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さいたまクリテリウムで聞いた!来日選手コメント大特集

今年のツール・ド・フランスで活躍した選手が大勢来日した『2014ツール・ド・フランスさいたまクリテリウム presented by ベルーナ』。そこで拾ったトップ選手たちの貴重な声を集めた

 

Photo: Yazuka Wada / cyclesports.jp

初来日で見るものすべてが新鮮 ~ニーバリ

今年のツール・ド・フランスで初優勝し、マイヨ・ジョーヌを携えてさいたまクリテリウムにやって来たイタリアのビンチェンツォ・ニーバリ(アスタナ)。期待されたような優勝はできなかったがポイント賞を獲得して表彰台に上がった。

 

レース後にニーバリは「今日はいつもとはちがったレースだった。こんなにたくさんの観客の前で走ることができて、本当にうれしかった。素晴らしい一日だったよ」と、感想を話していた。

 

今回が初来日だったニーバリは、大会前日にさいたま市内で行なわれた交流会で書道や茶道を体験した。書道体験では今年のツールでリーダージャージを獲得した3人が選手代表として舞台に上がり、巨大な筆で漢字を書くパフォーマンスに挑戦。ニーバリは『王』という字を書いた。

 

交流会のあとで、感想を聞くと「日本は初めて来たから、何もかもすべてが新しい経験だ。ボクの国とは異なった文化だ。書道は簡単な文字でよかったよ。サガンは難しい字だったから(注:サガンは『速』を書いた)苦労してたよね。お茶はとても独特で、イタリアのものともイギリスのものとも違っていた。すごく苦かったけれど、とてもいい経験だった」と、話していた。

 

ニーバリはさいたまクリテリウムの前に、パリで行なわれた来年のツールのコース発表会に出席していた。記者会見の囲み取材では、来年のコースについての感想を以下のように話した。

 

「2010年のツールにとてもよく似ている。最初の一週間はものすごく神経質だ。ベルギーで行なわれる序盤のステージは、少し難しくなるだろう。その後、北フランスのブルターニュ地方でのステージも風の影響があり、注意が必要だ」

 

「けれどやはり、来年のツールでもっとも重要なのは最後の週だ。ラルプ・デュエズのような山岳がたくさんあるからね。来年勝つのはとても難しいだろうが、最大限の準備をする。来年もシーズンの中心はツールになるだろう」

 

来年はダブルツールを狙うのではないかと考えられているニーバリに「ジロにも参加する?」とも聞いてみたら「まだ出るかどうかわからない」と言っていた。そのウラには、チームが抱えているライセンス問題の影が見え隠れするようだった。

 

「次はジャパンカップを走ってみたい」と話していたニーバリ。古賀志林道の下り坂でアタックする姿をぜひ観てみたいものだ。


さいたまクリテリウムで初優勝 ~キッテル

昨年につづいて2度目の参加だったドイツのマルセル・キッテル(ジャイアント・シマノ)は、ゴールスプリントで初優勝を果たした。今年は昨年よりも沿道で応援する彼のファンが増えていたのが力になったのかもしれない。

 

「さいたまクリテリウムは特別なレースで、また戻って来られて本当にうれしかった。今年は勝てたし、チームメートも一緒で、日本のレースをエンジョイできたよ」と、キッテルは優勝の喜びを語っていた。

 

「さいたまクリテリウムはとてもユニークだと思う。ここに来ると、すぐに人がちがうなあと感じる。実際に、何もかもが異なっている。それは素晴らしいことだよ。ボクたちは素晴らしい伝統や文化に触れられるんだ」

 

「ファンは沿道にたくさんいて、信じられないくらいすごかった。彼らはとても歓迎してくれる。ユニークで特別だよ」

 

自分は世界一のスプリンターだと思うかと質問されると、キッテルは「それに近づいていると思う。よく質問されることだけど、レース中はいつも勝つことだけに集中しているよ」と、答えていた。

 

昨年につづいて今年もツールで区間4勝を上げたキッテル。マイヨ・ベールは獲得できなかったが、今年もさいたまクリテリウムに招待され、優勝を果たした。来年はポイント賞のシステムが変わるため、マイヨ・ベールを着て来日できるかもしれない。

 

「マイヨ・ベール獲得をあきらめているわけじゃあない。来年はチャンスがあるといいなあ」と、キッテルは豊富を語っていた。


ポーランド初の山岳王 ~マイカ

今年のツールで大活躍し、山岳賞のマイヨ・アポワを獲得したポーランドのラファウ・マイカ(ティンコフ・サクソ)。ジャパンカップで2回来日しているので、今回が3度目の日本だった。

 

