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ワンランク上のヒルクライマーになりたい! 日向涼子と強くなる!

ヒルクライムの魅力に目覚めてしまったモデル日向涼子が、シーナックキャビンの中込由香里選手に弟子入り。より高いレベルを目指すために必要なトレーニングをレポートする新連載! 「がむしゃらに走っている」から、さらに上のレベルになりたい人。日向涼子と強くなろう!
 
text&illust●日向涼子 photo●岩崎竜太
先生:中込由香里さん(写真下・左)
アテネ五輪日本代表、MTB XCの全日本チャンピオンを4回獲得するなど、輝かしい成績をほこる現役選手。全日本マウンテンサイクリング in 乗鞍でもクラス6連勝中。
 
生徒:日向涼子(写真下・右)
CMやカタログなど、企業広告を中心に活動するモデル。ポタリングから始めた自転車だが、気づけば坂に魅せられ、昨シーズンよりヒルクライムレースに参戦。
 

目標はまさかの85分!?

昨年からヒルクライムレースに参加しはじめた私、日向涼子。 女の私だって、男性に負けないくらい速く走れるようになりたい! そんな想いから、気づけばヒルクライムの魅力に目覚め、「Mt.富士ヒルクライム」や「全日本マウンテンサイクリング in 乗鞍」に参加、ただがむしゃらに走っていた。
1年目にしてはそれなりの結果が出せたものの、今シーズンはより上のレベルを目指したい! そう考えた私は、トップ女子選手として長年君臨し続けるシーナック・キャビンの中込由香里さん、通称「最速女将」の元へ相談に行った。すると『全日本マウンテンサイクリング in 乗鞍 85分切り』という(本人的には無茶な)目標が設定されてしまう。とはいえ、もうあとには引けない! 残り3ヶ月間をどのように過ごすのかをまとめたのが下のリスト。
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・レース当日(9/1)にピークを持っていけるように、トレーニングを上げていけるようにする。
・大まかに期間を3つに分け、トレーニングの中心にする物を明確にする
・それぞれの期で少しずつ量や質をあげていき、疲労をとって次の期に進む
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トレーニングは今の自分の実力を知ることからスタート!

日向:由香里師匠、私の実力を知るって、どんなテストをするんでしょうか?
 
中込:6km程度のタイムトライアルで、基本は上りっぱしです。途中、少し平坦な箇所もあるけれど、そこも含めてどのような走りをするのか、私も後ろから一緒に走ってチェックします。他には心拍計をつけて、どれくらいの運動強度で走れるのかも見てみましょう。
 
その結果がこのグラフ。
 
日向:(ハァ、ハァ)ど、どうですか・・・、今の私の実力は?
 
中込:途中でタレることもなく、ヒルクライムのペース配分としては理想的な形ですね。このグラフは上が日向さん、下が私の心拍です。このグラフを見ると、日向さんは全力なのに私は非常にラク、と思いますよね。確かにそうなのですが、注意して欲しいのが、人と比較することはあまり意味がないということ。最高心拍数は個人差が非常に大きいし、下のグラフの人がもし最大心拍数150だったら結構MAXで走ってる事になりますよね。だから、人と比べるんじゃなくて、日向さんが3ヶ月後にこの峠を同じタイムで走ったとしたら、下のグラフになってた、という所を目指すイメージです。
 
日向:師匠のようになるには具体的にどんなことをすればいいですか?毎日、坂道ダッシュ10本とかですか?
 
中込:ヒルクライムは高いレベルを持続させなければならないレースなので、使うエネルギーは糖質が中心になります。だから、そのレベルのトレーニングが必要なのだけど、まだ3ヶ月あるので、トレーニング第1段階は"土台作り"をメインに、低い運動強度で出せるスピードを上げていく事を目指すトレーニングメニューを考えてみました。
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◯1ヶ月目(6/3~6/30)
低い強度で量を多く(ベース作り)
気持ち良いペースで、時間があればローラーでも実走でも多く乗るように
平日45分のローラーの場合(目標:週3回)
・10分ウォームアップ
・30分息を切らさず継続して続けられる運動強度
・5分クールダウン
以上をベースとして、期の後半は気持ち良いペースが全体的に上がるように、時々30分の中でだんだん上げていっていっぱいいっぱ いになる手前の所まで持っていく。
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中込:息を切らさず気持ち良く継続して続けられる運動強度を主軸として、スピードはトレーニングと共に後からつけていくイメージ。
実走がメインの人は、同じコースで気持ちいいペースでのタイムアップ。ローラー台を活用している人は、同じ時間で気持ちいい速度を上げることを目標としましょう。
 
