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マイヨ・ジョーヌが日本上陸! さいたまクリテリウムbyツールドフランス

マイヨ・ジョーヌ、マイヨ・ベール、アルカンシエルがさいたま市街地を疾走! ASOが仕掛けたドリームイベントは、大成功に終わった
 
 
Photo: Nakaji / cyclesports.jp

台風にもかかわらず、無事開催!


ツール・ド・フランスの主催者であるフランスのアモリー・スポール・オルガニザシオン(ASO)が、初めて主催した、ツール・ド・フランスの名を冠したクリテリウム『さいたまクリテリウムbyツールドフランス』が、10月26日に埼玉県さいたま市で開催された。

大型の台風の接近で、この週末に予定されていた他のレースは早々に中止になり、さいたまクリテリウムbyツールドフランスも、一時は中止になってしまうおそれがあった。しかし、台風の進路がそれたため、大会は無事に開催された。

当日は雨にもかかわらず大勢の観客がさいたま市中央区のさいたま新都心周辺特設コースに詰めかけ、ツール・ド・フランスをバーチャル体験できるクリテリウムレースや、関連イベントを楽しんだ。

 
ツール・ド・フランス終了後にマイヨ・ジョーヌやマイヨ・ベールを獲得した選手を招待して行われるクリテリウムは『ポスト・ツール・クリテリウム』と呼ばれ、ヨーロッパでは昔から人気のあるイベントだ。とくにフランスの隣国ベルギーやオランダでは盛んで、ツールがパリで閉幕した翌日には、もう最初のポスト・ツール・クリテリウムが開催される。

ヨーロッパのポスト・ツール・クリテリウムは、自治体が選手個人に高額のスタートマネーを払って招待するため、ツールで活躍した選手が2~3人くらい参加するのが普通だ。

しかし、今回ASOが初めて手がけた『さいたまクリテリウムbyツールドフランス』には、マイヨ・ジョーヌのクリストファー・フルーム(スカイ)、マイヨ・ベールのペーテル・サガン(キャノンデール)、フランスチャンピオンのアルチュール・ビショー(FDJ.fr)、区間4勝したマルセル・キッテル(アルゴス・シマノ)、ラルプ・デュエズ区間を制し、スーパー敢闘賞を獲得したクリストフ・リブロン(AG2R・ラモンディアル)が顔を揃えた。

今年のツールで活躍した選手が、これほど大勢参加したポスト・ツール・クリテリウムは他にない。残念ながら今年のツールで山岳賞と新人賞を獲得したナイロ・キンタナ(モビスターチーム)は欠場したが、代わりに9月のトスカーナ世界選で優勝したルイ・コスタ(モビスターチーム)が、アルカンシエルを披露しに来てくれた。

午前中は台風の影響で風を伴った強い雨が降ったため、さいたま市民を対象に行われる予定だった一般体験走行は中止になってしまったが、さいたまスーパーアリーナのコミュニティアリーナで開催された『サイクルフェスタ』は大賑わいだった。午後になると雨は小止みになったが、選手紹介を兼ねたオープニング走行も中止となり、代わりに仮設テントで海外招待選手の紹介が行われた。

メインレースのクリテリウムの前には、出場選手を2組に分けたポイントレースが行われた。ゼッケンナンバーが偶数の選手で競われたポイントレース1は畑中勇介(シマノレーシング)が優勝。ゼッケンナンバーが奇数の選手、つまり海外招待チームはエースナンバーの選手が参加したポイントレース2は、序盤からアタックしてポイントを稼いだ中島康晴(愛三工業レーシング)が大金星を上げた。
 

大観衆の目前でマイヨ・ジョーヌが圧勝!


海外でも生中継されたクリテリウムメインレースがスタートした午後3時には雨も上がったため、さいたま新都心周辺特設コースの沿道に連なった観客の数もピークに達した。大歓声のなかを国内外から集った55選手がスタートし、1周2.7kmのサーキットを20周した。

レースは1周目からアルカンシエルのコスタやキッテルがアタックし、大いに盛り上がった。8周目からは別府史之(オリカ・グリーンエッジ)が逃げに乗り、8周目、12周目、16周目の終わりにかけられていたスプリントポイントで1位通過。今年のツールで活躍したビッグネームたちを退けて、ポイント賞を獲得した。

最後は残り2周でマイヨ・ジョーヌのフルーム、マイヨ・ベールのサガン、アルカンシエルのコスタという3人の主役が先行し、ポスト・ツール・クリテリウムならではの展開になった。そして最終周回でフルームの独走になり、マイヨ・ジョーヌが両手を上げてゴールラインを通過した。

後続集団の先頭はオランダのトム・フィーレルス(チームアルゴス・シマノ)が獲得したが、窪木一茂(マトリックスパワータグ)が善戦して5位に入った。国内参加選手としても最高位だった窪木には、1926年に日本人として初めてツールに参加した川室競の名前を冠した『川室賞』が授与された。

