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サーヴェロ S5 試乗レポート

個性的なデザインと華々しい戦績により、独自のポジションを確立したカナディアンブランド・サーヴェロ。2011年のツール・ド・フランスに合わせてデビューしたエアロロードシリーズの旗艦、S5がモデルチェンジを実施した。ポイントは、さらなる空気抵抗の低減だ。

 

text:大屋雄一 photo:岡 拓

快適性をも手に入れたエアロロードの究極形

 

サーヴェロの設計はオンタリオ州トロントで行なわれ、アメリカ・カリフォルニア州の風洞実験施設でテストを繰り返し、1995年創業以来、一貫してエアロ ダイナミクスを追求してきている。  

 

「S5」は、リヤホイールに沿った形状のシートチューブや、リヤキャリパ ーの空気抵抗まで考慮したシートステーなど、BBから後方のデザインは前作をほぼ踏襲しながら、ダウンチューブ下面の形状を見直し、さらにエアロダイナミクス効果を高めている。

 

ヘッドチューブを各サイズで9~16mm短くするとともに、カーボンの積層を変更することで、フロント付近で35%もの剛性向上を果たしているのだ。  

 

さらに、完成車にアッセンブルされるオリジナルのカーボンハンドルもトピックの1つ。ライダーが乗車した状態において、ハンドルまわりの空気抵抗がバイク全体の30%を占めているというテスト 結果が出たことにより、このハンドルが開発されたという。エアロダイナミクスを追求するサーヴェ ロらしいエピソードといえる。  

 

トル・フースホフトによる活躍が記憶に新しい先代S5。名車のDNAを受け継いだ新型は、さらなる実績を築き上げるだろう

 

CERVELO S5

 

サーヴェロ/エスファイブ

フレームセット価格/59万円(税抜) 

シマノ・アルテグラ6800完成車価格/75万円(税抜) 

シマノ・デュラエース9000完成車価格/100万円(税抜) 

シマノ・デュラエース9070Di2完成車価格/129万円(税抜)

 

フレーム●カーボン

フォーク●カーボン

コンポーネント●シマノ・デュラエース9000 

ホイール●イーストン・EC90 エアロ 

タイヤ●パナソニック・パナレーサー レースA エボ2 23C 

ハンドルバー●イーストン・EC70SL 

ステム●イーストン・EC90SL 

サドル●フィジーク・アリオネ

シートポスト●オリジナル 

試乗車実測重量●6.76kg(54サイズ、ペダルなし) 

サイズ●48、51、54、56

カラー●ブラック

 

 

プレスフィット層のBB30をベースに左側を11mm拡大し、全幅を79mmとしたサーヴェロ独自の規格「BB ライト」を継続。ワイヤルーティングを見直し、摺動抵抗を削減する

 

 

リヤキャリパーの空気抵抗を低減するべくデザインされたシールディング・シートステー。リヤのシフトワイヤ出口は、右チェーンステーの上部からエンド部へと移された

 

 

クラウンからエンド部までほぼ同じ太さという特徴的なフロントフォークは、テーパーかつわずかにベンドした形状へと進化。これにより17%もの剛性アップを達成している

 

 

フロントタイヤとのクリアランス を詰めることで空気抵抗を低減するドロップド・ダウ ンチューブは、形状を見直している。 また、ヘッドチュ ーブが各サイズとも短くなった

 
 

 

サーヴェロが独自に開発したオー ルカーボン・エアロバー。薄くデザインされた上ハン部分にワイヤを内蔵しているのが特徴で、これにより4.4ワット分ものパワーセーブを達成

 

 

大屋雄一の試乗レポート

 

新型S5の話題の1つでもあるエアロハンドルバーは、生産上の都合により今回の試乗には間に合わなかったことを先にお伝えしたい。

 

走り始めてすぐに感じたのは、エアロロードに少なからず共通する突き上げ感がきわめて少なく、コンフォートなことだ。これは、試乗車にアッセンブルされたイーストン製ホイールとの相性が非常によかった可能性もあるだろう。

 

また、上りでのダンシングや高速コーナーに進入した際に伝わるしなりは、オーソドックスなデザインのロードに近く、巡航性能の高さや、下りにおける速度の伸びはまったく犠牲になっていない。

 

小気味よい反応もこのバイクの持ち味であり、時速50kmを超えても失われることがない。ベテランならその特性を生かして集団内でうまく立ち回れるだろう。

 

デュラエースによるハードなブレーキングを受け止めるだけの縦剛性も十分に確保されており、プロを含むエリートライダーのために生まれたモデルといえよう。

 

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