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ワンランク上のヒルクライマーになりたい人に! 日向涼子と強くなる! “乗鞍”参戦記

ヒルクライムの魅力に目覚めてしまったモデル日向涼子が、シーナックキャビンの中込由香里選手に弟子入り。いよいよ決戦の時。日向涼子の乗鞍参戦記
 
text●日向涼子 photo●吉田悠太

目標を大幅更新!?

第28回 全日本マウンテンサイクリングin乗鞍日向涼子 1時間04分34秒でゴール!目標を大幅更新!! ……ではなく、天候不順により距離が20.5km→15kmに短縮されたため、このタイムです。
 
 
そのため目標を達成できたかどうかは曖昧ですが、順位は昨年より上がりました。29位から23位ですけどね……。改めて思ったのは、「乗鞍って選手の層が厚い!」だからこそ、自分の成長が分かります。逆もまた然り、ではありますが……。

まずは、成長できた!と感じた点から

【テクニカル面】
・ダンシングは有効
 
ダンシングを取り入れたことで、勾配がきつい場面でも、出力の低下を少なくして走ることができた。
 
2ヶ月目のトレーニングでダンシングを練習し始め、残り3週間で出力に変化をつけない走りを学んだことを生かせた。
ただし、もう少しテンポよく踏み続ける練習が必要。「えっちら、おっちら」に見えなくもない……。
 
【メンタル面】
・タイムを気にしてトレーニングをするようになった
 
これを読んだ多くのヒルクライマーは、頭の中が「?」でいっぱいかもしれませんが……。私、ヒルクライムは好きだけど、外で走る時はタイムを気にしたくなかったのです。
もちろん山を楽しみたいというのもありますが、今思えば、“成長していない自分”という現実を知りたくなかったのかもしれません。
 
でも、頑張らないと成長もしない。
苦しみの先には、より大きな喜びがある。この連載をきっかけにそれに気づけたこと、弱い自分と向き合うことができたのは、私にとって一番の収穫と言えます。

ただ、反省点も同じく弱い自分

【レース前日】
・眠れない
 
初めての経験でした。寝付きが良いのが自慢だったのに、さすがにプレッシャーを感じたのでしょうか。ただ、「眠れなくても体を横にしてリラックスしていればワンレース位大丈夫なので、眠れない事にイライラせずに、体を休めましょう」という師匠の言葉を思い出し、特に焦ることもなく、『あぁ~、私でも緊張することがあるんだな(笑)』と思いながら朝を迎えました。
 
【レース当日】
・食欲がない
 
大好きなバナナの匂いすら嗅ぎたくない状態。それでも、食べないと絶対レースに影響すると思い、無理にでも梅おにぎりを食べました。梅おにぎりを追加することにして、本当に良かった。(『日向涼子と強くなる! ラスト1週間!』編のイラスト参照)
 
このような状態なので、『レースまでは体力を温存しよう』とアップは断念。これも前回、「アップは思うようにできない事を前提に、それにイラつく事無く、その中でベストを尽くすようにしましょう」という言葉を信じ、下半身を中心としたストレッチに切り替えました。
 
こうして振り返ると、師匠は弱い私を見抜いていて、先回りしてフォローしてくれたのかもしれません。そのため、レース会場では適度な緊張感を持ちつつもリラックスして過ごせたし、今の自分に見合った結果だったと思います。
体調管理ができなかったことも含めて、今の私ですから。
 

とはいえ、悔しくないわけじゃない!

憧れの師匠に教えていただき、いろんな方から応援していただいたのに…考えれば考えるほど、申し訳ないし、情けない……。
 
メンタル・フィジカル・テクニカル、すべて成長した自分と出会うため、自分に自信をつけるため。来年は美しい乗鞍の山頂で、敬愛する師匠から手放しに喜んでもらえる私でありたいです。

生徒日向と連載を読んでくれた読者に、由香里師匠からメッセージ

「乗鞍」終わっちゃいましたね。
日向さん、そしてこの連載を読みながら一緒に頑張ってくれた(?)読者の皆様、お疲れ様でした!
レース当日は悪天候のためにコースが短縮されてしまい、残念ながら頂上で抱き合う事はできませんでしたね。
でも、中止になっても文句は言えない中、レースを開催して頂けた事、大会関係者の方々には感謝感謝です。
 
記録とか順位とか、目標を達成する事って、いろーんな条件がそろわないとできなくて、そこには自分ではどうしようもない運とかも含まれる。

今回の条件で、このまま頂上まで行けてたとしても、残念ながら私のベストタイム更新という目標も、日向さんの1時間25分という目標も少しおよばなかったかもしれません。
 
目標達成する為に1番簡単なのは、絶対達成できそうな目標を立てる事。
でもそれじゃ、つまらないですよね。
いろんな条件がそろい、上手くいけばなんとか達成できそうな目標、それに向かってやるから面白いしやりがいがある。
 
順位とか記録とかって、1つの目安だから、そこに向かって何をして、何を学んで、どう思ったか、そしてどこに向かうのか、そんな事が大切だと思っています。
 
この企画は決して「やらせ」ではなくて、真剣に取り組んだものだったし、日向さんもその中で色々な事を感じてくれたようです。
自転車のそして乗鞍の楽しみ方は人それぞれ様々だし、どれが良くてどれが悪いなんて事はないと思ってます。

記録とか関係なく、思い切り走りたいとか、楽しみたいとか、それも素晴らしいと思うし、この企画を通して日向さんと一緒に新たにタイムに挑戦する事の楽しさみたいなものを感じて貰えた人がいれば、それも嬉しく思ってます。
 
特にトレーニングメニューって事よりも、目標のレースにどう向かって、どう考えるかなど、何か1つでも参考になっていれば嬉しく思います。
 
日向さんの言葉「憧れの師匠に教えていただき、いろんな方から応援していただいたのに…考えれば考えるほど、申し訳ないし、情けない。」
……そんなことはないと思いますよ~。
 
私も初心に返った気持ちで、一緒に頑張って乗鞍に迎えて楽しかったです。
ちっとも申し訳なくないし、情けなくない。
1つ1つの挑戦が、自分にとっての大きな財産だと思ってます。

日向さん、読者の皆様、お疲れ様でした。
そしてありがとうございました!
そしてまた挑戦が始まる……。
 
 
 
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取材協力:シーナック・キャビン 
衣装協力:KAPELMUUR/カペルミュール(ウエイブワン)