日本にいながらツール・ド・フランスを体験できる、夢のような一日はあっという間に幕を閉じ、黄昏時の表彰式は、このレースを最後に引退することが決まっていた福島晋一(NIPPO・デローザ)のセレモニーで幕を閉じた。「(台風でも)最後まであきらめずに開催してくれた主催者の勝利だ」と、福島はこの日を振り返った。それはまるで、彼自身の競技人生と、この日のドリームイベントがシンクロしたかのようだった。
 

さいたまクリテリウムbyツールドフランス結果

■クリテリウムメインレース(54km)
1 クリストファー・フルーム(マイヨ・ジョーヌ/スカイ/英国)
2 ペーテル・サガン(マイヨ・ベール/キャノンデール/スロバキア)+7秒
3 ルイ・コスタ(アルカンシエル/モビスターチーム/ポルトガル)+7秒
4 トム・フィーレルス(チームアルゴス・シマノ/オランダ)+12秒
5 窪木一茂(マトリックスパワータグ/日本)+12秒
6 中島康晴(愛三工業レーシング/日本)+12秒
7 小室雅成(イナーメ信濃山形/日本)+12秒
8 西谷泰治(愛三工業レーシング/日本)+12秒
9 吉田隼人(シマノレーシング/日本)+12秒
10 アレハンドロ・バルベルデ(モビスターチーム/スペイン)+12秒
[各賞]
■ポイント賞:別府史之(オリカ・グリーンエッジ/日本)
■山岳賞:ルイ・コスタ(モビスターチーム/ポルトガル)
■新人賞:ペーテル・サガン(キャノンデール/スロバキア)
■チーム成績:キャノンデールプロサイクリング(イタリア)
■敢闘賞:別府史之(オリカ・グリーンエッジ/日本)
■川室賞:窪木一茂(マトリックスパワータグ/日本)
※川室賞は国内参加選手でもっとも上位の選手に授与された
 
■ポイントレース第1戦(ゼッケンが偶数番号)
1 畑中勇介(シマノレーシング/日本)15pts
2 別府史之(オリカ・グリーンエッジ/日本)13pts
3 トム・フィーレルス(チームアルゴス・シマノ/オランダ)12pts
■ポイントレース第2戦(ゼッケンが奇数番号)
1 中島康晴(愛三工業レーシング)14pts
2 内間康平(NIPPO・デローザ)13pts
3 アルチュール・ビショー(フランスチャンピオン/FDJ.fr/フランス)13pts
 
 

''サイクルフェスタ''、''さいたまるしぇ''も大盛況!

「さいたまクリテリウムbyツールドフランス」の楽しみはレースだけではなかった! 
 
さいたまスーパーアリーナのコミュニティアリーナで行なわれた「サイクルフェスタ」にはブリヂストン、キャノンデール、コルナゴなどのトップブランドが出展し、どのブースも商品が見えないほどの人垣ができていた。
 
会場中央にはウィーラースクールの試乗コースあり、幼稚園から小学生までの子供たちが自転車の乗り方、ルール、マナーを教わっていた。 MC・絹代さんが会場内の見どころをステージ上からガイドし、自転車イベント初心者でも楽しめる工夫が凝らされていた。
 
新城幸也選手の日本チャンピオンジャージとともに飾られていたコルナゴ C59、サガン選手がツール・ド・フランスで乗っていたキャノンデール・スーパーシックス Hi-Modには、集まったファンたちが目を輝かせて見入っていた。
 
キャットアイやゴキソなどの各ブースでは、商品説明を求めるユーザーが後をたたない盛況ぶり。ゴキソでは、完成したばかりのカーボンエアロホイールが飾られていた。
 
 
 
けやきひろばで開催されたさいたまるしぇにはフランスの食や地元の美味いものが集結! 雨の中、これを目指してきたグルメも多かったようだ。 
 
フランス・バスクからはピエール・オティザさんのシャルキュトリ(生ハム)が出店し「ワインのおつまみにぴったり!」と長い行列ができていた。
 
プランタンなどへの出店でおなじみ「ビゴの店」には、さまざまな種類のプロヴァンス風パンが! このほか、さいたま地産のさつまいも、ネギなどの野菜を生かしたフードコートは、寒さに震えるレース観戦ファンの体を温めてくれた。
 
 
 
クリテリウム直前、さいたまの清水市長は「メインレース前に晴れて、本当に良かった。ご来場のみなさんに満足いただけているようでうれしい」と語った。
 
今年限りでなく、来年以降もさいたま市で同規模の自転車イベントが存続する可能性は高い。
 
■さいたまクリテリウムbyツールドフランス http://saitama-criterium.jp/
 
 

問い合わせ先

A.S.O.(ツール・ド・フランス)
http://www.letour.fr/saitama-criterium/2013/us/