中込:最大心拍数に対して70~80%程度(糖と脂肪を半々で消費できる運動強度)と考えてもらえばいいですね。ただ、あまり数字にとらわれて欲しくないとも思っています。しばらく数字を見ながらやっていると、なんとなく調子のいい時の心拍はこんな感じで、よくない時はこんな感じっていうのがわかってくるので、自分の感覚も大切にして欲しいです。
 

体調だけでなく、ローラー台と実走では心拍数も異なることがあります

中込:心拍数は体調や気温といった外部要因に影響を受けやすく、心拍だけを頼りにしていると「心拍数は高くても実際には体力を伸ばすのに必要なだけの負荷をかけられていなかった」ということが起こりえます。
 
外部環境に関係なく『ワット』という絶対的な基準でかなり正確に練習強度を管理できるパワー・メーターもありますが、手に届きやすい 価格とは言い難いですね。
心拍計を持っていない人は、息を切らさずに継続して続けられる運動強度、『しゃべり続けるには少しきついけど、息が切れるほどではない』程度の負荷を目安にするといいでしょう。
 
日向:なるほど、わかりました!(確かに、この取材後に自宅でローラー台トレーニングをしたが、体感は同じくらいの強度であるにもかかわらず、心拍計を見ると、さほど上がっていなかった。)
 

自転車のトレーニング以外にもやっておきたい“筋トレ”

日向:筋トレも必要なんですね。やっぱり脚をきたえるために毎日スクワット100回とかですか?
 
中込:実力チェックの時に思ったんだけど、日向さんはダンシングが苦手でしょう。

日向:(ギクッ!)

中込:自転車は下半身だけ鍛えればいいと思っているかもしれないけど、上半身や特に体幹の力も必要なんですよ。特に女性は下半身に比べて上半身や体幹が弱いため、ダンシングをしない人が多いように感じます。ダンシングも上手に取り入れることで、もっと楽に走れるようになりますよ。それに関しては次回やっていくとして、その準備段階として、腕立て伏せと腹筋くらいは出来るようにしておきましょう。

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◯簡単な筋トレ(3ヶ月を通して週3回以上)
特に女性は相対的に筋力が弱いので、自重を生かした筋トレを習慣としたい。
最低限、腹筋と腕立て伏せ位は出来るように。
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○○年ぶりに腕立て伏せをしてみたら、1回も出来なかった自分にビックリ!
膝をついた腕立て伏せもどきでも可。腕と膝の距離が離れるほど強度は高まる。

第1回目のトレーニングを終えて

【由香里師匠からのアドバイス】
計画通りにトレーニングが出来ないこともあるでしょうが、それがストレスにならないよう、できる時にそれに近い形でやれば良く、 イベントやグループライドなどは強度をあげちゃいけないとか考える事なく、今まで通り楽しんで走りましょう。
楽しく、出来る範囲でというのが基本です。
 
【日向涼子感想】
エントリー時点ではモチベーションも高いが、レースまで気持ちを維持することが難しく、尻つぼみになりがち。
「感覚を大切に」「楽しんで走る」という今回のテーマは、「なぜ私は自転車を好きになったのか」を思い出させてくれました。
ただし、このペースのまま10分近くのタイムアップが出来るとは思っていないので、2ヶ月目のメニューが怖くもあり、楽しみでもあります(笑)
 
取材協力:シーナック・キャビン http://www.sy-nak.com/sy-nak.htm

問い合わせ先

衣装協力:KAPELMUUR/カペルミュール(ウエイブワン)
http://www.wave-one.com/