ここは宇都宮とはまたちがう町だけど、(交流会で)すばらしい場所なのだと学ぶことができた。大勢の人たちが自転車レースを楽しんでいるしね」と、彼はさいたまの印象を話してくれた。

 

マイカは今年、ツールの後、地元のポーランド一周(UCIワールドツアー)で初優勝した。「とてもうれしかった。とくにポーランド国民は、11年経ってやっとポーランド人が勝ったから、とても喜んでくれていたよ」と、彼は言っていた。

 

交流会では書道体験で『山』という文字を書き、茶道も体験したマイカ。「初めてだったけれど、とてもすばらしい経験になった。お茶はヨーロッパのものと随分ちがったけれど、悪くはなかったよ」と、話していた。

 

フランス期待の若手クライマー ~バルデ

23歳でプロ3年目のロマン・バルデ(AG2R・ラモンディアル)は、今年のツールでティボー・ピノ(FDJ.fr)と新人賞を争い、総合6位になったフランス期待の若手クライマーだ。

 

さいたまクリテリウムには昨年も参加していたバルデ。コースの印象を聞くと「アリーナの中を通るコースはすばらしいね。観客がたくさんいて、日本のファンの前で走るのは特別な気分だよ。日本の人たちはとても親切で素晴らしい。ここで“小さなツール・ド・フランス”を見せられるのはとても幸せだよ」と、話してくれた。

 

来年の目標を聞くと「ツール・ド・フランスとクラシックだ。クラシックではリエージュ~バストーニュ~リエージュとイル・ロンバルディアで勝ちたい」と、教えてくれた。

 

バルデは今年のリエージュで10位に入っている。「コースがボクにピッタリなんだ。フレッシュ・ワロンヌでも勝ちたいけど、リエージュの方がボクに向いている。だからいつか勝つのが夢なんだ」と、彼は話していた。

 

来年のツールは山岳が厳しく、クライマー向きのコースだ。来年はチャンスがありそうかと聞くと「ボクはクライマーだから、そうだといいね」と、言っていた。

 

そのほかのエピソード

今年は“主役”ではなかったからか、昨年よりのんびり日本を楽しんでいた英国のクリストファー・フルーム(チームスカイ)。交流会で巫女舞を見学して「去年は相撲を体験したけれど、今年はもっと文化的な物を見せてもらった。氷川神社はとても安らげる場所で、古い歴史を感じられた。日本文化を学ぶのは、とても興味深いね」と、話していた。

 



マイヨ・ベールを着て今年もさいたまクリテリウムにやってきたスロバキアのペーテル・サガン(キャノンデール)。ポイントレースを走ったあと「今日も観客がたくさんいてスゴイね。驚いたよ。また日本に戻って来られて本当にうれしい。このレースはたくさんの観客がいるから、とても好きなのさ」と、話していた。

 




昨年同様、奥さんと一緒に来日していたフィンランドのユッシ・ベイッカネン(FDJ.fr)「去年は相撲と盆栽、今年は神社へ行ったり書道を見て、典型的な日本を発見できたのはすごくいいと思ったよ」と、話していた。レース後は東京を1日だけ観光すると言う。「ボクはシーズンオフだから時間があって、もっと長く滞在したかったんだけど、妻が学生だから、帰らなければならないんだよ」と、ちょっと残念そうだった。

 

オランダのリューウェ・ウエストラ(アスタナ)は初来日。クリテリウムの日に前日の交流会について聞いてみたら「時差ボケで眠たかったから、あまりよく覚えてないんだよなあ」と、苦笑い。帰国後の予定は「バカンスはここに来る前に1週間、トルコに行ってきたんだ。とてもよかったよ。帰ったらすぐスペインへ行って、トレーニングさ」と、話していた。



ポイントレースで優勝したフランスチャンピオンのアルノー・デマール(FDJ.fr)。じつは彼には勝ちたい理由があったのだ。「花束が欲しかったんだ。今日はボクのママンの誕生日だからね」と言う親孝行なデマール、さいたまクリテリウムには母親のナディーヌさんを連れて来日していた。




さいたまクリテリウムでは日本の自転車レース界を牽引してきた4人のトップ選手、愛三工業レーシングチームの盛一大西谷泰治、ブリヂストンアンカーの清水都貴、ビーニファンティーニ・NIPPOの宮澤崇史の引退セレモニーが行われ、それぞれゆかりのある人たちから花束を贈呈された。

 

 

 

 

★★★さいたまクリテリウム/レースレポート
http://www.cyclesports.jp/articles/detail.php?id=607

 

★★★さいたまクリテリウム/交流会レポート
http://www.cyclesports.jp/articles/detail.php?id=605

 

★★★さいたまクリテリウム/サイクルフェスタのレポートhttp://www.cyclesports.jp/articles/detail.php?id=606

 

 

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