク」だという。セカンドラインながらプロチームに供給されており、コフィディスの選手たちはこの675でパリ~ルーベなどをガツガツと走っている。

 

 

特徴はトップチューブとステムが一直線になった一角獣スタイルである。通常より高い位置にあるトップチューブ前端と専用設計のステムとが滑らかにつながり、フレームのアッパーラインがのびやかな直線を描くのである。数年前に発表されたMTBフレーム、927の流れを汲むデザインだ。927を見たときは、「ルックはこんな奇抜なデザインもするんだな」としか思わなかったが、まさかロードにもこのテイストを持ち込んでくるとは。

 

 

コレは一体なんだ

675のデビューに伴ってヒルクライム用とされていた586はカタログから落ち、2014シーズンのルック社のロードラインナップは、インテグレーテッドブレーキをフォークとチェーンステーに埋め込んだ旗艦の695エアロライト、素材変更で剛性と快適性の向上を果たした695ライト、695ライト同様の素材変更で剛性を上げた675ライト、ノーマルの675、快適性に優れたエントリーモデルの566という5モデルとなった。

今回試乗するのは675ライトではなく、ノーマルの675である。なお、795という次期トップモデルが加わる2015シーズンも、675と675ライトは続投される予定だ。

 

もちろん筆者はこのスタイリッシュな一台を、眉をひそめて遠くから眺めていた一人である。評論に個人的な感情を持ち込むべきではないが、ルックというメーカーには少なからず思い入れがある。こだわるべきところにはこだわり、変えるべきところはどんどん変えながら、ルックらしい魅力的なカーボンフレームを作ってきた。その姿勢と走りに惚れ、今まで4台を購入し乗り継いできたのだ。

だからあえて言いたい。この675とは、一体なんなのか。

 

vol.2に続く