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グラファイトデザイン・メテオ 試乗レポート

2011年12月から開発がスタートしたグラファイトデザインの新作「メテオ」。ラグフレームの「スピード」、モノコックフレームの「ランチ」のコンセプトを継承しつつ、走行性能やスペックなどあらゆる面を進化させてきた。
 
text:ナカジ photo:山内 潤也

スタイリングはそのままに、走りを強化

 
メテオの構造は、2つの大きなモノコック構造でほかのパイプをつなぐというもの。1つ目はヘッドチューブ、ダウンチューブ、BBをモノコック構造とした「スーパーコア」と呼ばれる部分。ペダリングパワーを受け止める剛性と、フレームの芯をしっかり出すための高い精度を実現する。
 
もう1つはトップチューブとシートステーをつなぐラグに当たる部分がシートチューブと一体成型されている「マストラグ」。シンプルな円形断面で、バイクのさまざまな動きに対してニュートラルに反応し、乗り手へのストレスを軽減している。これらの構造により、モノコックの一体感とラグの乗り心地のよさを同時に手に入れた。
 
また、スーパーコア以外のチューブは別々に成型されるので、フレーム全体を一度に成型するモノコックに比べてパーツが小さい。そのため工程がシンプルで品質の安定した製品を生み出すことが可能。
 
だからフレームに組み上げたとき高精度なものに仕上げることができる。その結果、とても高い走行性能を発揮することができるのだ。しっかりと芯の出たフレームほど速いものはない。
 

GRAPHITE DESIGN METEOR

グラファイトデザイン・メテオ
ブラックカラー・フレームセット価格  34万2593円
GDかラース・フレームセット価格  37万370円
 
フレーム:カーボン
フォーク:カーボン
コンポーネント:シマノ・デュラエース9070
ホイール:マヴィック・コスミックカーボン40C
タイヤ:マヴィック・イクシオンプロ(フロント)グリップリンク(リヤ)パワーリンク 700×23C
ハンドルバー:グラファイトデザイン・クラインバー
ステム:グラファイトデザイン・6OVAL
サドル:セライタリア・SLR カーボンフロー
シートポスト:グラファイトデザイン・スタンダードポスト
試乗車実測重量:6.71kg(サイズ530、ペダルなし)
サイズ:490、510、530、550、570
カラー:マットブラック×グロスブラック、GDカラーズ
 
 
 
真横から見るとわずかに下方向にベントしている。細身のチューブと相まって振動吸収性の向上とシッティングでのペダリングを快適にする作用がある。
 
 
シートチューブはトップチューブとシートステーをつなぐラグを兼任。「マストラグ」と名付けられた構造は、ペダリングやコーナリング時のニュートラルな挙動を演出する。

 
 
フォークは同社のセカンドグレード「ザニア」のものを軽量化&カーボンの積層を変更したものを採用。ステアリングのキレと、振動吸収性の両立を狙っている。

 
 
エンドはあえてアルミ製。剛性が出るのでホイールが正確に回転する。シートステーとの接合をネジにしてあるのは、フレーム組み立て時の微調整ができ、精度が高まるから。

 
 
ヘッドチューブからBBまでがモノコックで作られる「スーパーコア」と呼ばれる部分。このバイクのキモになる構造だ。剛性、安定性、フレームの精度を高いレベルで実現する。

 

ナカジの試乗レポート

 
今回、メテオの進化を感じるために、同社のメテオスピードの試乗車も同じ期間に借りて試乗を行なった。メテオが6ピースのパーツで構成されるフレームなら、メテオスピードはチューブをカーボンラグでつなぐ9ピースのフレームだ。
 
乗り出した最初から反応のよさを体感することができる。ヘッドからダウンチューブ、BBがつながっていることで、走りにダイレクト感がある。コーナーの立ち上がりも気持ちいい。
 
ただ、自分の好みからすると、いまだメテオスピードも捨てがたい走りを見せてくれた。メテオスピードよりもメテオのほうが明らかに加速したときの反応はいい。最近流行の乗り味といった感じ。
 
一方、メテオスピードはじわじわと快感を伴って加速する。レースでの性能を考えればメテオのほうがきっとすばらしいだろう。だが、エモーショナルな部分を含めると、とても悩ましい。
 
かつてラグ構造のフレームが減っていった理由にモノコックフレームに対して軽さという点で不利だったということがある。ラグとチューブを接着する「のりしろ」が必要なので、その部分のパイプが二重になっていまうからだ。
 
とはいえ、ラグフレームの乗り味にファンは多い。そこにきて、カーボンの積層技術の向上により軽量なチューブが作れるようになった今は、改めてラグの乗り味を見直し、 かつ軽いフレームが出てくるというのはとても興味深い現象だ。
 
メテオはいいとこ取りをしている。このエンジニアのアイデアを所有する喜びはまた格別だろう。

 

問い合わせ先

グラファイトデザイン サイクルスポーツ
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