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徹底見直しでこんなに変わる!ライディングポジション最適化計画

さまざまな「ポジション論」が乱立する昨今。一般ライダーの混乱・迷走も当然だろう。ひとつ言えるのは、万人すべてこれで解決!という魔法はないということ。しかし「今の自分にとってのベスト」は存在する。ここで自分のポジションを見つめ直してみよう。

バイクフィッティングの基本手順を学ぶ!

荒川近くのスポーツバイク専門店「フィッテ」の代表・倉本さんが、ロードバイク初心者の編集部・江GO!の自己流ポジションをチェック。「現在のポジションでどう乗っているか?」を把握するため「まずは自然な状態で横位置から確認させてください」と倉本さん。 真っ先に指摘したのは、お尻の位置。サドルの後面が見えているので一見前乗りのように思える。しかし、じつはサドルがとても後方にセットされていた。 次に目に止まったのが、肩まわり。後ろから見ると左右の肩胛骨がハッキリと盛り上がっていた。これは前傾した上体を支えるため、腕が突っ張っている証拠だ。さらに、腕の突っ張り方にも問題があった。江GO!の場合、ヒジが内側に入っていたのだ。これを見た倉本さん「ヒジが内側にはいっていると、ハンドルからの衝撃を吸収できないだけでなく、ハンドル操作にも支障をきたします。これは自転車のポジションではなく、江郷さんの乗り方の問題です。直すように心がけてください」とアドバイス。 次のステップでシューズのクリート位置を調整しようとしたところ、江GO!が履いているシューズは適正サイズより2cm大きかったことが判明。シューズも自転車ポジションの重要な一部。自分の足に合っているかどうかは最初に確認したいポイントだ。

ペダル位置を決める!

フィッテでは、ポジション調整をするときは数値にこだわらず、ライダーの体格と乗り込み具合でそのときに最適な位置を導くことを重視している。初めから数値を用いるのは、足の長さによって決まるサドル高だけだ。そのサドル高を求める係数も微調整している。その他の部位については、ライダーが乗車した状態での現物合わせで位置決めを行なう。注意すべきは、ライダーの体格によってほぼ自動的に決まるポジションと、乗り込み具合によって変化するポジションがあること。サドル関連は前者。一方でハンドル位置や高さについては乗り込む前は「近め、高め」に、乗り込むにつれ「遠く、低く」変化していくことを前提に決めていく。 クリート位置は母指球と小指球で合わせる。前よりのクリート位置は回転型、後ろよりは踏み込み型ライダーに推奨だ。購入の際はショップの専用機器でシューズの適正サイズを計測してもらおう。 1.適正サイズのシューズを履いたら、母指球の位置を確認する。ペン、シール、テープなどで印を付けるとわかりやすい。同じようにシューズ外側も小指球の位置に印を付けておく。 2.母指球と小指球を結んだ線とペダル軸が一致するようにクリートを取り付ける。クリートにはペダル軸が来る位置に線や印が付けられているはず。調整はシューズとクリートの印が一致するように行なう。 3.クリートは前後左右に微調整できるようになっている。写真の状態では、シューズの印とペン先分の距離だけクリートを前に出せる。

サドル位置を決める!

計算と現物合わせで細かく微調整する。その要素は「サドル高」「サドルの前後位置」「サドル角度」の3つ。「サドル高」は、脚の長さに係数を掛ける。フィッテでは係数に0.875~0.885という数値を使っており、ライダーの乗り込み具合のほか、ペダルやシューズの種類によって細かく微調整している。「サドルの前後位置」はライダーが乗った状態での現物合わせで調整。ヒザがペダル軸上に来るように合わせる。サドル角度は水平が基本。 1.脚の長さを計測し、サドル高をミリ単位で正確に調整する。サドル上面は水平にセットするのが基本。倉本さんは個人的に1度ほど前上がりにして、お尻が前にずれていくのを防いでいるという。 2.サドルの前後位置は、クランクを前に出したときにヒザとペダル軸が合うのが適正。ヒザから重りを付けたひもを垂らして確認する。始点になる位置は、ヒザのお皿の縁部分(指で押すとくぼむところ)。 3.ヒザから垂らしたひもとペダル軸が合っていればサドルの前後は適正。江GO!の場合、ペダル軸に対してひも(=ヒザ)が2cm後ろだった。つまりサドルが2cm後ろについているということ。 【フィッテ流・裏ワザ】フィッテでは、カーボン製シートポストを装着する際、アッセンブリーコンパウンド(滑り止め剤)を塗る。ズリ落ちを防ぐためだ。

サドル前後位置を決める!

1.あらかじめメジャーなどで計測し、どれだけ動かすかをマーキングしておくと正確に作業できる。 2.調整前 3.調整後。サドルが前方に移動、シートポストのオフセットが大きいことがわかる。 【各部寸法の正しい測り方】 サドル高を計測する際は、BB中心とサドル上面の計測点をしっかりと見きわめ、メジャーを使いミリ単位で測る。サドルの前後位置は「サドルがどれだけ後ろに下がっているか」を表しているため、「サドル後退幅」と呼ばれる。 フィッテでのポジション調整では、サドル後退幅はいきなり数値を測るのではなく、ライダーが乗った状態の現物合わせで「ヒザの位置とペダル軸がどれだけズレているか?」を計測。そのズレている分をサドルレールに反映してマークを付ける。マークのところまでサドルを移動させれば適正位置となる。 ※シマノ製クランクは左側のキャップでBB中心がわかる。サドル上面はシートポストの延長線が当たる部分で測る。

ハンドル位置を決める!

ハンドル回りの調整ポイントとなるのは「サドルに対するハンドル位置」「ハンドルの高さ」「ハンドル幅」の3つ。フィッテでは「ハンドル位置」は体格から導かれる「理想」と現在の乗り込み具合で決まる「現実」の2種類があり、ハンドルから手を離しても上体が前に倒れないところが「現実」のハンドル位置としている。「ハンドルの高さ」は、サドルからのハンドルの距離に余裕があれば下げる、余裕がなければ上げるといった微調整に使う。「ハンドル幅」は肩幅に合わせるのが基本。 1.肩鎖(けんさ)関節の幅を測る。メジャーは体に沿わせて計測する。ハンドル幅はドロップした先端を測るのが一般的。チューブの中心を測る「芯ー芯」と外側を測る「外ー外」の2種類の測り方がある。 2.手を離しても上体が前に倒れない握り位置は、ブラケットの後方だった。ここが江GO!の現実・適正位置。その適正位置とブラケットの間隔を計測すると4cm。つまりステムを4cm短くすれば適正位置にブラケットが来ることになる。(しかし50cmという短いステムの在庫がなかったため、ステムの「天返し」で対処。こうすればハンドル位置が体に近くなり、ステム長を短くするのと同等の効果が得られる) 3.最近のショートリーチハンドルでは、アップバーからブラケットにつながる部分の角度が約1度前上がりになるのがフィッテ推奨角度

セッティング終了!どう変化した?

まずペダリングが圧倒的にスムーズになったのに驚いた。以前はハンドルを握って腕を突っ張らせていた前傾姿勢も、ハンドルに手を添えるだけでよくなったので、エンデューロなどでも大きく違いが出そう。なによりも走れそうなフォームになったのが一番うれしい!?【サイクルスポーツ編集部・江GO!】

問い合わせ先

フィッテ
03-3881-3982
http://www.fitte.co.jp